アジア女性交流・研究フォーラム(Kitakyushu Forum on Asian Women略称KFAW(ケーフォー))は、北九州市に拠点を置く公益財団法人である。「アジア女性会議─北九州」の開催など多彩な事業を展開し、国内外の女性の地位向上を目指す。2016年に会計システムを『FX4クラウド公益法人会計用』に移行。顧問税理士による手厚いサポートにより、大幅な業務効率化を実現した。

豊富なセミナーや講座で男女共同参画社会を後押し

──KFAWの組織概要を教えてください。

アジア女性交流・研究フォーラム

右から江島茂事務局長、住野佳紀事業課長、
経理担当の新田祐子さん、経理担当の松本幸恵さん、
石川真里子国際交流課長、大村昭子企画広報課長、高橋保顧問税理士

江島 北九州市の外郭団体として、女性の地位向上や男女共同参画社会推進のための調査・研究および国際交流、情報発信事業を行っています。
 2006年4月には北九州市立男女共同参画センター「ムーブ」の、2011年4月には北九州市立東部勤労婦人センター「レディスもじ」、北九州市立西部勤労人センター「レディスやはた」の指定管理者となり、管理運営を担当しています。セミナーや市民を対象とした公開講座の開催等さまざまな事業を展開していますが、中でも大がかりなのが例年秋に開催している国際シンポジウム「アジア女性会議─北九州」です。

──どんなイベントですか。

石川 2017年で第28回を迎えた目玉事業で、高齢者介護をテーマに講演会とパネルディスカッションを実施しました。特別養護老人ホームで働いている女性の外国人介護福祉士などが登壇し、130名ほどの方が出席されました。2016年は最近話題の「持続可能な開発目標(SDGs)」をテーマに開催し、時代を先取りした課題を考察できたと参加者から評価いただきました。

──仕事柄、女性職員の方が多いのでしょうか。

江島 3拠点合わせて39名の職員がおり、うち8割超が女性ですね。

大村 子育てにしろ、介護にしろ、家庭の問題は女性が抱え込みがちです。課題を身近に感じられるのが女性である現状を如実に反映しているのかもしれません。

──ムーブでは定期的に講座を開催しているそうですね。

「第28回アジア女性会議-北九州」、「味噌づくり男子」講座

(上)ムーブ大セミナールームで開催された
「第28回アジア女性会議-北九州」
(下)男性向けの人気講座「味噌づくり男子」

住野 男女共同参画社会推進のための活動拠点として女性のキャリアアップ、就労支援のための各種講座やイベントを開催しています。「働き女子の夢をかなえるキャリアアップ講座」は2017年で7期目を迎え、これまでに200名をこえる方々が修了されました。今年のキャリアアップ講座のパネリストとして過去の修了生の方にご登壇いただくなど、取り組みの効果が着実に広がっているのを実感しています。
 近年は男性向けの講座にも力を入れていて「おとこの魅力アップシリーズ」と銘打ち、テーマを変えて年間5回ほど開催しています。今年は「パンづくり男子」「片付け男子」「味噌づくり男子」などを実施しました。男性向けの講座は毎回定員を上回る応募があるほど人気があります。

──男女の枠をこえた活動です。

住野 女性の活躍推進だけがクローズアップされがちですが男女関わりなく、一人ひとりが自分らしく活躍できる社会を実現することが目標です。

──巷間(こうかん)、女性活躍社会の推進が盛んにいわれていますが、手応えを感じていますか。

江島 一般企業でも女性の管理職の方が増えていたり、だいぶ風向きが変わってきているのではないでしょうか。そうした機運はわれわれの活動に追い風になっていると感じています。

伺書作成関連業務の効率が飛躍的に向上

──2016年に会計システムを『FX4クラウド(公益法人会計用)』に切り替えられたとお聞きしました。

アジア女性交流・研究フォーラム

新田 KFAWで働くスタッフのうち約30名が嘱託職員で、最長5年で入れ替わります。私が総務課に加わった当時は、現在と異なる会計ソフトを利用していましたが、日々の運用や決算業務に際してさまざまな点で不便さを感じていました。

──具体的には?

