イベント開催報告
「TKCタックスフォーラム2010」が盛大に開催されました
主催:TKC税務研究所 共催:公益財団法人租税資料館
後援:TKC全国会
とき:平成22年6月18日(金) ところ:ホテル日航東京
TKC税務研究所が主催する「TKCタックスフォーラム2010」が約500名の参加を得て盛大に開催された。地域会による研究発表、財務省主税局長による講演が行われ、続くパネルディスカッションでは、国税庁、日本税理士会連合会、学界、TKC全国会のパネリストが新たな局面を迎えた書面添付制度の普及拡大について意見交換を行った。
(※敬称略)
開会の挨拶
TKC税務研究所所長 森 幹雄
本日のフォーラムは3部構成で行います。第1部は、TKCの2地域会による『裁判例における節税と租税回避の判断基準』と『来るべき消費税率アップに向けての提言』についての研究発表です。
第2部は、古谷一之財務省主税局長のご講演です。我が国の債務残高は巨額でその解消を図るためには、財政の健全化に向けた抜本的な改革に着手する必要があります。古谷主税局長には政府税制調査会などの最新の議論を踏まえた『税制の当面の諸課題』についてご講演いただきます。
第3部は『新たな局面を迎えた書面添付制度と今後の展望』と題し、税理士が社会的使命を果たすために求められる書面添付とは何かなどについて、幅広く議論をしていただきます。
開催にあたり多くの方々のご支援、ご協力を賜り厚く御礼を申し上げます。
研究発表1
裁判例における節税と租税回避の判断基準
──租税法律主義の検証と税理士業務
研究グループ:TKC城北東京会
発表者:吉川 透・井上立子・田中千税・柳田幸紀・安藤澄子・川名亘司・
齋藤龍男・佐藤賀一・篠崎康裕・野口省吾・本間正樹
11人の会員が壇上に並び、裁判上争われるケースが多いとされる「節税と租税回避の判断基準」について発表した。増田英敏専修大学教授の指導のもと租税法律主義と租税公平主義を理解することを目的に、裁判例を4つの類型に分けて取り上げた。発表者は研究発表の最後にTKC会員税理士の使命と法律的思考の重要性を改めて強調した。
研究発表2
来るべき消費税率アップに向けての提言
──複数税率、インボイス制度は必要か?
研究グループ:TKC近畿京滋会
発表者:垣木英宏・村田裕人・角谷雅子・久乘 哲・横田 聡・熊谷宏臣
5人の会員が登壇し、消費税負担の逆進性の緩和策について検討した結果、カナダで採用されている給付付き税額控除制度の方が複数税率制度よりも効果が高く、仕入税額控除については、現在の帳簿方式で十分に対応可能であると結論づけた。発表の最後には、近畿京滋会の会員が発表テーマに関する寸劇を熱演するVTRが上映され、会場から盛大な拍手が送られた。
講演
税制の当面の諸課題
講師:財務省主税局長 古谷一之
パネルディスカッション
新たな局面を迎えた書面添付制度と今後の展望
●パネリスト
国税庁課税部課税総括課課長補佐 漢 昭弘
日本税理士会連合会業務対策部部長 石髙雅美
専修大学法学部教授・法学博士・弁護士 増田英敏
TKC全国会巡回監査・書面添付推進委員会委員長 馬服一生
●コーディネーター
TKC全国会巡回監査・書面添付推進委員会 加藤武人
はじめに、昨年行われた「事務運営指針」の改正、「添付書面作成基準(指針)」の設定の背景等について、当事者である国税庁漢課長補佐、日税連石髙部長等が説明した。後半では、書面添付制度の拡大に向けて実務的な観点からの意見交換がなされた。
PDFにて「パネルディスカッション」の詳細をご覧いただけます。
閉会の挨拶
公益財団法人租税資料館代表理事 河﨑照行
私は租税資料館の代表理事に今年5月に就任致しました。本フォーラムが仕事始めでございます。
本日は、パネルディスカッションとして書面添付制度について議論していただきました。私は『中小企業の会計に関する研究会』に委員として参加する中で、中小企業には税務を尊重した会計基準が必要と考えています。ただし、そのためには書面添付制度の推進が必要です。書面添付を実施するためには会計帳簿、決算書の信頼性の担保が前提条件となりますので、皆さまにはより一層の推進をお願い申し上げます。
(TKC出版 益子美咲)
(会報『TKC』平成22年8月号より転載)