事務所経営
円滑な資金調達等につながる「TKCモニタリング情報サービス」は、中小企業支援の必須ツール!
システム座談会
とき:平成30年4月2日(月) ところ:TKC東京本社
関与先企業の決算書や試算表等を、企業の依頼に基づきTKC会員事務所が金融機関にデータで送信する「TKCモニタリング情報サービス」。平成28年10月の提供開始から約1年半が経過し、利用件数は約3万件、採用金融機関が330機関に達している(4月12日現在)。最先端のフィンテックサービスを活用し関与先を支援している3名の会員が、同サービス推進の工夫や金融機関との連携状況について語り合った。
出席者(敬称略・順不同)
小林英伸会員(TKC関東信越会)
藤谷英明会員(TKC千葉会)
久保武徳会員(TKC九州会)
司会/角谷雅子会員(システム委員会TKCモニタリング情報サービス小委員会委員長・TKC近畿京滋会)
社長から「TKCモニタリング情報サービス」の利用依頼があり驚いた
──本日は「TKCモニタリング情報サービス」を積極的に推進している3名の会員にお集まりいただきました。まず事務所の概要からお聞かせください。
藤谷英明会員
藤谷 千葉県木更津市で事務所を経営している藤谷です。月次関与先は法人76件と個人11件、職員は巡回監査担当者が4名、内勤が2名という体制です。
経営理念として、①私はビジネスドクターとして関与先経営者の親身の相談相手となります、②「自利利他」の精神で三方よしを目指します、③「人は力なり」の精神で、社員の自己実現を図れるような所内体制を構築します、④所長は関与先と従業員の幸福の最大化を目指し、職員は関与先の発展を永遠のテーマとし、積極的な提案を行います──の四つを掲げています。
小林 関東信越会群馬支部の小林です。私は2代目で、先代が昭和37年に開業した事務所を承継しました。先代はもともとTKC会員でしたので、私も資格取得後TKCに入会しました。月次関与先は法人115件、個人22件で、職員は巡回監査担当者6名、内勤2名、パート2名です。
事務所の方針としては、会計や税務はもちろん、お客さまの経営課題や悩みを解決し「経営者が安心して事業に専念することができるサービスを提供する」ことを目指しています。また先代がTKC全国会の基本理念である「自利利他」を所訓にしていたので、それをそのまま引き継いでいます。
久保 九州会鹿児島支部の久保です。平成17年12月に関与先ゼロで開業し、月次関与先は法人160件、個人が40件で、職員は10名です。
経営理念は「ALL WIN(みんなで勝つ)」。当事務所の利益だけを求めるのではなく、顧問先・職員など当事務所にかかわるすべての人たちの幸せを追求するという思いがあります。
実は、私は開業してすぐTKCに入会したのですが、月次巡回監査や自計化に取り組まず、支部例会等にも顔を出さない名ばかりの会員だった時期が長かったのです。しかし、数年前の「7000プロジェクト(認定支援機関による経営改善計画策定支援事業)」をきっかけに、TKCビジネスモデルに真剣に取り組むようになりました。
──7000プロジェクトは金融機関との関係作りという面で大きな成果がありましたが、金融機関におけるTKCモニタリング情報サービスの活用状況はいかがですか。
藤谷 千葉会では千葉銀行との「トップ対談」も実施済みですし、私が所属する南総支部に関しても、当地域を営業エリアとしている君津信用組合との提携が進んでいます。
君津信組はTKCモニタリング情報サービスの利用に積極的で、TKCマークが記載されている紙の決算書をすべてピックアップし、担当者から融資先に「決算書をデータでください。会計事務所に頼めばできるはずです」とお願いしているそうです。実際に、当事務所のお客さまにも君津信組の担当者から連絡があり、社長から「決算書データを君津信組に送信してほしい」と電話がかかってきて驚きました。
今後は君津信組のような金融機関がどんどん増えてきます。お客さまに言われてから動くのでは遅いので、事務所としてしっかり推進していきます。
小林 関東信越会は広域なので、金融機関との連携は支部単位、トップ対談も支部長が訪問しています。やはり地域差が大きくて、ある支部ではほぼすべての金融機関がTKCモニタリング情報サービスを採用している一方、金融機関の理解が進んでいないという支部もあります。
また昨年、ある銀行の支店長会議に出席しこのサービスについて説明させていただいたのですが、その時に感じたのは支店ごとにも温度差があるということ。特に、近隣のTKC会員事務所と関係が深い支店の支店長などは関心が高かったように感じました。
──京都は比較的金融機関との連携が進んでいる方だと思いますが、それでも温度差を感じることがあります。久保さんはいかがですか。