新田 伺書作成ソフトのインストールされている専用端末が各事業所にあり、座席を移動して操作する必要があったのがひとつ。入力したいデータがあるのに、他の職員が利用していて端末がふさがっているときがよくありましたね。多くの職員が日々伺書を作成しますから。もちろん、ソフトはクラウド型ではなく仕様もきっちりと決まっていたため、勘定科目の追加なども柔軟に対応してもらえませんでした。
 それと、決算時に科目内訳書を作成する際は、ソフトのデータを参照してスプレッドシートに内訳を入力し、顧問税理士の高橋先生にメールでお送りしていました。不便さを感じながら何とかやりくりしていましたが、経理業務を担当して2年目の決算を迎えたとき、数字の誤りが見つかったんです。公益財団法人用の会計ソフト導入時に、繰越残高が正しく入力されていなかったことが原因でした。ミスを繰り返さないためにはTKCシステムに切り替え、高橋先生とスムーズにデータをやりとりできる体制に改める必要があると、当時の上司に具申しました。

──その結果、了解が得られたと。

新田 はい。おそらくコスト面も大きな決め手になったと思います。『FX4クラウド』に切り替えて、ランニングコストが従来の約半分に減りました。

高橋 毎月の巡回監査前に事務所のパソコンで入力済みの仕訳をあらかじめ確認し、気になる箇所を控えておき訪問時に詳しく確認しています。以前は職員とおうかがいし、半日がかりで監査していましたが、私一人が正味2時間半ぐらいで監査を終えられるようになりました。

──システムの移行に際してとまどいはありませんでしたか。

新田 『FX4クラウド』の入っているパソコンをこちらに持ち込んでいただき、実際の入力画面を確認しました。システム導入時には仕訳入力する練習期間を1カ月間ほど設けてもらい、研修も複数回受講しました。新入職員が加わったときも、TKCの担当の方に事務所に来てもらいサポートを受けています。

──使い勝手はいかがでしょう。

新田 各事業所のほぼ全てのパソコンに『FX4クラウド』がインストールされていて、職員が好きなときに伺書データを入力できるようになりました。日々の仕訳入力では、調査・研究事業や交流・研修事業などを束ねる「公益目的事業Ⅰ」を私が担当し、松本が施設の指定管理事業である「公益目的事業Ⅱ」を担当しています。

松本 従来は、ひと月300件前後の伺書データをスプレッドシートに手入力し、取引先ごとに振込額を集計する作業に数時間かかっていました。現在は、承認した伺書データをインターネットバンキングの振り込みデータとしてそのまま連動できるので、処理がとても楽になりましたね。

──事務作業の負担軽減につながったわけですね。

新田 システム操作の疑問点は高橋先生の事務所に質問すると親身に対応してもらえ、業務が停滞することがなくなりました。また、以前のソフトでは、毎日データをバックアップするのに20分ぐらいかかっていました。それぞれの拠点に電話をしてその間、ソフトの利用をストップしてもらっていたんです。今はクラウドシステムのため、データが自動的にバックアップされ安心です。

松本 システム導入時には事務処理を効率的に行うための設定方法をアドバイスしていただきました。操作で困ったときも質問できるので助かっています。

──直近で予定しているセミナーなど、方向性をお聞かせください。

江島 アジアにおける男女共同参画の現状を市民の皆さまに広く知ってもらうため、2018年1月27日に「タイの社会と女性」をテーマとするセミナーを開く予定です。福岡市で働いているタイ出身の女性をお招きし、女性の社会進出度が高いタイ社会の実情について講演してもらいます。日本の男女共同参画社会実現のためのヒントを得ていただく機会になれば幸いです。
 ムーブで開催する講座にも当てはまりますが、時代の流れや市民のニーズに即したイベントの開催、研究活動をこれからも行っていきます。

(西日本統括センター・小山育伸/本誌・小林淳一)

会社概要
名称 公益財団法人アジア女性交流・研究フォーラム
設立 1990年10月
所在地 福岡県北九州市小倉北区大手町11番4号
北九州市大手町ビル3F
職員数 39名
URL http://www.kfaw.or.jp/
顧問税理士 税理士社会保険労務士 高橋保
高橋保税理士・社会保険労務士事務所
福岡県田川市大字伊田3684番地4
TEL:0947-46-0829
URL:http://takahashi-tamotsu.tkcnf.com/

掲載:『戦略経営者』2018年1月号