最近LINEというアプリの名前をよく目にします。企業のPRなどにも活用できるものなのでしょうか。(アパレル業)
LINEはNHN JapanというIT企業が運営する無料通話・メールアプリです。スマートフォンでの利用を前提に開発されたもので、ユーザーのスマホのアドレス帳のデータの一部(名前と電話番号)がサーバーにアップロードされ、電話番号によって自動的にマッチングが行われます。この挙動は設定によってオフにすることもできますが、従来のSNSのように招待状を送ったりする必要がないため、急速に利用者を増やしてきました。
文字だけでは伝わらないこともある感情を、スタンプと呼ばれる大きなイラストで楽しく自然に伝えられることも人気を博した理由に挙げられるでしょう。スタンプの多くは有料(1セット170円)ですが、その売れ行きも好調といいます。
今年1月18日には全世界でユーザーが1億人を突破。国内のユーザー数も4100万人に達したとされます。国内のツイッターやフェイスブックの利用者数を超える規模になったLINE。基本的に電話番号を交換した人どうしがプライベートな交流をするサービスですが、企業が自社ブランドや製品・サービスのPRに使う例も増えています。
それを可能にしているのがLINEの「公式アカウント」です。ユーザーがLINEで友だちを追加するのと同じ感覚で、企業のアカウントをフォローすることで、最新情報がメッセージとして届けられるというわけです。メールマガジンと一見似ていますが、受信の操作が必要なく、リアルタイムにスマホに情報が届くため告知効果は高いといえるでしょう。
中小は「LINE@」にも注目
昨年夏に始まったばかりのLINE公式アカウントですが、すでに多くの大手企業が展開を行っています。最もLINEの特徴を生かしているのはコンビニエンスストアのローソンでしょう。500万人以上がローソン公式アカウントと「友だち」になり、季節や時間帯に応じたお得なクーポンを受け取っています。ANAのようにキャビンアテンダントのスタンプの無料配布で友だちを急速に増やし、ブランド認知の向上を図っている例もあります。
魅力的な公式アカウントですが、初期費用が200万円、月額費用が150万円~と気軽にはじめられるものではありません。そこで、昨年11月にその廉価版ともいえるLINE@(ラインアットhttps://biz.line.naver.jp/ja/)というサービスもはじまりました。実際に国内に店舗や施設があることが条件となり、友だちの上限が1万人になる(1万人以上は別料金)といった制約はありますが、月額5250円(税込み)と手軽な価格設定が魅力です。アパレルチェーンのLIP SERVICEはこのLINE@でセール情報などを発信し、売り上げが前週比50%増になるという成果をあげています。
大手ポータルサイトのヤフーやソーシャルゲーム「モバゲー」で知られるDeNAも同様のアプリをリリースし、無料通話・メールアプリのユーザー層の拡大と機能強化も急速に進んでいます。ネット上から実店舗への誘導を図るO2O(オンライン・ツー・オフライン)の強力なツールとして進化し続けるLINEは、販促・PRツールとしても注目の存在になりつつあるといえるでしょう。