静岡県中部4カ所でギフトショップを経営するイトウシャディ。『PX2』とデータ連携可能なアマノ社の勤怠管理ソフト付きタイムレコーダー『タイムパック(TimeP@CK)』導入を機に、人事給与制度改革を成し遂げた。お歳暮シーズンを控えた相良店を訪ね、伊藤義康社長と知久(ちきゅう)太田会計事務所の高木康晴・監査担当に話を聞いた。
店舗の顧客層に合わせた豊富な品ぞろえが自慢
──取り扱っている商品の品ぞろえを教えてください。
伊藤義康社長
伊藤 地元静岡県産のマスクメロンやイチゴ、しらすなどの食品類からタオル、洗剤といった日用品までさまざまなギフト商品を取りそろえています。出産、結婚の内祝いや冠婚葬祭の引き出物として、法人向けにはお歳暮、お中元、周年記念品としてのニーズが主です。本社でもある相良店では地元農家と提携し、ふるさと納税の返礼品を全国へ発送しています。
──4店舗展開されています。
伊藤 相良店、吉田店、焼津店の3店はロードサイドにあり、浜岡店はショッピングモール内に出店しています。浜岡店は立地柄、若いお客さまが多く、生活雑貨などのパーソナルギフトを豊富に扱っているのが特徴です。喫茶店を併設し、自家焙煎(ばいせん)のコーヒーやコーヒー豆も販売しています。
──集客はどのように?
伊藤 お得意さまにダイレクトメールをお送りしたり、折り込みチラシを新聞に封入したりしているほか、ソーシャルメディアによる情報発信も最近始めました。カタログギフト商品や社内イベントを写真入りで随時掲載しています。浜岡店のスペースでは植物の栽培方法や美容をはじめ、いろいろなテーマの教室を定期的に開催しています。
──伊藤社長は4代目にあたるそうですね。
国道473号線沿いにある相良店
伊藤 はい。創業当初は現在の牧之原市にあった小さなショッピングセンターの中で、金物や生活雑貨を販売する商店を営んでいました。周辺に大規模なホームセンターが出店しはじめ、このままではいけないと創業者がギフト店に業態転換。1986年に1号店である浜岡店をオープンしました。私は学校卒業後、島根県松江市のギフト店で2年間従業員として修行を積み、イトウシャディに入社して店長などを経験し、2013年に社長に就任しました。松江市のお店は今も営業していて、社会人のイロハを学ぶ貴重な経験ができたと感じています。
──働きやすい職場環境づくりのため取り組んでいることはありますか。
伊藤 以前は年間で3日間しか定休日を設けていませんでしたが、50日間に増やし、効率を重視した働き方を心がけています。従業員はほぼ全員が女性です。育児や介護のため短時間勤務のシフトで働いている社員もおり、人手が一時的に足りないときは、店舗間で協力しあい柔軟にやりくりしています。
また、店長やメンターと年に複数回面談する機会をつくり、悩み事などを相談できる体制に改めました。こうした取り組みにより近年は定着率が向上していて、産休から復帰して働いている社員がいたり、勤続30年になるベテランの社員もいます。お客さまのご相談に親身に対応できるのが女性の強みだと思います。
集計から振り込み指示まで給与処理を一気通貫で行う
──社長就任と同時期にアマノ社の勤怠管理ソフト付きタイムレコーダー『タイムパック(TimeP@CK)』を導入されたと聞きました。
タイムパックで効率化を加速
伊藤 従来、『PX2』を用いて従業員の給与計算を行っていました。ただ、20名いる従業員のほとんどは時間給で、金額もまちまち。4店舗からタイムカードを本社に送ってもらい、月間の勤務時間を集計するのに3日間ほど要していたんです。毎月巡回監査で来ていただいている知久太田会計事務所の高木さんに相談したところ、『PX2』とデータ連携でき、給与計算が楽になるいいソフトがあると。
高木 イトウシャディさまの担当者が優秀な方で複雑な給与処理を行っていましたが、作業が属人化しつつありました。時間外賃金の割増率も、ある方は1.25倍、別の方は1.15倍といった状態で、社員一人ひとりが独自の体系で計算されていました。給与計算の担当者が変更になり、社長が交代したタイミングで『タイムパック』の利用を提案したのが導入のいきさつです。
──運用方法を具体的に教えてください。
