スマート行政DX推進を支援する

情報誌 「新風」(かぜ)

2026年4月号Vol.142

【スマート行政最前線】調査報告「公金収納デジタル化」検討状況

株式会社TKC 自治体DX推進本部 武長 浩史

 「地方税統一QRコード」(eL–QR)を活用した公金収納が、いよいよ今年9月から開始されます。本誌でも、これまで複数回にわたり制度の狙いや準備状況を紹介してきました。
 開始時期が迫る中、総務省は今年2月に『eL–QRを活用した公金収納の開始に向けた留意事項等(2・0版)』を公表。これに合わせて、「この取り組みは大きな効果が期待されるものであり、可能な限り早いタイミング(これから準備に着手する市区町村でも2028年4月)から収納開始できるよう、改めて積極的な検討を行う」ことと、全国での導入加速に向けて強いメッセージも示しました。
 さらに、公金収納業務にかかる金融機関の手数料負担の最適化に向けた議論も活発化しており、国からの要請が一層高まることが想定されます。
 TKCでは、市区町村の検討状況を確認するため、昨年11月から今年1月に「公金納付のデジタル化への対応に向けた検討状況に関するアンケート調査」を実施。この結果から最新の検討状況と、制度開始に向けた当社の取り組みをご紹介します。

サービス開始へ順調に検討進む

図表1 公金種類ごとのeL-QRを活用した公金納付の開始時期(n=566)

図表1 公金種類ごとのeL-QRを活用した公金納付の開始時期(n=566)

図表2 納付データ等の業務システムへの連携方法(n=566)

図表2 納付データ等の業務システムへの連携方法(n=566)

 今回の調査は、TKCの基幹系・財務会計システム、eLTAXサービスの利用団体を対象に実施し、566団体から回答をいただきました。
 調査結果を見ると、国が重点的に対応を求める公金を中心に、多くの団体で準備が着実に進む一方、情報不足や庁内調整の難しさなどの課題も明らかになりました。
 まず、「公金種類ごとのサービス開始時期」です(図表1)。
 国は市区町村に対して、①介護保険料や後期高齢者医療保険料など、いずれの団体も相当量の取り扱い件数がある公金、②道路占用料や行政財産目的外使用許可使用料など、当該地方公共団体の区域外にも納付者が広く所在する公金──について、eL–QRを活用した公金収納の導入を重点的に要請しています。
 調査結果を見ると、介護保険料と後期高齢者医療保険料を「27年度までに開始予定」と回答したのが半数超を占め、「開始時期未定(検討中)」も含めると8割以上が前向きに検討していることが分かりました。また、道路占用料や行政財産使用許可使用料などについても、多くの市区町村が検討段階にあり、今後の導入拡大が見込まれます。
 次に、「納付データと基幹系・財務会計システム等の業務システムとの連携方法」です(図表2)。
 約4割が「自動連携」または「自動連携と手動連携の併用」を選択しており、〈職員の手作業を減らそう〉という方向性が強く読み取れます。業務負担軽減の観点からも、自動化の流れはさらに広がると見込まれます。
 なお、今号の特集記事(7ページ)でも触れた「税務手続きのデジタル完結」の実現には、システム間のシームレスなデータ連携が不可欠です。これについては、TKCでも円滑なデータ連携を実現する仕組みを提供し、業務効率化をご支援する計画です。
 最後に「サービス導入に向けた課題」では、会計課などeLTAXに不慣れな部門が取りまとめ役となっていることから、〈制度・システムに関する情報の不足〉を挙げるケースも多く見られました。また、複数部署にまたがる業務特性から、〈庁内調整の難しさ〉を指摘する声も多く寄せられました。

「自動連携」への期待高まる

 今回の調査結果を踏まえ、TKCでは次の対応を進めます。

1. 関連システムの改修・機能強化(自動連携機能など)、および導入支援ツールの提供

 自動連携を含むシステム改修・機能強化を進めるとともに、eLTAXに不慣れな職員でも導入試験などを円滑に進められるよう、各種支援ツールを提供します。

2. Webセミナーの開催

 システム改修や機能強化による変更点、サービス開始に向けた導入試験の進め方など、Webセミナー等を通じて〝必要な情報を分かりやすく〟提供します。

3. 円滑な庁内調整を実現した事例などの情報共有

 庁内調整や準備が順調に進んでいる事例をタイムリーに紹介し、課題解決を支援します。

◇   ◇   ◇

 eL–QRを活用した電子納付は、すでに年間9,600万件超・約16兆円規模に達し、地方税以外の公金にも対象が広がることで、今後さらに加速することが見込まれます。
 制度の効果を最大限発揮するには、庁内処理のデジタル完結も欠かせません。TKCでは、納付のデジタル化を通じた業務効率化の実現を支援し、より便利で持続可能な公金収納の仕組みづくりに取り組んでまいります。

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