ウィンドウズ7搭載のパソコンを業務で使用しています。来年、ウィンドウズ7のサポートが終了すると聞きましたが、対応方法を教えてください。(建具製造業)

 ウィンドウズ7は2009年9月に提供開始され、OSの安定性の高さからウィンドウズ7を搭載したパソコンは、現在も企業において広く利用されています。このウィンドウズ7のマイクロソフトによるサポートが20年1月14日に終了します。マイクロソフトではOSの提供後5年間をメインストリームサポート、その後の5年間を延長サポート期間と位置づけており、今回終了を迎えるのは後半5年間の延長サポート期間です。サポート期間中、ユーザーは月に一度、マイクロソフトから配信されるOSの「セキュリティー更新プログラム」を適用できます。また、OSにセキュリティーの重大な欠陥が見つかった場合は、マイクロソフトから更新プログラムが臨時に提供されることもありますが、サポート期間が終了するとそうした無料のサポートを受けられなくなります。

 サポートの終了したOSを利用しつづけるリスクとして、セキュリティー更新プログラムを利用できなくなるため、セキュリティーの欠陥が残ったままの状態でパソコンを使うことになり、サイバー攻撃を受ける危険性が高まります。例えば、電子メールの不正な添付ファイル実行や不正なウェブサイト閲覧等から、欠陥を悪用されてウイルスに感染するなどの被害につながります。ウイルスに感染するとパソコン内で不正なプログラムが活動し、企業の情報を暗号化して使えなくしたり、情報漏えいを引き起こしたりします。17年に世界的に感染拡大した「ワナクライ」もウィンドウズの通信プロトコルの脆弱(ぜいじゃく)性をねらったウイルスでした。

 ウィンドウズ7サポート終了への対処方法は主に3つあります。

①パソコンの買い替え
 最新OSの「ウィンドウズ10」が搭載されているパソコンに買い替え、7のパソコンで保存しているデータを移行します。

②OSのアップグレード
 無償アップデートの有無を確認の上必要であればウィンドウズ10を購入し、パソコンのOSを7から10にアップグレードします。

③有償サポートの利用
 ①もしくは②の方法が推奨されますが、何らかの理由によってウィンドウズ7を利用しつづける必要がある場合には、マイクロソフトによる有償サポートサービスを利用し、セキュリティー更新プログラムの適用を継続してください。

 いずれの方法を採用するにしろ、まずはウィンドウズ7搭載パソコンの有無を社内で確認してください。もし存在する場合、業務で利用しているソフトやアプリケーションを把握し、ウィンドウズ10移行後も利用を継続できるか、ソフトウエアのウェブサイトに記載されているサポート情報等で確認します。その上で作業時間やコストを勘案し、先に紹介した3つの方法の中から適したものを選択するとよいでしょう。

 企業のなかには、ウィンドウズ7搭載パソコンをインターネットに接続しないスタンドアロン環境での利用を検討するケースもあるかもしれません。ただその場合も、従業員が誤ってインターネットに接続してしまったり、USBメモリなどの外部媒体からウイルスに感染するおそれがあるため、そうした運用は避けた方が賢明です。

 なお、2020年1月14日に「ウィンドウズサーバー2008(R2)」が、同年10月13日には「オフィス2010」のサポートも終了するため、使用している場合は念頭に置くようにしてください。

掲載:『戦略経営者』2019年5月号