今年7月から「在留管理制度」が導入されますが、当社の外国人の雇用契約で気をつけなければならない点を教えてください。(飲食店経営)

 2012年7月9日から新しい「在留管理制度」がスタートします。この新しい制度では「在留カード」が交付され、在留期間の上限がこれまでの3年から最長5年に変更されます。在留カード交付により、現在の「外国人登録制度」は廃止となります。また、再入国制度が変わり「みなし再入国許可」の制度が導入されます。これにより、出国から1年以内に再入国する場合の再入国許可手続きが原則として不要となります。

対象者は中長期在留者

 新しい在留管理制度の対象となる人は、入管法上の在留資格を持ち日本に中長期間在留する外国人(中長期在留者)です。たとえば、在留資格が「日本人の配偶者等」や「定住者」の方、企業等に勤務していて在留資格が「技術」や「人文知識・国際業務」などの方、技能実習生、留学生、永住者の方が対象となります。観光目的などで短期間滞在する方は対象となりません。

 なお、外国人登録制度では不法滞在者も登録の対象となっていましたが、改正後の在留管理制度では対象となりません。

 対象となる中長期在留者には、「在留カード」が交付されます。このカードは、顔写真付きICチップ搭載で、カード番号、氏名、生年月日、性別、国籍、住居地、在留資格、就労制限の有無、資格外活動の許可、在留期間、許可年月日、有効期間などが記載されています。

 また、在留期間が最長5年になることに伴い、在留資格が「技術」や「人文知識・国際業務」等の就労資格の場合の在留期間は5年・3年・1年・3月となります。最初から3月以下の在留を予定している場合があるため、今回3月が新設されましたが、3月の場合は在留管理制度の対象とはならず、在留カードは交付されません。

 改正後は、この在留カードによって就労可否の判断がしやすくなります。このカードには、就労制限の有無や、留学生の資格外活動許可の就労可能時間数も記載されているからです。このため、事業主は在留カードを確認するだけで、その外国人の方が労働条件に合致して就労可能な在留資格を有しているかどうかが判断しやすくなります。

留学生をバイトで採用する場合

 留学生・就学生が資格外活動許可を受けた場合、アルバイトをすることができます。留学生・就学生をアルバイトで採用する場合、改正後は在留カードで確認をしてください。

 ただし、就労可能時間は、(1)大学等の学部生および大学院生の留学生(2)専門学校等の留学生は1週間につき28時間以内など制限があります。なお、資格外活動の許可のない外国人がアルバイトに従事した場合、不法就労となるため注意が必要です。

 また、同時に住民基本台帳法が改正され、中長期在留者などの外国人住民については、日本人と同様に住民票が作成されるようになります。外国人住民の住民票には氏名、生年月日、性別、住所、国民健康保険等の被保険者に関する事項、国籍、在留資格、在留期間等が記載されます。

 改正後は、住所を移転した場合、住居地を定めた日から14日以内に住居地の市町村へ届け出が必要になります。

掲載:『戦略経営者』2012年3月号