2020年4月号Vol.118

【トレンドビュー】地方公共団体における デジタル・ガバメントの推進

内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 参事官補佐 小山里沙
※所属及び役職は2020年3月31日時点のものです。

 2019年12月、政府は『デジタル・ガバメント実行計画』(以下、新計画)を閣議決定しました。これは旧計画(17年5月策定、18年1月改訂)を改訂したもので、19年5月に成立した「デジタル手続法」に規定する情報システム整備計画としても位置付けられるなど、より取り組みを具体化しています。
 デジタル・ガバメント実行計画は、国が実施する施策やプロジェクトについてまとめたものです。したがって、地方公共団体におけるデジタル・ガバメントの推進に関する部分についても、〈国が行う施策〉が記載されています。また、新計画では「地方公共団体におけるデジタル・ガバメント推進」の章が設けられ、旧計画と比較して内容の充実・強化が図られました。
 このうち、特に地方公共団体の皆さんに注目していただきたいのは、今回充実・強化された二つの部分です。

マイナポータルの活用を!

 第一に、「11・1 地方公共団体の行政手続のオンライン化の推進」の記載が充実・強化されました。これは、デジタル手続法により、デジタルファースト原則の下で〈国に対する行政手続きのオンライン化〉が義務化され、〈地方公共団体に対する行政手続きのオンライン化〉も努力義務となったことが背景にあります。
 新計画では、これまでのオンライン化とは異なり、〈デジタルファースト原則〉の下でのオンライン化として、①バックオフィスも含めたデジタル化、②対面でもオンライン(書かない窓口)、③添付書類の省略──などを推奨することとされています。
 また、その基盤には、市区町村が利用できる汎用的電子申請受付システムとして国が用意したプラットフォームであるマイナポータルの「ぴったりサービス」を、共同利用等により活用することを推進する──とされました。さらに、総務省は汎用的電子申請受付システムの整備に対する地方財政措置を講ずることとしています。
 市区町村の現場ではまだあまり知られていないかもしれませんが、ぴったりサービスは一度接続すれば市区町村に対するあらゆる手続きで活用できます。また、マイナンバーカード(公的個人認証)による〈本人確認を要しない手続き〉についても活用可能です。さらに今後、APIの開発等により民間サービスとの接続などの可能性も広がります。国と地方公共団体とがともにマイナポータルを育てながら、さまざまな手続きでの活用を推進していきたいと考えています。
 なお、これまでは総務省がオンライン利用を促進すべき手続きについて推進指針を作成していましたが、新計画では、それらを整理した上で地方公共団体が優先的に取り組むべき手続きを別紙5で明示しました。これらは各省協議を経て閣議決定されたもので、政府全体で推進していくことを明らかにしたのも新計画のポイントです。

業務・システムの標準化にも注目

 第二が、「11・2 地方公共団体における情報システム等の共同利用の推進」の「⑵地方公共団体における業務プロセス・情報システムの標準化の推進」です。ここでは標準化を進める対象となる業務や日程について、詳細に規定しています。
 一般に、市区町村の情報システムは、パッケージシステムに対して各団体がカスタマイズを多く行っています。それらは個々の創意工夫の積み重ねの結果であり、これまでの努力を頭から否定すべきではありませんが、ご承知のように、カスタマイズは情報システム経費増嵩(ぞう すう)の原因となっています。同じ法令に基づき事務を執行しているのに、それを支えるシステムをカスタマイズしているということへの疑問も、これまで指摘されてきたところです。
 そこで、制度を所管する府省庁と地方公共団体、ベンダーが協議しながら、業務プロセスを可視化し、人が行う作業とシステムが行う作業とを仕分け、システムが行う作業についてどのような機能が求められるのか等を規定した、いわゆる〈標準仕様〉の作成を政府全体で推進することになりました。
 標準仕様を活用して調達を行うことで、複雑で負担となっている調達プロセスから市区町村の担当者を解放するとともに、カスタマイズをなくし、より広域のクラウドサービスを進めやすくすることを企図しています。また、AI等の新しい技術を標準仕様に合わせて開発することにより、開発経費を引き下げていくことも狙いです。
 現在、総務省が中心となって住民記録業務から業務プロセス・情報システムの標準化の議論が行われています。
 今回の新計画では、標準化の対象とする業務は住民記録業務だけでなく、地方税や社会保障の分野に広げています。今後、これらの分野で標準化の議論が展開されていきますので、地方公共団体の皆さんも、新計画に掲載されているスケジュールを参照しながら今後の動向をしっかりと追っていただきたいと思います。

取り組みはサービスデザイン思考で

 もう一つ注目していただきたいのは11章の前文に当たる部分です。

 地方公共団体におけるデジタル・ガバメントの推進には、「サービス設計12箇条」に基づくサービスデザイン思考の要素が取りまとめられた標準ガイドライン及び関連文書を参考に、サービスのフロント部分だけでなく、バックオフィスも含め、エンドツーエンドでデジタル化・業務改革(BPR)の取組を徹底することが必要である。その結果、住民の利便性向上及び行政の効率化を図るとともに、地方公共団体が「人材」と「財源」を自ら生み出し、限られた資源 を地域の諸課題の解決に対し、効率的に活用していくことが期待される。

 ここでは〈国が行う施策〉ではなく、国と同様に地方公共団体がデジタル・ガバメントを進める上での基本的な考えである「サービスデザイン思考」の重要性が簡潔に述べられています。
 最終的に地方公共団体のデジタル・ガバメントを構築するのは国ではなく、地方公共団体の皆さん自身です。サービスデザイン思考を前提に、国として新計画に基づき、皆さんのデジタル・ガバメント構築の取り組みをしっかりと支えていきたいと考えています。

詳細はこちらからご覧いただけます。
政府CIOポータル デジタル・ガバメント実行計画
https://cio.go.jp/digi-gov-actionplan

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