事務所経営
「会計事務所の高付加価値経営実践講座2024」【所長編】が全国で盛況に開催!
高付加価値サービスを実現するための事務所運営や職員の育成方法をテーマに、6月に全国56会場で開催された「会計事務所の高付加価値経営 実践講座2024」【所長編】。6月25日にTKC南近畿会研修室で開催された研修の模様をレポートする(41名の会員が参加)。
TKC南近畿会
「経営者と未来について話す」重要性が熱く語られる
講師を務めた井上岳彦会員(南近畿会中小企業支援委員長)は、冒頭、3年間のTKC全国会運動方針の確認を行うとともに、「税理士の4大業務」において他の3つの業務から大きく遅れている「経営助言」の状況を踏まえて、「人材難は会計事務所業界に限らず日本全体の問題である中、我々の業界が高付加価値経営を実現するべき」と本研修会の位置づけを述べた。
また、税理士業界の課題として、①新規の顧問先が増えない②顧問料の単価が上がらない③顧問料の未収が増加している──を挙げ、「経営助言こそ税理士業界のブルーオーシャンであり、事務所経営の新しい成長戦略の決め手」と高付加価値経営の実現に向けた取り組みを呼びかけた。さらにテキストの内容に加えて、①黒字化割合を管理する②経営者が抱える悩みを捉える③絶対につぶれない仕組み(経営計画)を作り、伴走支援する(企業価値を高める)──等講師自身の経験も披露し、監査担当者が経営者と対話を行う重要性を熱く語った。
高付加価値経営実現の事務所体制づくり
続いて「年度重要テーマ研修2023」の中で継続MASに関する講義の模様を編集して制作した動画が上映された。
引き続き講師がテキストに基づき講義を行い、継続MASを活用した「経営者との対話」を事務所の標準業務とするために欠かせない3つのステップ①事務所方針を掲げる②ルール作り③例外を作らない仕組みづくり──について、実例(方針書やチェックリストの活用)を解説した。さらに、講師による事務所方針書や提案書等が紹介され、「対話のためには経営者と最低限、年に4回はアポイントを取る。事務所に来ていただくなど、場所を変えて面談することもよい」と具体的な手法や、所内会議での継続MAS予算登録状況の確認や推進の協議など、継続MAS予算登録を標準業務化させるための実践事例が披露された。
活発なディスカッションが行われる
その後、4名1グループに分かれてディスカッションが行われた。参加者はこれまでの研修内容を踏まえて、気づきがあった点や自身の事務所で標準業務化に必要な3ステップにおいてどこまで実践できているか等について支部を超えて活発に意見交換を行った。最後に、ニューメンバーズ会員からベテランの会員に至るまでの代表者からディスカッションの結果が発表され、充実した意見交換の時間となった。
職員の育成と事務所の仕組みづくり
引き続き講師から、監査担当者が経営者と話せるようになるために、継続MASの「5つの質問」を利用した対話のパターン(赤字企業・黒字企業)を決めて実践する内容について解説があり、7月から開催される【職員編】で監査担当者が学ぶ内容のポイントが伝えられた。また、監査担当者が経営者から質問を受けた際に受け答えができるための材料として、「経営改善のヒントと業種別打ち手のポイント」と、経営者に気づきを与える「得意先順位月報」の活用ポイントが解説された。
最後に、田中正幸南近畿会会長が登壇し、継続MASの推進に取り組む地域会方針を伝えた上で参加会員に対して継続MASの実践を力強く呼びかけ、盛況のうちに研修は終了した。
◎全国で受講満足度の高い結果に!
令和6年6月末までに900名を超える会員が本研修を受講した。アンケート結果から研修全般に対する感想は「大変よかった・よかった」の回答が97・4%となり、第1章「関与先経営者と未来について話しましょう!」について、「よく分かった・分かった」の回答が100%と、受講満足度の高い研修となっている。また、継続MASの活用を標準化させるための課題のトップは、「所長方針の明確化」であり、まさに本研修がその課題解決の糸口となったことがうかがえる。【所長編】と【職員編(全3回)】で、監査担当者が「継続MASを活用した経営者との対話」を実践する本研修を通じて、継続MASの爆発的な普及・拡大が期待される。
(TKC全国会事務局 松本祥彦)
(会報『TKC』令和6年8月号より転載)