最近、飲食店の食材偽装問題で景品表示法がよく話題にのぼります。どんな法律なのでしょうか。(飲食業)

 景品表示法は不当景品類と不当表示を防止し、一般消費者の自主的かつ合理的な選択の確保を図る法律です。最近の外食メニューの虚偽・誤認表示では、景品表示法で定められた不当表示にあたるため問題になっています。

 景品表示法は食品にかぎらず、商品・サービス全般に適用されます。もっとも、同法が制定されたきっかけは、昭和30年に起こったニセ牛缶事件(牛肉の大和煮と表示された缶詰に入っていた肉が牛肉だけでなく馬肉、鯨肉も含まれていた事件)であり、食品の不当表示と景品表示法は、密接な関係があると言えます。

 以下、事業者が行ってはならない不当表示とはどのようなものか解説します。景品表示法では、次の3点を挙げています。

(1)優良誤認表示 商品・サービスの品質、規格等について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示、または事実に相違して同種・類似の商品・サービスを供給している他の事業者のものよりも著しく優良であると示す表示
(2)有利誤認表示 商品・サービスの価格その他の取引条件について、実際のものまたは同種・類似の商品・サービスを供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
(3)内閣総理大臣が指定したもの(例:無果汁の清涼飲料水等についての表示等)

 不当表示か否かは、消費者の視点から客観的に判断されるため、故意・過失を問いません。したがって「偽装」と「誤表示」を区別する意味はないと言えます。

 不当表示を行った事業者には、消費者庁長官から、「指示」や「指示に係る措置命令」といった行政処分が課されます。指示や命令に従う限り、刑事罰は科されません。

 また、消費者契約法に基づく適格消費者団体から不当表示の差止請求を受けることもあります。この手続きは、最終的に訴訟で解決されることになります。

一連の事件をうけて改正へ

 なお故意に商品の原産地、内容等について誤認させる表示をした場合は、不正競争防止法における「不正競争」にも該当します。この場合、「不正の目的」をもって誤認させる表示をしたり、誤認させる「虚偽の」表示をすると、事前の行政処分もなく直ちに刑事罰を科されることもあります。

 一連の外食メニューの虚偽・誤認表示事件をうけて、消費者庁では、いくつかの制度の改定、改正が検討されています。一つは、外食メニュー用のガイドラインを策定することです。不当表示に該当する事例が分かりやすくなり、事業者の行動指針になることが期待されます。

 もう一つは、都道府県知事に景品表示法上の措置命令権限を付与することで、都道府県の指導が強化されることになります。

 不当表示は、それと意識せずにしてしまう場合もありますが、行政処分を受けるだけでなく、社会的非難を受け事業に多大な影響をきたします。未然に防止するためには、過去の違反事例から学ぶほか、消費者の視点に立ち、誤認させる表示になっていないかを常日頃チェックすることが重要です。

掲載:『戦略経営者』2014年1月号