2024年7月号Vol.135
【トレンドビュー】LGWANを利用したガバメントクラウド接続
地方公共団体情報システム機構 LGWAN全国センター
総合行政ネットワーク(LGWAN)は、地方公共団体情報システム機構が運営する行政専用の閉域ネットワークであり、行政機関間のコミュニケーションや情報連携、コンビニ交付サービス等の住民サービスを支えるインフラとして機能しています。
現在、次期「第五次LGWAN」の整備を進めており、今年10月の運用開始に向けて、技術的検討やLGWAN接続団体の移行スケジュールの調整を行っています。
第五次LGWANの特徴は、3点あります。
1点目が、セキュリティー確保と利便性向上の両立です。行政専用のネットワークとして、引き続き全団体のセキュリティーを共同で確保するとともに、パブリッククラウド上のサービスを利用しやすくするため規程を見直しました(2023年度に改正済)。
2点目は、一層の安定運用です。当機構では、LGWANで利用するネットワーク・機器の冗長化に引き続き取り組みます。これに加えて、団体には可用性向上のためLGWANアクセス回線とLGWAN接続ルータの二重化をお願いしています。また、障害ポイントをなるべく減らす観点から、接続方式は直接接続方式を強く推奨しています。
3点目が、標準化への対応です。地方公共団体の標準準拠システムのガバメントクラウドへの移行を踏まえ、「LGWANガバメントクラウド接続サービス」(LGCS)を提供します。
LGCSとは
LGCSは、LGWANを経由してガバメントクラウドに接続することができるサービスです。
LGCSでは二つの接続方法を用意しています。第一が団体からLGWANを使って直接ガバメントクラウドへ接続する方式で、第二がLGWAN-ASPの仕組みを活用し、ベンダーのデータセンターからLGWANを経由してガバメントクラウドに接続する方式です。
これを利用することで、団体には、①ガバメントクラウドへ接続するためのアクセス回線や接続機器等の追加調達が不要、②運用開始後も個別に接続回線や機器を監視する必要がない──というメリットがあります。
LGWAN網からガバメントクラウドへは、接続ロケーションを含め完全に冗長化した構成で接続しており、またLGWANで接続状況を常時監視するため、負担をかけずに高い可用性を確保することができます。
なお、LGCSの利用には移行を希望する時期に合わせて、各種届出書類を提出いただくことになりますので、ご留意ください。
技術仕様を公開
LGCSで提供するクラウド接続メニューや構成例、LGWAN接続ルータとの接続方法など、LGCSの利用にあたり必要な技術仕様を取りまとめ、5月15日にLGWAN接続団体向けに発出しました。
LGCSの提供範囲は、LGWAN接続ルータからクラウド接続ロケーション(データセンター)内の接続点までとしており、団体側で、LGCSと接続するための機能をガバメントクラウド上に構築・設定する必要があります。
図表に、〈東京&大阪〉採択時のガバメントクラウドへの接続構成例(AWSの例)を示しました。
この場合、①LGWANが、Direct Connectを作成し、ホスト型接続として提供、②団体は、Direct Connect Gatewayを構築して、接続を受け入れる──こととなります。
なお、クラウドソリューションプロバイダーごとに接続仕様が異なるため、詳細は通知「地情機第3561号」をご確認ください。また、通知の内容はLGWAN規程に順次反映します。
協力企業リストの提供
LGCSを利用するためには、ガバメントクラウド側でLGWANとの接続点を構築する「運用管理補助者」の調達が必要となります。しかしながら、この確保に苦慮しているという団体の声を受け、運用管理補助業務を担うことができる企業をリスト化し、「LGCS運用管理補助者協力企業リスト」としてLGWANポータルサイト上で公開しました。
LGCSを利用する団体はリストを参照し、掲載されている企業に問い合わせや見積依頼が行えます。また、希望に応じて当機構から企業を紹介することも可能です。
なお、協力企業リストは、LGCS利用団体における運用管理補助の委託先事業者を限定するものではありません。そのため、リストに記載のない企業を運用管理補助者に選定しても問題ありません。この協力企業リストは、今後も随時更新する予定です。
◇ ◇ ◇
当機構では、今年10月の第五次LGWANとLGCSの運用開始に向け、今後も必要な情報を随時提供してまいります。ガバメントクラウドへの移行にあたり、LGCSの活用をぜひご検討ください。
掲載:『新風』2024年7月号