ユーザー事例

日新電機株式会社 様

4事業分野をまとめ上げグローバルに成長めざす

電力エネルギー関連の設備を中心に、豊かな社会・産業基盤を支える製品・サービスを提供している「日新電機グループ」。創立以来100年ちかい歴史の中で培ってきた技術力には定評がある。連結納税を担当する日新電機経理部の下山哲史・財務グループ長と、杉岡はるかさんに話を聞いた。

日新電機

電力用コンデンサ設備で国内シェアをほぼ独占

――日新電機グループでは、今年度から新しい中長期計画をスタートされているそうですね。

下山 「ビジョン2015」という名前の5カ年計画です。これまでの事業の柱である「電力機器」と「ビーム・真空応用」の2つのセグメントに、「新エネルギー・環境」「ライフサイクルエンジニアリング」を加えた4つの事業分野で、さらなるグローバル展開を図っていくことを盛り込んでいます。海外売上高比率を34%から約50%にまで引き上げることが一つの数値目標です。

――4つの事業分野について、少し解説してもらえないでしょうか。

下山 電力は発電所で作られ、変電所などを経由して、工場やビル、一般住宅などに供給されます。それら電気の川上から川下までの間で使われる、変圧器、受変電設備、調相設備、監視制御システムなどの電力機器の製造販売をしているのが電力機器事業です。
 つぎにビーム・真空応用は、長年培ってきた高電圧技術と真空応用技術を最先端分野の製造機器に活用した事業で、半導体や薄型ディスプレーを作るための各種機器や、タイヤや電線等の品質向上に使われる電子線照射装置などを手がけています。
 そして、新エネルギー・環境では、太陽光発電用システムや水処理施設などを扱い、ライフサイクルエンジニアリングについては、日新電機グループ製品のサポート業務(工事・調整・点検など)を主体にしています。

――圧倒的なシェアを誇る製品をお持ちだとか。

下山 電力会社向けの電力用コンデンサは国内シェアのほぼ100%を当社製品が占めています。また、スマートフォンなどの高精細ディスプレーを作るのに必要なイオンドーピング装置は世界シェア80%を握ります。ほかにも、世界トップレベルのコンパクト化を実現した66/77KVガス絶縁開閉装置も国内で高いシェアをもっています。

――ところで「日新」という社名には、なにか由来があるのですか。

下山 中国の四書(儒教の経書)の一つ「大学」によると、殷王朝(紀元前17~11世紀)の創始者である湯王は、毎朝使う盤(洗面器)に「苟日新 日日新 又日新」と刻み、自らを戒めていたといいます。これは「少しでも新しくしようとする努力を、途切れなく続けなくてはいけない」という意味で、この精神にのっとって日々独創的な技術を生み出していきたいという思いから、「日新」と名付けたといいます。

グループ一丸となってデータ入力方法をマスター

――現在、日新電機さんの関連会社は、国内と海外それぞれ何社くらいあるのですか。

下山 国内に10社、中国や東南アジアを中心にした海外に21社あります。
 そのうち連結納税の対象になっているのは、日新受配電システム、日新電機商事、日新システムズ、日新ビジネスプロモート、日新イオン機器、エコトロン、NHVコーポレーション、日新パルス電子の8社。いずれも国内の100%子会社、孫会社です。

――2004年度から「連結納税制度」を採用されたとのことですが、その経緯を教えてください。

下山 02年度に特別早期退職優遇制度を実施した関係で大きな欠損金が発生してしまい、それを回収する手段として連結納税に目を向けました。ご存じの通り、連結納税を適用すると、親会社の赤字と子会社の黒字を相殺して税務上の計算ができます。いわゆる「損益通算」のメリットを期待したわけです。

――連結納税をスタートするにあたり、何らかのシステム活用をお考えになられたと思うのですが……。

下山 はい。そのとき最終選考に残ったのが、大手X社とTKCのシステムでした。結局そのときは、ネームバリューに勝るX社のシステムを採用しましたが、それを今年度3月期の決算からTKCの『eConsoliTax』に切り替えています。

――なぜそのタイミングで?

