ニュースリリース
地方財政状況の“見える化”支援へ機能強化 住民1人当たり資産・負債などを比較する「統一様式」へ初対応
2019年4月10日
株式会社TKC(本社:栃木県宇都宮市/代表取締役社長:角 一幸)は、地方公共団体向けに提供する「TASKクラウド公会計システム」シリーズの強化拡充を図ります。
これは国が市区町村に求める地方財政状況の“見える化”を支援するもので、今年3月に公表された〈財務省類等の統一的な開示様式〉へいち早く対応するほか、財政状況の経年比較など分析・グラフ表示機能の強化拡充を図り、来春にかけて順次提供します。
これにより、市区町村では専門知識を持たない職員でも「住民1人当たり資産・負債」「将来世代負担比率」など各種財政指標を簡単に作成できるのに加え、経年・団体間比較の数値把握・分析、グラフ表示も容易――など、公会計を“特別な業務”とすることなく“日常的な業務”として財務情報を行財政運営に有効活用できるようになります。
TASKクラウド公会計システムは「統一的な基準による地方公会計」*1に完全準拠し、日々仕訳(リアルタイム仕訳)*2に対応したクラウドサービスです。財務書類(貸借対照表と行政コスト計算書)の活用機能の提供に加え、“精度の高い自動仕訳”の実現などその使いやすさが認められ、採用団体が急速に拡大しています。
*1:「発生主義会」(複式簿記)の導入、固定資産台帳の整備により客観的で、比較可能性を担保する公会計基準。これまで複数存在していた基準の統一化を図ったことからこう呼ばれる *2:財務会計システムで取引のつど、伝票単位ごとにリアルタイムで複式簿記の仕訳を行う方式
『経済財政運営と改革の基本方針2018』(2018年6月15日閣議決定)は、市区町村の財政状況を〈比較可能な形で見える化する〉との方針を掲げました。これを受けて総務省・地方公会計の推進に関する研究会は、経年・他団体比較を可能とする統一的な開示様式をとりまとめ、今年3月に公表しました。また、報告書では多くの団体が財務書類等の作成作業に膨大な時間を要している現状を踏まえて〈仕訳の自動変換〉や〈固定資産台帳とのデータ連携〉など業務を効率化する方策検討を期待すると明言。これにより、市区町村では財務会計システムの見直しが一段と加速することが見込まれます。
そこで、TKCでは公会計システムの“強み”である〈日々仕訳〉と〈豊富な活用・分析機能〉の一層の強化拡充を図ることにしたものです。また、同一のシステムを全国の市区町村が共同利用するという当社の特性を生かし、サポートの一環として利用団体間の活用ノウハウの共有などにも注力。これにより〈公会計情報の見える化と活用促進〉を支援し、「行政経営の強化」と「財政の効率化・適正化」に寄与してまいります。
地方公会計の“見える化”を支援する主な機能強化点
1.統一的な開示様式への対応
国に提出する際の「統一的な開示様式」に対応した財務書類等を容易に作成できます。
2.財務書類の経年比較
有形固定資産や行政コストの増減など経年比較の把握・分析を支援します。グラフ表示で財政状況を視覚的に確認できます。
3.各種財政指標のグラフ表示
住民1人当たり資産や負債、コストなどの把握・分析を支援します。グラフ表示により住民等にわかりやすい情報提供ができます。
など
【財務指標のグラフ表示機能】
提供予定
統一的な開示様式への対応(2019年5月提供)を手始めに、2020年3月にかけて順次提供予定
「TASKクラウド公会計システム」の概要
1.機能
「統一的な基準」による地方公会計に準拠した、日々仕訳対応の公会計システムです。
「仕訳変換エンジン」により、伝票入力時に予算科目を選択するだけで複式簿記による仕訳が自動で作成できるため、誰でも“かんたん”に正しい会計処理を行えます。
-
時間をかけずに財務書類の作成が可能
市区町村では8月中に財務書類を作成し、9月中に公表することが求められています。日々仕訳(自動仕訳)方式ならば時間をかけずに財務書類を作成でき、分析結果を次年度予算へ反映させることも容易です。 -
伝票と固定資産台帳との照合作業が不要
伝票入力(支出命令)の一連の操作で、固定資産台帳・公有財産台帳・物品台帳も作成できます。これにより台帳の作成漏れを防ぎ、年度末の照合作業を大幅に削減します。 -
