事務所経営
会計事務所の高付加価値経営実践講座2024【職員編(第3回)】が全国で盛況に開催!
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TKC近畿京滋会では、定員を上回る申し込みがあったため、京都会場(11月6日)と滋賀会場(11月18日)に分けて開催され、【職員編】の第1、2回研修に参加した職員を中心に64名が参加した。
TKC近畿京滋会研修会
講師:近畿京滋会中小企業支援委員長 西村純史会員
◎決算報告会で経営者と対話しよう!
冒頭に、第2回研修受講後の実践結果のフィードバック(第2回研修は継続MASを活用した「決算事前検討会」について、システム操作やロールプレイングを行い、その実践方法を学ぶ内容)を行い、その成果等を参加者で共有した。
今回の第3回研修の内容は、主に継続MASを活用した「決算報告会」の標準的な実践方法を学ぶこと。決算報告会のもつ役割は主に次の点が挙げられる。
- 関与先に経営状況を明確に伝える。
- 関与先との信頼関係を築く。
- 関与先の経営改善や問題解決の出発点とする。
講師の西村純史会員(近畿京滋会中小企業支援委員長)は、「昔は、決算が終わってから『税金は○○円必要になる』といわゆる税金の報告が多かった。しかし、高付加価値の事務所経営に繋げるためには税金の話ではなく、今期の設備投資など将来の話をすることが重要。経営者に喜ばれ、信頼関係を築く良い機会になる」と、決算報告会の重要性について語った。加えて、「決算報告会に金融機関の担当者が同席することで、経営者のみならず、金融機関からの信頼が高まる」とその効果を強調した。
◎継続MASは経営指標の宝庫
業績検討会、決算報告会において、継続MASからアウトプットされる経営指標(グラフ)は30種類もある。例えば「損益分岐点図表」や「借入金と月商倍率」「自己資本比率」といったグラフで、前期比やBASTによる同業他社と比較した自社の立ち位置を確認することで、経営者から会計(数値)に対する興味を引き出すきっかけになる。
西村会員は、これらの資料の活用方法について「経営者に決算報告会を通じて何を伝えたいか? この点を整理することで資料がコンパクトになり、経営者にもしっかりと伝わる」と述べた。
継続MASを活用した経営者との対話の中で、経営者に響くモノ(指標)を見つけ、提示する。そして、前年対比だけではなく予算との対比を行い、目標に対してどうだったのか、経営者に今後の見通しと打ち手を考えていただくことが決算報告会において重要となる。
◎決算報告会ロールプレイング
受講者が、経営者と監査担当者役に分かれて継続MASの研修専用デモデータを使い、決算報告会のロールプレイングを行った。ロールプレイング後の発表では、「社長が興味を持つ資料を準備しておくことが重要だと感じた」「普段は社員の給与まで踏み込んで話すことがないため参考になった」等の意見があった。
西村会員は「決算報告会になるとつい会計事務所のほうが話しがちだが、こちらが思っている以上に社長は理解できていないことが多いと思う。社長から話すためのきっかけを作ってあげると対話した内容は社長の頭に残る」とポイントを補足。最後に本研修のまとめとして「巡回監査では皆さんが主役であり、経営者から『ありがとう』と言ってもらえる仕事のやり方を考え、継続MASをしっかり活用しましょう」と熱いメッセージをおくった。
「会計事務所の高付加価値経営 実践講座2024」の成果
今年から新たに企画された本研修会は、6月の【所長編】から始まり、【職員編(1~3回)】の計4回の開催で終了する。
研修で学んだことを実践した上で次回の研修会に参加する「実践形式」の本研修会に参加した事務所の継続MAS予算登録件数は大きく伸びている。第3回のアンケートで「継続MASで経営者と対話を行った反応」について、数字や経営に対する経営者の意識が変わったことや職員さんに対する経営者からの信頼が増したとの回答や、「予算を策定したことで10月の売上が上がった」との回答もみられた。所内の取組みに関する回答では、「巡回監査先には全件継続MASを活用する」等と、事務所方針の変化が見られ、本研修会を通じて継続MASの活用は着実に広がっている。
令和6年末に予算登録件数10万件の達成を目指す!
11月から開始された「月次決算速報サービス」に対する期待も相まって、継続MAS予算登録件数がこれまでにない伸びとなり、10月末には8万件を超えた。中小企業支援委員会による本研修に加えて、「予算登録件数の公表」「継続MASシステムのレベルアップ(継続MAS積極活用サイトの新設等)」の3つの施策により、継続MASによる「経営者との対話の実践」、言わばTKC方式の経営助言が大きな広がりを見せている。
予算登録10万件達成を通じて会員事務所が継続MASを活用し、より多くの関与先の黒字化支援を行い、高付加価値経営の実現に繋げていくことが期待される。
(TKC全国会事務局 松本祥彦)
(会報『TKC』令和6年10月号より転載)