2025年7月号Vol.139
【ユーザー事例1】申請・手続きのデジタル化で市民も職員も便利に
かんたん窓口+スマート申請 > 大阪府守口市
行財政改革・DX 推進課課長 大下浩二 氏 / 主任 藤原良行 氏 / 前川優樹 氏 / 総合窓口課課長 渡邉 剛 氏
- 住所
- 大阪府守口市京阪本通 2丁目5番5号
- 電話
- 06-6992-1221
- 面積
- 12.71平方キロメートル
- 人口
- 140,868人(2025年3月末現在)

──これまでのDXの取り組みの経緯について教えてください。
渡邉 守口市では、2021年にデジタル戦略課を設置するとともに「守口市DX推進特命チーム」を発足し、オンライン申請や窓口改革など四つのテーマ別にDXの推進に取り組んできました。その成果として、おくやみ手続きのワンストップ化や、行政手続きのオンライン化(25年1月末時点で214手続き/累計申請件数約5万5000件)があります。
これらを支えるのが、「スマート申請システム」と「かんたん窓口システム」です。選定の理由は、システムの機能面に加えて、両者を組み合わせて申請・手続きをデジタル化することで、市民の方にも職員にもさまざまなメリットがあると考えたものです。中でも、大きな活用効果を上げているのが「おくやみ窓口」と「母子健康手帳の交付」です。
システム連携で効果を最大化
藤原 ご遺族の不安や負担を少しでも軽減できるよう、22年10月におくやみ窓口を開設しました。現在、予約制としてワンストップ窓口で対応しています。「守口市オンライン申請システム」(スマート申請システム)で来庁予約を受けた場合、「手続き判定ナビ」機能を使って来庁される方やお亡くなりになられた方の情報を把握します。この情報をもとに、予約日時に合わせて担当部署の職員が待機し、対応します。
これにより、市民の方からは「1カ所で手続きが完結でき、便利」と評価をいただいています。職員にとっても業務の分散・効率化につながり、またかんたん窓口システムを活用してヒアリングを行うことで手続きの漏れを防ぐこともできます。
渡邉 スマート申請システムが持つ二つの機能を連携して効果を上げているのが、母子健康手帳の交付業務に関する申請です。これは守口市オンライン申請システムから来庁予約を受け付けると、予約完了メールでWeb版アンケートのURLを案内し、来庁時に記入してもらうアンケートにオンラインで事前回答することが可能となっています。さらに、入力していただいた情報は、妊娠届出書の裏面にそのまま印字されるため、市民の方は窓口での記入が不要で、印字された内容を確認して署名するだけでよいため、市民の方も職員も窓口手続きにかかる時間を大きく削減できます。
窓口担当の職員からは、「1人当たり約10分から15分の時間削減につながっている」との報告を受けており、「『オンラインで申請したらこんなに手続きが早くなるんですね』という市民の方の反応が一番嬉しかった」といっていました。
──オンライン申請と窓口サービスとの連携で、展開が期待される分野は。
大下 可能性があるのは、子育て関連でしょう。ワンストップ窓口が実現すれば、市民にとって利便性の高いサービスになると考えています。
新制度でDXを一段と加速
──さまざまな分野でオンライン申請の利用拡大を続けるコツは。
前川 オンライン申請の利用促進を図るため、行財政改革・DX推進課が職員に寄り添った〝伴走支援〟に努めています。また、職員研修や相談窓口などで「こんなことができないか」という職員の声を積極的にキャッチアップし、「オンライン申請手続管理表」で公開までの進捗を管理しています。その累計件数は、公開済みや庁内向けも含めて550件ほどになります。
オンライン申請に限らず、意欲的な取り組みにつなげるには「これを使えば、こんなに楽になるんだ」と職員に実感してもらうことも大切です。そこで具体的な利用効果をイメージしてもらうため、こちらで申請フォーム案を作成・提案することもあります。そうした積み重ねによって、少しずつ推進機運を高めてきました。ただ、オンラインで可能な手続きがひと通り出揃ったことで、最近、推進の勢いが少し鈍化してきたかなとも感じています。
藤原 『守口市行政経営プラン』では、DXによる「市民サービスの向上」の筆頭に〈市民や事業者の利用率が高い行政手続きを26年度までに100%オンライン申請可能とする〉との目標を掲げています。
取り組みを一段と加速するには、伴走支援だけではなく全庁的な推進体制の整備が欠かせません。そこで、新たに「DX推進員制度」をスタートしました。これは各課のオンライン申請などを進めるための中心的な役割を担うものです。今後は、DX推進員と行財政改革・DX推進課が密に連携しながら、現場視点で現実的かつ効果的な業務改革を進めていく考えです。
──そのためにシステムに期待することは何でしょうか。
前川 後続処理のため、スマート申請システムで申請データを帳票に反映・出力しています。この機能は非常に優れていると思いますが、原課職員が容易に活用できるよう、もう少し分かりやすくなるといいなと考えています。また、窓口予約についても柔軟対応できるよう機能強化を期待しています。
大下 これまでのオンライン申請や窓口改革の取り組みは、大きな変革に向けた第一歩にすぎません。システム標準化後には、フロントからバックヤードまでシームレスなデータ連携が確実に進むでしょう。〝書かない・待たない・来る必要のない市役所〟を目指して、これからも〈市民の希望に沿った窓口〉を実現するとともに、〈職員の時間を生み出す業務改革〉へ前向きに取り組みます。また、そこで得た成果を他の市区町村にも横展開していけるといいですね。

左から、前川氏、藤原主任、大下課長、渡邉課長
掲載:『新風』2025年7月号