当社は自転車通勤の従業員が多く、違反行為を犯さないよう不定期で講習を行っていますが、昨年の法改正で罰則が強化されたと聞きました。主な改正内容を教えてください。(薬局)
改正道路交通法が令和6(2024)年11月に施行し、自転車の運転中にスマートフォン等を使用する「ながら運転」(「ながらスマホ」)の罰則が強化されるとともに、「自転車の酒気帯び運転」が新たに罰則の対象となりました。
まず「ながらスマホ」については、自転車が停止している場合を除いて、スマホで通話すること、スマホに表示された画面を注視することが道交法で禁止されています。以前は5万円以下の罰金という罰則でしたが、現在は次のとおり罰則が強化されています。
●運転中に「ながらスマホ」をした場合
6カ月以下の懲役、または10万円以下の罰金
●運転中の「ながらスマホ」により、交通事故を起こすなどの危険を生じさせた場合
1年以下の懲役、または30万円以下の罰金
酒気帯び運転は懲役刑のおそれ
次に自転車の酒気帯び運転についてです。自転車の酒気帯び運転は、運転した本人はもちろん、酒類を提供した者、酒気帯び運転をほう助した者などにも罰則が科されます。
罰則内容は次のとおりです。
●酒気帯び運転
3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
●飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供し、その者が酒気帯び運転をした場合
自転車の提供者に3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
●飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合
酒類の提供者に2年以下の懲役、または30万円以下の罰金
●運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗し、自転車の運転者が酒気帯び運転をした場合
同乗者に2年以下の懲役、または30万円以下の罰金
なお、アルコールの影響で正常に運転できないおそれがある状態で自転車を運転する行為は「酒酔い運転」とされ、今回の改正以前から罰則として5年以下の懲役、または100万円以下の罰金と規定されています。
「青切符」による取り締まりも
今回の改正道路交通法では、「ながらスマホ」に関する罰則、酒気帯び運転に関する罰則の強化に加えて、自転車の交通違反に対して反則金を納付させる、いわゆる「青切符」による取り締まりが規定されました。青切符による取り締まりは16歳以上が対象で、113種類の違反行為に適用されます。
特に、信号無視や一時停止無視、「ながら運転」など、重大な事故につながる可能性のある違反行為に対しては、重点的に取り締まることが予定されています。青切符による取り締まりは、同法の公布日である24年5月24日から2年以内に施行される予定で、反則金の金額などの詳細は、今後、政令で定められる予定となっています。