愛知、岐阜、三重でオーダーカーテンの企画・販売を手がけるディマンシェ。束ねるのは白木希佳さん、静佳さん、三輪里佳さんの美人3姉妹だ。まるでNHKドラマ「カーネーション」を思わせるコンビネーションで、設立以来右肩上がりの成長を続けている。顧問の浅野雅大税理士を交えて、その経営戦略、財務戦略について話を聞いた。
顧客の期待に応える“窓まわりのプロ集団”
ディマンシェ:白木社長(右)
――設立は2008年と、とても若い会社ですね。
白木希佳社長 もともと父がカーテンメーカーを経営していた関係で、子供の頃からカーテン生地のある環境で育ちました。そのためカーテンにはずっと愛着を持っていました。そんななか、自分たちの目で見て確かな商品を直接お客さまに販売したいと思い、設立したのがディマンシェです。私たち3姉妹が力を合わせて経営にあたっています。
――それぞれの役割は?
希佳 商品の企画や選定などは最終的には3人で話し合って行いますが、おおまかには私が商品企画と営業企画、次女の静佳が店舗での販売管理、顧客対応・接客、三女の里佳が販売企画、総務、経理というのが役割分担になっています。
――設立以来、岐阜をはじめとして名古屋、岡崎、四日市にも店舗網を広げ、売り上げは右肩上がりです。好調の理由は?
希佳 やはり、“窓まわりのプロ”としてのノウハウをベースにした、提案型の接客スタイルが本物志向のお客さまに支持されているのだと思います。当社は、製販一体の完全オーダーカーテンで、1センチ単位でお仕立てし、生地をたっぷりとり縫製もしっかりしている。オリジナル製品以外にも国内外のメーカーの主立ったところはすべて扱っています。廉価な既製品を販売している量販店やホームセンターでは、品質はもちろんのこと顧客の目的に合わせた接客も難しいですよね。当社では、壁紙や床、家の形状などに合わせ、また、照明や家具などを含めたトータルコーディネートをしっかりと行うことで差別化しています。
――主な顧客層は?
希佳 一般のお客さまが中心です。とくにここ名古屋店をリニューアルオープンさせたこともあり、おかげさまでご来店いただけるお客さまが増えております。
白木静佳さん 最近では当社のホームページを見て遠くから店舗にお越しくださる方も目立つようになりました。
――年間販売量は?
希佳 月に1000窓は取り付けています。一戸建て住宅の場合平均10窓なので、月100軒、年間1200軒といったところでしょうか。平均単価は1窓3万円~4万円です。
――スタッフ教育にも力を入れておられるそうですね。
静佳 ロールプレイングや研修などを重ねながら、現場では先輩スタッフによって徹底的に接客技術を教え込み、大体1年で現場が任せられるように教育しています。当社の販売スタッフは15名(女性が9割)ですが、女の子でも電動ドリルを使った簡単な工事ができるんですよ。
希佳 当社の一番の強みは提案力と接客力だと思っています。大切なのは「気持ちよく買っていただく」こと。採用においても、表情の良い子を採るよう心がけています。それから、人材育成は静佳の担当ですが、スタッフは「静佳さんのようになりたい」とよく言います。つまり目標が社内にいるわけで、ここも当社の強みだと思っています。
――昨年度から新卒を採用されているのだとか。
希佳 昨年入社の6名中4名が新卒です。リクナビを使って募集をすると100名の説明会の定員がすぐに満杯になってしまい、「次はいつですか」との問い合わせがひきもきらない状態で、正直、驚いているところです。
データを細分化し緻密な計数管理を実践
――浅野(雅大顧問税理士)先生が関与されたきっかけは。
希佳 なにしろ私たちは経営に関して素人なので、設立の際にメーンバンクの方にご紹介いただいたのが浅野先生でした。「地域で一番安心できる税理士先生」だということだったので、即座にお願いしますと……。
――『FX2』も当初から導入され、きっちりと財務管理がなされているようですね。
三輪里佳さん 『FX2』では、とても細かく分析できるので助かっています。たとえば、《変動損益計算書》からドリルダウンすれば伝票レベルまで簡単にさかのぼれますし、取引先コードで検索すれば、その取引先のデータを見ることができます。また、入力関係も、以前に使用していた市販ソフトよりも随分やりやすくなりました。
浅野 里佳さんは、とても有能な方なので、毎月7、8日には当事務所の担当者が月次決算に伺い、その翌日に、私が訪問し、社長と里佳さんに内容についてご報告させていただくというプロセスを踏んでいます。さらに、『継続MAS』を活用して単年度予算を作成し、それを『FX2』に落とし込んで予実管理も行っています。
希佳 浅野先生に教えていただいたおかげで財務データの見方もだいぶ分かってきました。なかでも、もっとも気になるのはやはり、商品ごとの利益率です。そのため、(1)カーテン(2)照明(3)家具(4)その他、と商品別に細かくコード付けして管理しています。また、《口座/取引先別残高一覧表》を活用しながら取引先ごとのデータも把握するようにしています。さらに、本格的な部門別管理機能の活用も今年度からスタートする準備を進めています。
