事務所経営
会計事務所の高付加価値経営実践講座2024」【職員編】が全国で盛況に開催!
9月5日にTKC近畿兵庫会研修室で開催された研修会には、同研修会の【所長編】に所長が参加した事務所を中心に、16事務所33名の職員が参加した。
【職員編(第1回)】受講後の実践結果をフィードバック
本研修【職員編】では、学んだ内容を関与先経営者との対話で「実践」し、それを次回の研修でフィードバック・ディスカッションを行うことで、職員の皆さんの成功体験や失敗体験、気づきを共有することが大きな目的である。
第1回の研修受講後に関与先経営者に「5つの質問」を基に対話を行った結果は第2回研修の場で共有された。全国の開催報告において、次のような反応がみられる。
「経験が浅くても経営者との対話内容の充実が図れた」
「巡回監査時に『5つの質問』による短期経営計画を社長と実践したところ、普段以上に感謝していただけた」
「社長から、『がむしゃらに取り組んでいたが、経営計画で先の見通しがわかりホッとした』と感謝された」
「関与先に計画策定を提案したところ社長から『TKCシステムでこのようなことができるとは思わなかった。毎期お願いしたい』と喜ばれた」
このように、職員の皆さんが実際に関与先経営者に対して、継続MASの「5つの質問」で対話を行い、予算策定を支援することで関与先経営者に気づきとやる気を与え、結果として職員さんへの高い評価に繋がっている結果がうかがえる。
TKC近畿兵庫会研修会(9月5日)
講師:近畿兵庫会中小企業支援委員会 吉川滋樹委員長
吉川滋樹委員長
講師の吉川滋樹近畿兵庫会中小企業支援委員長からは、まず受講者に対して、「社長と未来についての話ができたことが大きな成果。数字を合わせようとする拘りを捨てて、大まかな数字が見えることに意味がある。社長抜きで我々のサービスを提供するのではなく、挫けそうになっても未来について話をすることを継続してほしい」と熱いメッセージが送られた。
続いて、継続MASの活用を定着化させるための重要なポイントとなる「決算事前検討会」を実施するための体制づくりについて、「タイムリーな月次決算」の土台作りが必要であることが解説された。また、決算申告業務に着手する日数について、一気通貫割合が90%以上と0%の事務所では違いがあることが解説され、「一気通貫で月次決算体制の構築を支援している場合、事務所の生産性が向上している」ことが示された。
経営者からの予想していない納税に対するクレームや無理な節税の要請等を未然に防ぐための「決算事前検討会」を実施する重要性について、「会計事務所の最大の関門をスムーズに進むためのポイントが決算事前検討会の開催にある」と解説された。
また、研修の中では、本年11月に提供開始される「月次決算速報サービス」についてサービスの概要が解説され、吉川会員から「月次決算速報サービスの利用は継続MAS予算登録が条件ですが、ぜひとも予算を登録して多くの関与先で活用してほしい。スマホでサンプル画面が確認できるので、社長にもアピールしていただきたい」と語られた。
研修の受講報告書には「月次決算速報サービス」の概要が掲載され、職員さんから所長に研修受講結果が報告されるとともに、本サービスについて所長に周知される。
さらに、「継続MAS積極活用サイト」を確認し、決算事前検討会に関する継続MASの操作方法を解説した動画、解説資料が紹介された。テキストに基づき受講者が継続MASで一連のシステム操作方法を学んだ後、「黒字企業」「赤字企業」の2つのパターンで、同グループの職員さんが隣同士向かい合いロールプレイングが行われた。実際に継続MASを操作しながら、決算まで残り3か月の見込みの経営者への問いかけと利益確保と節税対策について提案を行うことを疑似体験する機会となった。
受講者からのアンケートでは、約97%が「大変よかった、よかった」の回答となり、ロールプレイングの満足度の高さがうかがえた。
【職員編(第3回)】の受講までに経営者に対して「実践」する
【所長編】と【職員編(全3回)】の受講を通じて「経営者との対話」を行うことを目的とした本研修会は、11月からの【職員編(第3回)】で終了する。今回の研修会を受講した職員さんが、経営者に対して継続MASを活用して「決算事前検討会」を実践することで、第3回研修で予定されている実践結果のフィードバックと次の決算報告会の実践に繋げていくことになる。
研修を受講した後、実際に実践することに主眼を置いた本研修会を経て、継続MASを活用した「経営者との対話」を事務所の標準業務として定着化することが期待される。また、TKC全国会で掲げている継続MAS予算登録目標10万件(期限:令和6年12月末)の達成に向けて「会計事務所の高付加価値経営 実践講座2024」の受講者が成功体験を積むことで、事務所全体で継続MAS予算登録の推進にさらに積極的に取り組んでいただけることと思われる。
(TKC全国会事務局 松本祥彦)
(会報『TKC』令和6年10月号より転載)