2024年1月号Vol.133

【レポート】電子請求書請求書の電子化・デジタル化
メリットと今後の展望

兵庫県多可町がいち早く取り組んだ電子請求書。
ペーパーレス化や業務効率化の効果が期待される、その概要と今後の展望を紹介する。

 民間事業者では、「電子帳簿保存法」改正や「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」などを背景に、電子請求書が急速に普及。その動きは自治体にとっても無視できないものとなっています。
 現在、一般に普及している電子請求書の方式は、①PDFなどを電子メールで送受信、②クラウド上でデータを共有、③システムを利用して直接データを送受信──の三つに大別されます。
 事例記事(6~7ページ)で紹介した、兵庫県多可町が財務会計システムと連携させて利用しているのは、三つ目の「EDI(電子データ交換)」方式の電子請求書サービスです。この場合、請求書の送り手・受け手の双方にメリットがあるといわれています。

自治体・事業者、双方に利点

 多可町を例に、電子請求書の発行から内部事務にかかるデータ連携の流れを示すと、次のようになります。

【請求書の発行】

 事業者は、電子請求書サービスを利用して請求書を電子データとして発行

【請求書の受領】

 自治体は、電子請求書サービスを利用して請求書(電子データ)を受領。このデータは「TASKクラウド公会計システム(公会計システム)」に自動連携〈API連携〉

【伝票入力】

 請求書の内容が伝票へ自動で転記され、請求書イメージを伝票に自動添付

【承認・決裁】

 担当課で起案した伝票を、電子決裁機能により承認、決裁
 電子請求書サービスを導入するだけでは、受け手側は請求書が紙から電子データになる程度と利用メリットは限られます。しかし、これと財務会計システムとを連携させることで、業務効率化や業務改善の効果が期待できるようになります。
 例えば、公会計システムでは、請求書データをシステムへそのまま取り込むことで〈伝票入力の自動化〉が可能です。これによる利用メリットは以下のとおりです。
①予め決められたスケジュールで請求書データをシステムに自動連携するため、受領確認やダウンロードなどの手間を省略
②システムへ取り込んだ請求書データを選択するだけで、伝票に金額や債権者情報などを自動転記。また、予算科目も自動的に特定(同一事業者との取引実績をもとに内容が最も一致する伝票の科目を初期表示※2回目以降)するため、伝票起票事務を簡素化
③請求書データをPDF化し、伝票に自動添付することで、証拠書類の確認作業の負担を軽減
 担当としては、実際どの程度の負担軽減につながるのか、気になるところでしょう。
 参考までに、TKCでは電子請求書サービス連携や電子決裁に関する〈実務面での負担軽減効果〉を検証するため、2021年夏にお客さまの協力を得て実証実験を行いました。その結果、年間で2万7438時間(費用換算で約5524万円)の削減効果が見込めることが分かりました。
 これは従来比で約60%の削減効果となります。
 加えて、電子決裁と電子請求書サービス連携機能とを組み合わせることで、請求書データの受領から決裁まで一連のプロセスを〝デジタル〟で完結できるようになります。
 この点を鑑みると、内部事務のDXを実現する上では電子決裁の導入が必要不可欠といえます。

請求書は電子からデジタルへ

請求書は電子からデジタルへ

 自治体にとっても利用メリットが期待される電子請求書サービスですが、まだ課題もあります。
 それは、請求書データの円滑なやりとりには〈送り手・受け手双方が同一事業者の電子請求書サービスを利用する必要がある〉ということです。とはいえ、さまざまな電子請求書サービスがある中、自治体が〈個々の取引先に合わせて複数方式のサービスを導入する〉ことは現実的ではありません。そこで、いま注目されているのが「デジタルインボイス」です。
 デジタルインボイスとは、標準化され構造化された電子インボイスのことで、日本では世界30カ国以上で採用されている国際的な標準規格「ペポル」をベースに、日本版デジタルインボイスの標準仕様をデジタル庁が策定しています。これらは、インターネット上に構築されたペポルネットワーク上でやりとりされます。
 デジタルインボイスでは、請求書の送り手・受け手がそれぞれ異なるシステム/サービスを利用していても、ペポルネットワークに参加する全てのユーザーとやりとりができます。また、XML形式のため、債権者名や品名、取引金額などのデータをシステムにそのまま取り込めます(詳しくは、小誌2023年7月号をご覧ください)。
 なお、TKCでは「ペポルサービスプロバイダー」としてアクセスポイントを提供するほか、公会計システムでデジタルインボイスの受領に対応する計画です。
 ペポルの利用が広がることで、自治体にもその取引先事業者にも、より便利な社会が実現されると予想されます。

◇   ◇   ◇

 さて、公会計システムの電子請求書サービス連携機能の開発では、多可町をはじめ多くの実務担当者の皆さまからご意見・ご要望をいただきました。
 TKCではお客さまの声をもとにシステムの継続的な機能強化に努め、これからも財務会計を核とした内部事務のDX推進に貢献してまいります。

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