伊藤 各店舗に設置してある『タイムパック』に紙のタイムカードを通し、日々出退社時間を打刻します。そして月末にデータをUSBメモリに切り出し、『PX2』を入力している本社に送ってもらいます。本社では『タイムパック』の付属ソフト『サッと計算』にデータを読み込み、ひととおりチェックを行った後、『PX2』に集計データを読み込むというのが毎月のルーティンです。
──『タイムパック』の導入によりどんな効果がありましたか。
地元特産品のコーナー
伊藤 タイムカードを元に勤務時間を電卓で集計する必要がなくなり、給与計算業務の効率化を図れました。手計算に付きものの計算、転記ミスを防止できるのはありがたいですね。今では1日あれば作業を完了できます。それと、高木さんにアドバイスをいただきながら、複雑化していた給与体系を『タイムパック』の仕様に合うように見直し、人事給与制度改革もあわせて行ったためシンプルな仕組みになりました。
結果として給与計算の根拠がより明確になり、従業員に安心感を与えられたのではと思っています。今では金融機関のファームバンキングソフトを使い、従業員の預金口座に給与をそのまま振り込めるので、給与処理がとても効率的になりました。
──フォローアップ体制はいかがでしょう。
伊藤 立ち上げ時にアマノ社の社員が最寄りの支店から当社に来て設定を支援してくれたり、操作方法がわからないときはフリーダイヤルに電話すると丁寧に教えてもらえるので助かっています。
従業員同士の交流を深める恒例の経営計画発表会
──巡回監査時はどんなことを話し合っていますか。
伊藤 高木さんに『FX2』に入力した数字をひととおり監査してもらった後、こっちのお店の在庫が多くなってきているとか、粗利が増えているといった業績の報告を受けています。経営計画と比較して現状を把握し、コーヒー販売などの新事業や人材採用計画に関して相談しながら、将来の打ち手を検討することが多いです。巡回監査で話し合った内容が毎年策定している経営計画のベースになっています。
──経営計画を発表する機会は設けていますか。
伊藤 決算期末である8月末に地元商工会の会議室を借り、経営計画発表会を開催しています。先代社長のころからこの取り組みを始めたので、もう20年弱になるでしょうか。参加者もだんだん増え、従業員はもちろん高木さんや取引先さまにも参加してもらっています。
かつては9月中旬に開いていましたが、時期を徐々に前倒しし、ことしは8月23日に開催しました。創業300年になる地元企業の方の講演を聴いたあと、従業員がグループに分かれて「よい会社よい職場」をテーマに討議しました。各自の意見を付箋に記し、模造紙に貼っていくんです。終了後は懇親会も開催しているので、従業員の交流が店舗間で深まりました。経営計画書はファイルにとじ、全従業員に配布しています。
──分厚い計画書ですね。
50ページにおよぶ経営計画書
伊藤 経営理念や組織図、年間スケジュールに加え、会社、店舗、社員各自の目標が数字とともに記載されています。経営計画書に書かれている接客方針などの心がまえを朝礼で毎回1ページずつ読み合わせているので、いつの間にかロッカーの中に眠っていたということがなくなりました。
──今後はいかがでしょう。
伊藤 結婚、出産など節目の時期に家族3世代で来店されるお客さまも少なくありません。生産者とタッグを組み、地元の方々から応援してもらえるお店づくりに努めていきます。販売をはじめて1年になる自家焙煎コーヒーをブランド化し、ゆくゆくは東京にコーヒーショップを出店するのが目標です。
(本誌・小林淳一)
名称 | イトウシャディ株式会社 |
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創業 | 1981年2月 |
所在地 | 静岡県牧之原市波津828-1 |
社員数 | 21名 |
URL | http://www.gift-ito.jp/ |
顧問税理士 | 知久正博 知久太田会計事務所 静岡県榛原郡吉田町片岡321-7 TEL:0548-32-7054 URL:http://chikyu-net.tkcnf.com/ |