下山 クライアントサーバー型の旧システムの場合、古くなったサーバーをリプレース(買い替え)する必要があります。その時期が近づいていたとき、たまたまTKCシステムの評判を耳にする機会があり、改めてシステムの再検討をすることにしたのです。

――最終的にTKCを選んだ決め手は何だったのですか。

下山 一言でいえば、ASP方式ならではの機能性の高さにひかれたからです。たとえば旧システムでは、子会社からスプレッドシートベースで申告データを収集する作業がかなりの手間でした。ところが『eConsoliTax』では、子会社の担当者がレポーティングパッケージの画面から申告データを入力すると、それがオンライン経由でデータセンター(TKCのサーバー)に直接反映される仕組みなので、そのあたりの負担はずっと軽減されます。

――新しくシステムを導入するにあたっての作業は大変でしたか。

杉岡 マスター登録や期首の数字の入力などにそれなりの時間を費やしましたが、それほどではなかったと思います。
 ただ、導入したシステムをすぐに使いこなせたかというと、話は別。もちろん、これまでまったく連結納税の経験がないという会社にくらべれば、旧システムで培った土台がある分、負荷は軽かったと思いますが、出力帳票のフォームやシステムの操作性が旧システムとは異なるため、子会社の担当者を含めてそこにとまどうことは結構ありました。なので、一番苦労したのは、子会社担当者に正しい入力方法をおぼえてもらうことでしたね。

――そのために具体的にどんなことをされたのでしょうか。

杉岡 各子会社の税務担当者はTKC主催の入力説明会に参加し、そこで前年度の申告書を見ながらデータ入力の練習をしたのがまず一つ。さらに社内で、中間決算が終わった時期に、その数字を使って入力の練習をしました。別表がない状態での中間シミュレーションといった感じです。その入力結果を親会社である私たちがチェックし、入力漏れや間違いがあった箇所を再度入力してもらうことで正しいやり方を把握してもらいました。
 また、入力ミスが目立った箇所や、子会社担当者が困って質問してきた事項などは資料としてまとめ、グループ会社を集めた勉強会で再度復習し、本番に備えました。

――今年4月の決算業務はスムーズに進みましたか。

杉岡 そうですね。かなり心配していたのですが、大きな遅れも出ずに決算スケジュールを守ることができました。

――TKCのサポート体制はいかがでしたか。

杉岡 フォロー体制がしっかりしているという印象を受けました。サポートセンターが子会社からの質問にも対応してくれることもそうだし、担当の税理士が付いてくれるというのは私にとっては驚きでした。前年度データを使ったテスト入力結果の検証をしてくれたり、申告などについて有益なアドバイスをもらえたのは有り難かったです。

「データ閲覧機能」で子会社をしっかりフォロー

――決算申告業務の流れ(フロー)を教えてください。

杉岡 まずグループ会社がそれぞれ個別計算を確定し、そのうえで子会社から収集したデータをもとに連結納税の一体計算をして、「連結納税申告書」を作成・提出します。
 この流れのなかで特にこだわっているのは、決算期前の「期中入力」をできる限りしておくこと。これをしっかりとやっておくことで、決算中の業務負荷を少なくすることができます。

――実際に『eConsoliTax』を使ってみて印象はどうでしたか。

杉岡 子会社担当者の入力支援が格段にやりやすくなりました。従来は、子会社側のデータを親会社側からは閲覧できないため、子会社から問い合わせの電話を受けたときは、「その画面コピーを送ってください」とお願いし、正しい入力方法を手書きで記して送り返すようなことをしていました。それがTKCのシステムでは、同じ画面を見ながら「ここを変えてください」と電話で伝えられるため、ずいぶんと楽になりました。今回、連結納税の業務が実質的にはじめての会社があったのですが、この「データ閲覧機能」のおかげでだいぶ助けられました。
 また子会社からは、仮計算(子法人単体での計算)の段階で別表を確認できる機能への評価が高かったです。完了報告してしまう前に別表を確認できるのは助かるようです。

――日新電機経理部の、今後の抱負を最後にお聞かせください。

下山 「ビジョン2015」という中長期計画の実現を経理担当としてバックアップしていきたいというのがわれわれの目標です。そのためには、さらなる業務スキルの向上に努めていきたいと思っています。

会社概要
名称 日新電機株式会社
業種 電力機器の製造販売等
代表者 小畑英明
所在地 京都市右京区梅津高畝町47
TEL 075-861-3151
年商 904億円(連結)
社員数 4818名(連結)
URL http://nissin.jp/

『戦略経営者』2011年11月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2011年11月現在のものです。
※掲載企業様への直接のお問い合わせはご遠慮くださいますようお願いいたします。