ニュースリリース
経済産業省が金融機関に活用を求めるローカルベンチマークの作成を支援 「ローカルベンチマーク・クラウド」を6月より提供 中小企業と金融機関の信頼関係強化を支援し、地域経済の活性化を支援します。
2017年2月10日
株式会社TKC(本社:栃木県宇都宮市/代表取締役社長:角 一幸)は、経済産業省がその活用を推進する「ローカルベンチマーク」を作成できるクラウドサービス、「ローカルベンチマーク・クラウド」を6月から提供開始します。
このサービスは、顧問先企業と金融機関のさらなる信頼関係強化を支援することを目的とし、TKC会員会計事務所が利用する会計サービスの機能強化として無償で提供します。
これは、TKCのデータセンター(TISC)に蓄積された財務データから、経済産業省から示された「財務情報(6つの指標)」を自動作成するとともに、TKC会員事務所が「非財務情報(4つの着目)」をヒアリングしてローカルベンチマークを作成するシステムです。作成したベンチマークは、経営者の了解のもと、TKC会員からTKCモニタリング情報サービス(*1)を利用して金融機関へ提供します。
TKC会員会計事務所がこのサービスを活用し、顧問先企業と金融機関等の「ローカルベンチマーク」を活用した対話の支援を行うことで、TKC会員会計事務所にとっては提供サービスの付加価値向上につながり、顧問先企業では、自らの経営を振り返り、経営力を高めるとともに、金融機関では融資先企業との会話の入り口とすることができます。
TKCの会計ソフト(FXシリーズ等)は、TKC全国会会員(税理士・公認会計士)が毎月顧問先企業に出向いて行う巡回監査(*2)と月次決算の実施を前提としたシステムです。この巡回監査によりデータの真実性、実在性、網羅性が確認され、TKCのデータセンター(TISC)へ送信され保管されます。TKCでは、その後の遡及的な訂正・加除を禁止しており、その財務データはきわめて信頼性の高いものとなります。
本サービスで作成する「6つの指標」は、このTISCに保管された信頼性の高い財務データから自動作成します。一方「4つの視点」は、会計専門家であり経営者の一番身近な相談相手であるTKC会員がヒアリングして作成するため確度が高いものとなります。
また、TKCでは、約23万5,000社の財務データにより作成された「TKC経営指標(BAST)」(*3)を毎年作成しており、「6つの指標」についてBASTとの比較を可能とします。
加えて、本サービスでは、金融庁が平成28年9月に公表した「金融仲介機能のベンチマーク」により、金融機関に対して開示を求めている「ライフステージ別の与信先数、及び、融資額」の判定に利用できる5期比較売上高等(直近2年平均と過去5期平均によるライフステージ判定)も自動作成し、金融機関の対応を支援します。
サービス提供の背景
1.ローカルベンチマークについて
平成27年6月に公表された「日本再興戦略 改訂 2015」において、「ローカル・アベノミクス」を推進する施策として、「中小企業団体、地域金融機関等による地域企業に対する経営支援等の参考となる評価指標・評価手法(ローカルベンチマーク)」の策定が盛り込まれました。
このローカルベンチマークは、経済産業省が地域金融機関や政府系金融機関・中小企業支援団体等が利用することを想定して作成したもので、企業経営者と金融機関・支援機関の対話を深める入り口として利用されることが期待されています。
このローカルベンチマークでは、第一段階として地域の経済・産業の現状見通しの把握を行い、その上で第二段階として、ローカルベンチマークを利用して個別企業の経営力評価と経営改善に向けた対話を行います。
個別企業の経営力評価では、財務情報として以下の事業価値把握に有用な「6つの指標」が挙げられ、金融機関・支援機関が企業から財務情報を入手し分析することとなっています。また、非財務情報では事業価値の源泉把握・財務情報の裏付けに有用な以下の「4つの視点」が挙げられ、企業と金融機関・支援機関との双方の対話を通じた把握をする前提となっています。
6つの指標:①売上高増加率、②営業利益率、③労働生産性、④EBITDA有利子負債倍率、⑤営業運転資本回転期間、⑥自己資本比率
4つの視点:①経営者への着目、②事業への着目、③関係者への着目、④内部管理体制への着目
※ローカルベンチマークについての詳細は、以下の経済産業省のHPをご参照ください。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/
2.金融仲介機能のベンチマークについて
金融機関の大多数は、金融仲介機能を発揮し、取引先企業のニーズや課題に応じた融資やソリューション(解決策)の提供等を行うことにより、取引先企業の成長や地域経済の活性化等に貢献していくとの方針を掲げています。
金融仲介機能のベンチマークは、金融庁が金融機関の方針等に掲げている金融仲介の質を一層高めていけるよう金融機関における金融仲介機能の発揮状況を客観的に評価できる多様な指標を策定して公表したものです。
金融庁は、金融機関に対し、このベンチマークを活用し、①自己点検・評価を行い、②自主的な開示、③融資先企業との対話を実施することを求めています。
なお、こうした対応を行うためには、融資先企業の実態を捉えるための情報収集が不可欠ですが、自行だけでの情報収集は現場担当者の負担増にもつながることから、外部情報の活用が必要と考えられます。
※金融仲介機能のベンチマークについての詳細は、以下の金融庁のHPをご参照ください。
http://www.fsa.go.jp/news/28/sonota/20160915-3.html
概念図
ご参考
■TKCモニタリング情報サービス(*1)
TKCモニタリング情報サービスは、TKC会員事務所が毎月行う巡回監査と月次決算により信頼性が付与されたデータ(決算書・申告書等)を、顧問先規企業の依頼に基づき金融機関へタイムリーに提供するサービスです。
1.決算書等提供サービス
2.月次試算表提供サービス
3.最新業績開示サービス
TKCモニタリング情報サービスは、全国196金融機関(2017年2月9日現在)に採用いただいています。
■巡回監査について(*2)
巡回監査(TKC全国会『TKC会計人の行動基準書』第3章実践規定の部)
顧問先企業等を毎月及び期末決算時に巡回し、会計資料並びに会計記録の適法性、正確性及び適時性を確保するため、会計事実の真実性、実在性、網羅性を確かめ、かつ指導することである。巡回監査においては、経営方針の健全性の吟味につとめるものとする。
■TKC経営指標について(*3)
「TKC経営指標」は、TKC全国会に加盟する職業会計人(税理士・公認会計士)が、その顧問先である中小企業に対して、毎月、企業に出向いて行う「巡回監査」と「月次決算」により、その正確性と適法性が検証された会計帳簿を基礎とし、その会計帳簿に基づいて作成された「決算書」(貸借対照表・損益計算書)を基礎データとして作成された経営指標おります。なお、これらの決算書はすべて法人税申告に用いられたものとなっています。
平成28年版での収録件数は1,053業種、235,103社に達しています。
当リリースに関するお問い合わせ先
株式会社TKC 東京本社 経営管理本部 広報部
TEL:03-3266-9200