子どもの看護や介護による休暇に関するルールが変わると聞きました。会社での対応について教えてください。(訪問介護事業)
「子の看護休暇」は、小学校就学前の子が病気・けがをした時、子の看護のために取得できる休暇です。「介護休暇」は、要介護状態にある家族を介護するために取得できる休暇です。これらの休暇は、労働者が仕事と育児・介護を両立するための休暇制度で、法律に定められた労働者の権利です(育児休業・介護休業とは別の制度)。いずれも従業員の申し出によって年間5日(対象となる子、家族が2名以上の場合は10日)までは取得を認める必要があります。両休暇は有給であることまでは義務付けられていませんので、無給でも構いません。
現行法令における子の看護休暇と介護休暇は1日単位が基本ですが、1日4時間を超える勤務であれば半日単位でも取得できます。これが法改正によって、来年1月からは、1日の勤務時間の長短にかかわらず、時間単位での取得が認められるようになります。「始業時刻から2時間の子の看護休暇を取得して、子どもを病院に連れて行ってから出勤する」「夕食の介護が必要になったので、終業時刻前の1時間で介護休暇を取得して早く帰る」などの利用シーンが想定されるでしょう。
時間単位での休暇で気を付けたいのは、いわゆる「中抜け」についての取り扱いです。法令が義務付けているのは遅出あるいは早帰りするための休暇取得なので、勤務時間の途中に取得する、中抜けまでを認める必要はありません。しかし、子の症状や要介護状態の家族の状況などはさまざまです。可能であれば、昼休みの後に1時間の休暇をプラスして途中で自宅に帰れるようにするなどの中抜けも認める弾力的な制度利用を認めることが望ましいでしょう。
労使協定で対象除外も
一方、業務によっては、時間単位で休暇を取得させるのが難しいケースもあります。例えば、ライン作業やシフト勤務など短時間勤務の者を組み込むことが難しい業務や、途中で他の者に交替させることができない業務など、時間単位の休暇取得が困難な業務がある場合などです。そうした企業では、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する者を除外することができます。困難な業務の範囲は、労使で十分に話し合って決めることになります。
子の看護休暇と介護休暇は、前述の通り無給の制度でもよいのですが、有給の制度とすることで、「両立支援等助成金」を受けられることがあります。例えば、時間単位で取得できる有給の休暇制度を就業規則に定め、従業員が育児休業を1カ月以上取得し、職場復帰後6カ月以内に20時間以上有給で子の看護休暇を取得した場合は助成の対象になり得ます。介護休暇についても類似の要件で助成の対象となります。
従業員の仕事と育児や介護との両立を支援することは、企業にとって今後ますます重要なテーマになります。従業員の生活に配慮した柔軟な制度づくりと、制度を利用しやすい雰囲気づくりを同時に進めることが、今後の成長を支える一つの鍵となるでしょう。