事務所経営
「5年後の事務所経営を考える」をテーマに全国でセミナーを開催
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昨今のChatGPT等の生成AI活用に高まる期待、新たな局面を迎えた中小企業金融、そして長引く物価高と深刻な人手不足。これらの変化に対応するため、全国会会員が講師となり、これからの会計事務所経営のベストプラクティスを考えるセミナーを全国60カ所で開催。TKC入会を検討する全国の税理士・公認会計士総勢約300名が参加した。今回は3会場の開催レポートを紹介する。
首都圏7地域会合同
東・東京会、東京都心会、東京中央会、城北東京会、西東京山梨会、千葉会、神奈川会
■とき:令和5年7月11日(火) ■ところ:ベルサール八重洲
7月11日、東京都内で首都圏7地域会のニューメンバーズ・サービス(NMS)委員会が合同で開催したセミナーは、首都圏の税理士・公認会計士100名超が足を運ぶこれまでに例のない大規模なものとなった。税理士法人の増加などによる会計事務所の大型化が進む都心にて、高収益と組織化を実現し成長を続ける東京都内の税理士3名(コーディネーター:小嶋公志会員・西東京山梨会、パネリスト:野口省吾会員・城北東京会、山田誠一朗会員・東京都心会)によるトークセッションが聞きどころとなった。講師3名がそれぞれの売上構成(月次サービス・決算申告・自計化レンタル・その他)やその金額、講師の平均月次報酬額にいたるまで公開した。
関与先の年商規模別構成をそれぞれ示し、ターゲットとする関与先の年商規模と実際とのギャップを分析。市場性や報酬体系等をもとに課題と打ち手が共有された。また、3名とも平均月次報酬が高い要因として、月次サービスを拡充している点が共通している一方、その深堀り戦略に違いがあり、議論が白熱した。講師3名ともに最重要視する経営指標として、「月次巡回監査」「経営計画策定」「自計化推進」「書面添付実践」、そして「関与先の黒字決算割合」──の五つを挙げた。「税理士として、経営者として関与先と従業員を絶対に守る」との講師の姿勢に、多くの参加者が深く共鳴し、感銘を受けた。参加者からは、「同業者間で積極的に情報を開示して、事務所経営をより良くしようという姿勢が非常によい刺激になった」「記帳代行業務が中心になっているが変えていかなければならない」などの感想があり、その後、情報交換会(懇親会)が盛況に行われた。後日、七つの事務所見学会が開催され、多くの参加者が足を運んだ。
関東信越会
■とき:令和5年7月21日(金) ■ところ:さいたまSCGサービスセンター
「5年後の事務所経営を考える AI活用本格化時代における税理士の役割」をテーマに、さいたま市内で開催され、関東信越会埼玉東・中央支部を中心とする会員4名、TKC入会を検討中の税理士・公認会計士4名の計8名が参加。水野優会員(埼玉中央支部NMS委員長)の司会進行のもと、富澤雅治会員(埼玉東支部NMS委員長)の開会挨拶で開始した。
講師を務める橋本真一会員(関東信越会会員増強プロジェクトリーダー)が、「AI活用本格化時代の到来」「いま問われる税理士の役割」「会計事務所による経営助言業務」「わが事務所のビジネスモデルと経営戦略」──の四つのテーマについて講演した。自身の事務所経営の事例や経験談を交えて解説。「税理士として、どうありたいのか」「税理士としての喜びは何か」「地域社会から会計事務所に求められていることはなにか」を参加者に問いかけた。その上で、現在の厳しい経済経営環境にある中小企業の経営改善・黒字決算には月次巡回監査が必要であること、それを実践することが会計事務所の高付加価値経営につながり、TKC会員事務所のビジネスモデルであることを訴えかけた。
セミナー後には、情報交換会(懇親会)を開催し、参加者同士の事務所経営に関する意見交換が行われ、貴重な交流の機会となった。
近畿兵庫会
■とき:令和5年7月25日(火) ■ところ:itsu葉
「5年後の事務所経営を考える AI活用本格化時代における税理士の役割」をテーマに、神戸市内で開催。会員11名(内、ニューメンバーズ会員3名)、TKC入会を検討中の税理士・公認会計士5名の総勢16名が参加した。
セミナーでは講師の清水博文会員(中国会NMS委員長)から、他社システムを利用した記帳代行から脱却し、TKC会員事務所のビジネスモデルに転換したきっかけ、移行期の過程やそれを踏まえた経験談が紹介された。また、将来に向けてサービスや業務品質を向上させていくための取り組み等、5年後も勝ち残るための事務所経営戦略が公開された。セミナー後半では吉川滋樹会員(近畿兵庫会中小企業支援委員長)が登壇し、TKC会員と地元金融機関の連携における中小企業支援事例を紹介。セミナーを受けて参加者同士の情報交換会(座談会形式)が開催され、講師を囲んで活発な意見交換が行われた。
参加者アンケートでは「TKCビジネスモデルが参考になった」「自計化の具体的手法が知りたい」等の感想があった。
(会報『TKC』令和5年9月号より転載)