2024年10月号Vol.136

【ユーザー事例1】行かない! 書かない! スマート窓口を推進

かんたん窓口+スマート申請 > 栃木県宇都宮市

市民まちづくり部市民課 企画グループ 総括 久保井伸明 氏 / 証明グループ専任 大岩和絵 氏 / 総合政策部デジタル政策課デジタル活用グループ 総括 小林俊平 氏 / 主任 川又誠大 氏

住所
栃木県宇都宮市旭1丁目1-5
電話
028-632-2222
面積
416.85平方キロメートル
人口
512,214人(2024年5月1日現在)
栃木県宇都宮市

──行政手続きのデジタル化の取り組みを教えてください。

小林 宇都宮市では、2023年2月に『うつのみやデジタル共創未来都市ビジョン』を掲げ、これに基づき市が取り組むデジタル施策をまとめた『宇都宮市DX実現タスク』を策定しました。行政手続きのデジタル化も、その重点取組項目の一つです。これにより、①全ての市民がいつでも・どこでも・簡単に手続が完結する「スマート窓口」の実現、②「業務のデジタル変革」の実現──を目指します。
 その一環として21年度に「電子申請共通システム」を開始しました。4月末現在でオンライン手続き数は258件、利用件数は累計で約2万2,800件となっています。昨年12月から本庁で「書かない窓口」を導入し、3月からは17の地域行政機関でもサービスを開始、7課47手続きで利用できます。
 推進体制としては、23年度に市長をトップとする「宇都宮市DX実現本部」を設置しました。DX実現本部の下にタスクの事業化を検討する推進チームを置き、実現に向けた課題などはワーキンググループで議論しています。

誰にでも優しいセルフ型

セルフ方式の「記載台型」

セルフ方式の「記載台型」

──書かない窓口では、市民自身が操作するセルフ方式も導入されました。

久保井 市民課では、職員が市民に聞き取りを行いながら申請書を作成する〈対面型〉5台と、セルフ方式の〈記載台型〉4台を利用しています。記載台型を設置した狙いは、窓口の混雑緩和と職員の負担軽減につなげたいと考えたものです。
 市民ができるだけ簡単に操作できるよう、マイナンバーカードなどから基本4情報を読み取り、申請書に自動的に印字する利用形態をとっています。

川又 利用者をサポートするため、3~4月の繁忙期に書かない窓口操作支援員(2名)を配置しました。こうした取り組みにより、記載台型は1日平均で20名ほどに利用されています。  支援員には記載台型を利用する市民の声を聞いてもらっていますが、名前などを手書きせずに申請できることで、特に高齢者や外国籍の市民から高い評価を受けています。

大岩 高齢者の中には、加齢や病気などさまざまな理由により手書きが困難な方がいらっしゃいます。また外国人市民の場合、申請者欄にアルファベットで氏名を記入してもらいますが、申請を受け付ける職員はその確認に苦労していました。この点、在留カード等から情報を読み込み・印字すれば、市民と職員の双方に便利です。このように記入や確認の手間を軽減しつつ、手続きをスムーズに進められるのは大きな利用メリットだと感じています。

小林 では、高齢者への外出支援として、地域の公共交通機関の乗車運賃に利用できる福祉ポイントを交通系ICカード「記名式totra」に付与する事業に取り組んでいます。この利用申請でも書かない窓口の利便性を実証できました。地域行政機関からも前向きな意見が上がっており、今後の利用拡大に期待しています。
 記載台型を多くの市民に利用していただくには、セルフレジのように〈困った場合に支援を受けられる〉など安心して利用できる環境が必要です。また、地域行政機関に設置しているのは記載台型のみとなりますが、今後は対面型の設置を含めて、それぞれの利用状況に合わせた柔軟な運用も考える必要があるでしょう。これらについては、今後の検討課題です。

全庁でDX推進

久保井 セルフ方式が浸透すれば、市民に入力してもらう項目を増やすことも考えられますが、それによって記載台型が混雑することも想定されます。いかにスムーズな窓口サービスを提供するか、システム標準化も見据えながら引き続き検討が必要ですね。また、デジタルにまだ慣れていない職員に一歩目を踏み出してもらうための後押しも大切と考えています。

川又 そのためにも職員のデジタルリテラシーの向上が重要で、デジタル関係の職員研修の充実を図ったほか、今年3月には「DX実現に向けた取組事例集」(冊子・専用サイト)を公開し庁内で横展開がしやすいようにしました。

──今後の計画を教えてください。

小林 電子申請共通システムと書かない窓口の導入で、スマート窓口の実現に必要なツールは整いました。今後は、それをどう活用していくかです。
 行政手続きのオンライン化では、27年度までに500手続きの達成を目指します。そのために昨年、オンライン手続き作成のガイドラインもまとめました。また、書かない窓口では各課の横連携や手続き案内などを検討する予定です。さらに電子申請共通システムで事前申請し、書かない窓口に連携することも考えていきたいですね。
 DX推進では、現場の意見を積極的に吸い上げて意思決定することを大切にしています。トップダウン方式に比べると時間はかかりますが、職員の主体性醸成やわずかな環境変化にも柔軟に対応できる──このメリットを生かして、よりよいスマート窓口の実現を目指します。

写真左から小林総括、川又主任、大岩専任、久保井総括

写真左から小林総括、川又主任、大岩専任、久保井総括

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