ここ数年若者の採用に力を入れていたところ、知人から「ユースエール認定を受けてみたら」と勧められました。詳細について教えてください。(建設業)
ユースエール認定は、ユース=若者、エール=応援を表し、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を、「若者を積極的に受け入れている働きやすい企業」として厚生労働大臣が認定する制度です。2022年4月末現在、全国で906社の企業が認定を受けています。
ユースエール認定制度ができたのは、次のような背景があります。
- ①少子化に伴う労働人口の減少
- ②新卒入社の3割が3年以内に離職してしまうこと
- ③就職氷河期やリーマンショックといった就職活動期の社会経済情勢により、非正規社員としてキャリアをスタートせざるを得なかった若者が多数いること
このような背景から、2015年に青少年の雇用の推進等に関する法律(通称:若者雇用推進法)が施行されました。ユースエール認定制度もこの法律に基づいて創設されました。
主に次の基準を満たす中小企業(常時雇用労働者が300人以下)であれば、認定企業となることができます。若者の採用・育成を積極的に行っていることのみならず、残業時間や有休取得状況といった職場の労務環境も要件となっています。
- ○学卒求人など、若者対象の正社員求人申し込みまたは募集を行っていること
- ○若者の採用や人材育成に積極的に取り組む企業であること
- ○「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定していること
- ○直近3事業年度の新卒者などの正社員として就職した人の離職率が20%以下であること
このほか、「過去3年以内に新規学卒者の採用内定取消しを行っていないこと」や「重大な労働関係法令違反を行っていないこと」等も要件となります。
若者雇用促進総合サイト(※)には「ユースエール認定到達度診断」というコンテンツがあり、自社の雇用管理の状況を把握できます。また、認定基準に満たない部分が明確になり、雇用管理の改善方法について知ることができます。少しでも認定制度に関心のある企業は、まずはこちらの到達度診断を試してみることをお勧めします。
認定を受けるためには、各都道府県労働局への申請が必要です。労働局のホームページに申請書類が掲載されていますので、必要事項を記入し、添付書類を添えて提出します。
上記の認定基準を満たしているか審査・確認が行われ、認定企業には認定通知書が交付されます。
低利融資などのメリット
認定を受けることによるメリットは大きく5点あります。
- ハローワーク等で重点的PRの実施
- 認定企業限定の就職面接会等への参加
- 自社の商品、広告などに認定マークの使用が可能
- 日本政策金融公庫による低利融資
- 公共調達における加点評価
若者の採用・育成に積極的であることの証であるユースエール認定をアピールすることで、BtoB企業や知名度で大手企業に劣る中小企業も、優秀な若手・中堅人材との接点が広がります。同時に社内の労働環境が整備され、既存の社員の働き方改善ややりがいの向上にもつながります。