財務書類の有効活用
予定財務書類の作成などを可能とする「財務書類活用機能」で、財務情報の“見える化”はもちろん、資産・債務管理や予算編成、政策評価等へ容易に活用できます。
2.導入実績
約190団体(うち日々仕訳方式で処理を実施しているのは130団体超)
3.販売目標
2022年9月末までに、300団体への導入を目指します。
取り組みの背景
国の動き
昨今の厳しい財政状況を背景に、財政の透明性を高め、その効率化・適正化を図るため、市区町村に対して原則2017年度(日々仕訳方式を採用する場合2018年度)までに現行の「現金主義会計」(単式簿記)を補完する仕組みとして「発生主義会計」(複式簿記)を整備し、これを活用した財務書類等を作成・開示することを求めました。
2018年6月30日時点で1,624市区町村(全体の93.3%)が「財務書類を作成済み」ですが、予算編成や行政評価などに活用するのはまだ一部の団体に限られています。
こうした状況を受けて『経済財政運営と改革の基本方針2018』(2018年6月15日閣議決定)は、市区町村の財政状況について〈比較可能な形で見える化する〉との方針を掲げ、2019~2021年度を基盤強化期間として重点的に取り組むとしました。そして、総務省「地方公会計の推進に関する研究会」は以下の3点を中心に検討を進め、今年3月に報告書を公表しました。
検討テーマ | 成果 | |
---|---|---|
1 | 【セグメント分析の推進】 セグメント別財務書類の作成・分析 |
セグメント別財務書類の作成・分析の 基本的考え方などを整理 |
2 | 【公会計情報の活用】 財務書類から得られる各種指標の分析 |
これまで示された指標の課題点など見直し |
3 | 【公会計情報の見える化】 比較可能な形による財務書類の開示 |
経年・他団体比較を可能とする 統一的な開示様式のとりまとめ |
同研究会は〈地方公会計の取組は、財務書類等を特別に作成して開示するものではなく、日々の財務活動や行財政運営に組み込んでいくことが重要〉とし、市区町村に対して財務書類等の適切な更新・開示とともに一層の活用推進を求めています。そのためには〈業務の効率化〉が避けられないと、システム更新に合わせて〈財務会計システムと一体的な地方公会計システムを導入し~中略~予算執行時に自動的に仕訳変換をする仕組みを構築〉〈公有財産台帳と固定資産台帳のデータを連携・統合〉など業務効率化に向けた方策検討を期待するとしました。
市区町村の動き
公会計情報の一層の活用を図るには〈財務書類等の作成・公表の早期化〉が重要です。
しかしながら、当初、多くの団体が採用した「期末一括仕訳方式」(1年分の会計伝票データを期末に一括して複式簿記の仕訳を行う)の場合、①年度末に膨大な量の伝票仕訳作業が発生、②財務書類の作成にかなりの時間を要し、その分析結果を翌年度予算などに反映させることが困難――などの課題が指摘されています。こうしたことから、期末一括仕訳方式を採用するところではシステムの切り替えを機に、日々仕訳方式へ移行する例が増加しています。
TKCの取り組み
TKCでは利用企業25万5,000社を超える〈企業会計〉で培ってきたノウハウを生かし、 “使いやすさ”と“豊富な活用・分析機能”を実現した「TASKクラウド公会計システム」を提供。実施計画から予算編成・執行、決算・財務書類の作成、評価、活用まで“一気通貫”で連携し、「財政の効率化・適正化」「行政経営の最適化」を支援しています。
なお、TASKクラウド公会計システムの利用団体(約190団体)のうち130団体超が日々仕訳方式を採用(2019年4月1日現在)。これらの団体では、国が求める〈公会計を日々の財務活動や行財政運営に組み込む〉環境が整い、また昨年提供した〈セグメント別財務資料の作成・分析〉に取り組む団体も目立ってきました。
こうしたことから当社では「同一のシステムを全国の市区町村が共同利用する」という特性を生かし、今後、顧客サポートの一環として利用団体間の活用ノウハウの共有などにも注力し、〈公会計情報の見える化と活用促進〉を支援してまいります。
以上
当リリースに関するお問い合わせ先
株式会社TKC 東京本社 広報部
TEL:03-3266-9200