社有車での社員の事故や違反などのトラブルが頻発しています。劇的に減らす方法はありますか。(印刷業)
道路交通法では、社有車を5台以上(乗車定数11人以上の車は1台以上)保有する会社は「安全運転管理者」や「副安全運転管理者」(20台以上)を選任し、公安委員会に届けなければなりません。このルールが守られているかまず確認してください。
また、たとえこれが守られているとしても、形式的なものでは意味がありません。安全運転管理者は、「運転管理に関する実務経験2年以上(公安委員会が行う教習を終了した者は1年)」など、それなりの経験と知識が必要になりますが、経営資源の乏しい中小企業の場合、専任というわけにはいかず、業務がおざなりになりがちです。そうならないためにも、交通安全対策の実施状況を管理者の評価に直結させたり、実績に応じて手当を支給するなどの実践的な施策が必要でしょう。
その上で各論ですが、ベースになるのは研修や教育です。新入社員あるいは全社員に対する定期的な交通安全研修の実施はもちろんですが、是非おすすめしたいのがペーパードライバーへの教育です。免許を持っているというだけで信用し、若い人にいきなり社有車を運転させる会社もあるようですが、これは危険です。おとなしい新入社員などは、自らペーパードライバーと申告できずに、つい命じられたままに車を運転してしまう傾向があります。事前に厳密な聞き取り調査をし、ペーパードライバーだと判断した者には、できれば自動車教習所のペーパードライバー向け教習を活用して再教育してください。
ドラレコの導入も有力
教育の次には罰則の強化です。これには異論もあるかもしれませんが、違反や事故を起こした者には社内免停からはじまって免職、降格など会社としての厳格な指針を打ち出すべきでしょう。ただ、ここで気をつけてもらいたいのは公平性です。違反や事故に呼応する具体的罰則を明確にして、例外なき適用を心がけてください。ここで恣意的な運用をしてしまうと社内がぎすぎすし、会社不信の元となりかねません。たとえ経営陣であろうともルールに従う、という姿勢が全社的な交通安全への良い意味での緊張感を維持するのだと思います。
さらに、ハード面での対策もあります。ドライブレコーダー(ドラレコ)の搭載です。ドラレコとは事故やニアミスなどにより衝撃を受けると、その前後の映像とともに、走行データをメモリーカードなどに記録する装置のことです。まず、これを搭載するだけで、すべてが記録されるという意識から運転者の安全意識が高まります。また、事故やニアミスの状況が記録されるため、その映像を利用して社員の安全教育に活用ができます。ドラレコは通常仕様なら数万円、安いものなら1万円を切る機種もあります。
デジタルタコメーターの導入も検討の余地があるでしょう。最近では速度オーバー、急加減速、長時間アイドリング、長時間連続運転などを行った場合に警告をしてくれるすぐれものもあり、運送業者などでは導入が進んでいます。ある程度のコストはかかりますが、通常の会社においてもこれを導入すれば、かなりの事故・違反減が期待できるでしょう。