久保 鹿児島県は保守的なところがあり、新しいことに対しては少し様子を見るようなところがあるので、他地域より少し遅れているかもしれません。それでも少しずつ連携が進んでおり、TKCモニタリング情報サービスを採用している地域金融機関は三つになりました。
今後は、地域における認知度をもっと高めていかなければならないと感じています。
借り入れのない金融機関にも事前に相談し決算書等を送信
──皆さんがこのサービスを初めて知った時、率直にどのように感じましたか。
藤谷 お客さまからよく「銀行に提出するので決算書(試算表)をください」と頼まれることがあり、その度にコピーをして郵送していました。ですからこのサービスを初めて知った時は「今後はデータで送れるからそうした手間がなくなり便利になるな」というのが第一印象でしたね。
小林英伸会員
小林 紙でのやりとりが必要なくなるので便利になるということは当然ですけれども、それ以上に「今まで事務所で取り組んできたことが金融機関に評価されるようになる」という期待を抱きました。
というのは、せっかく「書面添付」「記帳適時性証明書」「中小会計要領チェックリスト」を添付していても、そうした書類を関与先が金融機関に渡していない場合が多く、またその意義や役割が必ずしも伝わっていないと感じていました。でもこれなら融資担当者に直接見てもらえるようになるので、信頼性の高い決算書であるということが伝わり、それが事務所や関与先への高評価にもつながるはずだと思ったのです。
久保 私が最初に考えたのは「この仕組みなら、決算書を提出するのはお金を借りる時だけである必要はないのでは」ということです。例えば、以前に取引があり口座は残っているけれども現在は借り入れがないような金融機関に対しても、社長の同意のもと決算書や経営計画を送信するのです。
なぜかというと、仮に資金が必要になってからメインバンクに融資を申し込んで、断られたとします。そうすると別の金融機関に申し込む必要があり、新たな担保や信用保証協会の保証料が必要になるだけでなく、仮に借りられても金利が高くなる可能性があります。
しかし、メインバンクを含め複数の金融機関にあらかじめ決算書や経営計画などの情報を提供しておくことで、金融機関はその会社でいつ資金が必要になるか分かるので、金融機関の方からタイムリーな提案が可能になるわけです。
──そうした利用方法は初めて聞きました。社長や金融機関にはどのように説明しているのですか。
久保 社長には「日頃から情報を提供しておけば資金調達がスムーズになりますよ」と説明すれば、大抵納得していただけます。金融機関にも「他の金融機関から借り入れのある会社を狙わなくても、資金需要がある会社に貸した方が効率的ですよね」と話をすると、「確かにそうですね」と。
──そのためには、基本的にすべての関与先での経営計画策定支援が前提になりますよね。
久保 はい。そもそも資金が必要になってから経営計画を作るのでは遅すぎると思っていて、急ごしらえだとどうしても計画がずさんになりますし、審査に手間取ると融資が間に合わないというリスクもあります。
経営計画を作って数カ月先のキャッシュフローを金融機関に伝えた上で「この時期に資金が必要になりますから、必要な段取りをお願いできますか」と話しておけば、資金調達が非常にスムーズになるわけです。
社長にはペーパーレスによる効率化を訴え職員にはお互いの推進状況を意識させた
──皆さんTKCモニタリング情報サービスのメリットを感じてすぐに取り組んだということですが、現在の利用関与先数と推進の工夫をお聞かせください。
久保武徳会員
久保 対象としては、申し上げた通り採用金融機関に口座を持っている関与先にはすべてお勧めしており、約60社が利用しています。
推進については、資金調達が楽になるという点を説明するほか、少し別の角度から「ペーパーレス化が進んでいるのにいつまでも紙を使っていたら取り残されますよ」「融資を申し込む時に決算書が見つからず探している時間や、書類を準備する手間はない方がいいですよね」と、業務効率化という側面からもメリットを伝えています。
藤谷 当事務所では金融機関から借り入れがあるお客さまを対象に進めており、現在約40社が利用しています。
工夫としては、必ず社長の同意書をいただくようにするとスムーズですね。職員も巡回監査に行くとやることがたくさんあるので、新しいことの提案はどうしても後回しになりがちですが、同意書を持参させることで「所長から言われて持ってきました」と社長に話をしやすくなります。そして同意書にサインをいただいたら、その場ですぐに設定してしまうように指示をしています。