――経営において『FX2』にどのようなメリットを感じていますか。
希佳 やはり商品別に細かく数字を見ることができるということでしょうか。(1)~(4)はそれぞれ限界利益率(粗利率)が違いますから、売り上げが伸びてもその分だけ利益が伸びるとは限りません。仕入販売なので粗利が低くなる照明や家具の拡販によって売り上げを押し上げたからといって、喜んでばかりはいられないわけです。利益率の高いオリジナルカーテンをより効果的に販売する努力も必要で、そのあたりのバランス感覚の持ち方も、データを細分化して管理することで見えてきます。実際、照明の売り上げが増えて、利益率が落ちた時期もありました。これらを意識して経営するかしないかで、結果はかなり違ってくると思います。
――異常値を敏感に察知して、その都度対応していると……。
希佳 はい。データを見ながら浅野先生と話し合ううちに、だんだんと対応のツボが分かってきた気がしています。また、決算が近づくと、『FX2』の《当期決算の先行き管理》や『継続MAS』の《戦略的決算対策》の機能を使いながら、「ここの売上高や経費がこうなると最終利益はこうなる」といったようなシミュレーションもしていただいているので、すごく安心感がありますね。
ブランドを確立しオンリーワン企業に…
里佳 それと、毎月TKCさんから送られてくる「経営分析表」には細かく経営指標の変動が掲載されているので、社長ともども成績表を待つ学生のように楽しみにしています。
浅野 ディマンシェさんは、しっかりと地に足をつけて成長されている印象です。多店舗化も急ぎすぎず一歩一歩進められているので、その点は安心です。
――人件費についてのお考えは?
希佳 当社は社員が宝です。社員が実際にお客さまに販売するわけですからね。なので人件費はある程度かかっても仕方ないと割り切っています。ちなみに、当社の販売スタッフは15名中13名が女性なのですが、産休がとりやすく、仕事復帰がしやすいシステムを導入しています。せっかく育てても、辞めてしまっては元も子もありませんからね。いまも1人産休で長期休暇をとっていますが、働く女性を支援することも当社の理念の一つだと考えています。
――将来的な目標は。
希佳 近く、三重県の津市と静岡県の浜松市に出店する計画があるので、まずそれを成功させ、売上高を10億円にまで持っていくことがひとつ。そして、ディマンシェというブランドを確立し、お客さまから求められるオンリーワンの会社になりたいと思っています。
(本誌・高根文隆)
名称 | 株式会社ディマンシェ |
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業種 | カーテン等企画・製造・販売 |
代表者 | 白木希佳 |
設立 | 2008(平成20)年7月 |
所在地 | 岐阜県岐阜市寺田7-101 |
売上高 | 4億6000万円 |
社員数 | 24名 |
URL | http://www.dimanche.co.jp/ |
CONSULTANT´S EYE
所長 浅野雅大
浅野雅大税理士事務所
岐阜県本巣郡北方町曲路3-46 電話058-320-3101
URL:http://www.asanozeirishi.com/
株式会社ディマンシェ様とは、金融機関からの紹介で設立第1期の途中に出会いました。その時点で、既に他社ソフトで自計化されていましたが、発生主義による月次決算体制が不十分だったため、『FX2』の導入を条件に関与させていただきました。
今年3月に移転が完了した新名古屋店は、デザイン性に優れ、一般の来店客だけでなく有力な住宅メーカーの担当者への訴求力も高いと思われますので、今後、ディマンシェ様の基幹店として、販路や売上の拡大に大きな力を発揮するでしょう。しかし、店舗が増え、会社が成長するにつれて計数管理の必要性も高まります。3期目に入る前から、折に触れ、店舗別の業績管理の必要性をお話ししてきましたが、名古屋店の移転やこれから予定している浜松支店、津支店の開設を前に白木社長が導入の決意を固められたことは、今後の会社の成長を確かなものにすると確信しております。
また、これまでも毎期、短期経営計画を『継続MAS』で策定のうえ『FX2』に登録し、予実管理を行ってきましたが、これに加え、現在、中期経営計画策定の検討に入っています。これは、白木社長が、昨年11月より弊所が開催している経営者塾に参加され、5カ年計画の必要性を強くお感じになったことによるものです。将来の目標も高くお持ちになっていますが、その実現のためにも、この5カ年計画の中で策定した行動計画を着実に実践され、計画期間中にまず中部地区のカーテン小売業NO.1の地位を確立していただきたいと考えてます。きっとそれが次の成長への足掛かりになるものと思います。
現在、希佳氏、静佳氏、里佳氏の3姉妹で経営にあたっておられますが、姉妹間の仲も良く、それぞれの得意分野で力を発揮されています。毛利元就の3本の矢の逸話のように、3人で手を携えながら、一層の成長を目指していただきたいと思います。私どもも、『FX4』の導入なども視野に入れながら、一層のご支援を続けて参りたいと思います。