「フェイスブック」に登録している社員が増えています。「ソーハラ」といわれないためにはどんな点に注意すればよいでしょうか。(雑貨卸売業)
ソーシャルメディアはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)ともよばれ、インターネットの利用者がネット上で交流するサービスのことを指します。会員登録したうえで、年齢、性別といったプロフィールや趣味などを公開し、会員同士が交流を図ります。世界規模を誇る「フェイスブック」、140文字以内の短い文章をやりとりをする「ツイッター」、日本発の「ミクシィ」等が有名です。
これらのサービスの普及にともない、SNS上における職場の部下や同僚との付き合い方に悩む人が増えています。フェイスブックを利用中の女性社員から持ち込まれた相談を紹介します。
あるとき男性上司から友達申請が届きました。上司からの依頼のため断りづらく友達登録をしたところ、いつも上司が「いいね!」と共感を表すボタンを押してきます。掲示板の閲覧制限も考えましたが、上司との人間関係を損ねたくないためそれもできません。以前は写真を載せたりして楽しく学生時代の友人と近況や趣味のことなどを話題にしていたのですが、徐々に憂鬱になってきて、1カ月後には更新するのをやめてしまいました。彼女は「自分のプライバシーをのぞき見されているようでいやだった」といいます。
別のケースでは、上司からの友達申請をそのままにしていたところ「なぜ承認しない」と催促され、やむなく応じると上司の書き込みにもコメントを書かざるを得なくなり、休日まで上司とのやりとりに追われるようになりました。結局、書き込みはもうやめてしまったそうです。
プライベートの深入りは禁物
以上のような問題は「ソーシャル・メディア・ハラスメント」(通称ソーハラ)とよばれます。ソーハラと言われないようにするためにはどうしたらよいでしょうか。もし部下や社員とSNSで交流したいときは、まずは相手から声がかかるまで待つほうがよいでしょう。気軽に友達申請したつもりでも、重荷に感じる社員もいます。
また、SNSを利用するのはプライベートにおける仲間をふやしたいという動機が多く、書き込みの内容は家族や趣味のことなどが大半であるはずです。それらを閲覧して過剰に反応してコメントを書き込んだり、職場で話題にすることも避けたほうがよいでしょう。フェイスブックの「いいね!」ボタンを部下のページで押し続けていると、「監視されている」「自分も上司の書き込みを毎日チェックして『いいね!』を押さなくては」「上司の書き込みに良いコメントをしなくては」とプレッシャーに感じさせてしまうこともあり注意が必要です。
米国はフェイスブック誕生の地ですが、仕事関係の人には友達申請しないのが一般的なようです。日本では職場での人間関係が友人関係と重なる傾向が強いため、仕事とプライベートを区別できず、友達申請を断りづらい状況を生み出しています。フェイスブックを初めて使うかたは、まずは学生時代の友人や趣味の仲間同士で交流してみて、自分のコメントに対し相手がどう感じるのか、また自分はどう感じるのか慣れておくことをおすすめします。もちろん、職場内で趣味の仲間同士の交流や、コミュニケーション活性化のためSNSを役立てている企業もあります。ルールを決め節度を持って活用することが大切です。