小林 当事務所も金融機関からの借り入れがある関与先については全社に勧めており、現在約50社が利用しています。まず職員に「これを事務所の標準業務にすることで金融機関からの評価が高まるので、みんなで取り組もう」と説明したのですが、最初は職員の意識に温度差があり動き出しが遅かったんです。
そこで、新しいことにチャレンジすることが好きな職員にまず1件実践してもらいました。さらに、職員ごとの実践件数が分かる紙のグラフを作って、タイムカードの横に貼りつけたのです。1件実践すると1枚シールを貼っていく仕組みなので、出退勤するたびに自然と「○○さんはもう3件しているのか」と目に入り、やっていない職員も意識するようになります。とにかく1件実践してしまえば何も難しくないことが分かるので、それから一気に利用が進みました。
──やはり職員さんの働きが重要ですよね。当事務所でも、このサービスの目的をきちんと職員に説明したことが推進のきっかけになりました。
一方、お客さまに対してはどのように説明していますか。
小林 基本的には職員と同じように「金融機関からの評価が高まりますよ」と話をしました。残念ながら、金融機関の中には税理士が作った決算書を信用せず「税務署に出しているものと違うのではないか」と疑いの目で見ているところもまだあるようですが、このサービスでは国税e-Taxの受信通知も送信することになるので、税務署と同じデータが届いていることが分かり信頼につながります。
ただどうしても納得いただけない社長もおられて、「内訳書の一部を見せたくない」というのがその理由でした。
藤谷 金融機関もプロですから、内訳書が提出されていなければすぐ分かります。そうすると「この会社は何か隠しているのでは?」と疑いの目で見られますし、いいことは何もないですけどね。
久保 関与先企業と金融機関は状況によって「貸してあげている」「借りてあげている」という意識になりがちですが、私は、両者は対等なパートナーであると思っています。パートナーとして信頼関係を構築するには、まず「何も隠していませんよ」ということを示すのが大切ではないでしょうか。
──実際に利用した経営者から何か感想はありましたか。
久保 当初想定していた融資の話ではなく、ペーパーレス化の方が喜ばれましたね。紙の決算書だと保管用のスペースが必要ですが、データ化によって倉庫が片づいたと。
小林 当事務所のお客さまも、事務作業が楽になったという声が多いですね。関与先によっては、毎年決算後に借り入れのある金融機関の数だけ決算書をコピーして届けに行っていたので、それがなくなるだけでも楽になります。
藤谷 社長や経理担当者に「金融機関からの信頼が高まります」といってもなかなか実感がわかないのは仕方がないかもしれません。融資を申し込む機会などがあれば、徐々にご理解いただけるのではないでしょうか。
逆に金融機関からは、「すぐに決算数値が見られるので便利」「データが信頼できるので安心」などの声をお聞きしています。
小林 金融機関によりますが、決算書を毎回関与先に取りに行くというケースも多いようです。そうした金融機関にとっては多くの労力を費やして回収する必要がなくなるわけですから、分かりやすいメリットとして感じていただいているのではないでしょうか。
金融機関・関与先・会計事務所の3者を飛び交う「情報共有のインフラ」ができた
司会/角谷雅子会員
──紙がデータになったことの利便性という面では、経営者にも金融機関にもメリットを実感いただけているようです。一方、このサービスの目的として、金融機関と中小企業の「情報の非対称性」を解消し、TKC会員が提出する決算書等の信頼性を金融機関に知ってもらうこと、さらにはそのデータを事業性評価に活かしていただくことが挙げられます。
久保 金融機関によっては、融資先の業績が悪くなると支援もせずに見捨ててしまうところもありますが、これは両者の信頼関係がないことが根本的な原因ではないでしょうか。中小企業ですから業績が悪化し赤字に転落することも当然あるわけですが、そうなった時、中小企業、金融機関、会計事務所のコミュニケーションが取れていれば、三者が協力して支援できるはずです。
例えば、先日あるお客さまの早期経営改善計画を決算書に添付して送信したのですが、その計画を金融機関が見て「○月に資金がマイナスになっていますが、何があるのですか」と聞かれました。そこで資金が必要な理由を説明したところ「では融資を検討する必要がありますね」と前向きな提案をしてくれたのです。
すべての情報がオープンになっていて、しかも経営計画によって将来を見通すことができれば、金融機関も前向きにとらえてくれます。そういう意味では、TKCモニタリング情報サービスと早期経営改善計画策定支援はセットで行うことが大事ではないかと思っています。
藤谷 このサービスが多くの金融機関に浸透することで、融資担当者は決算書を入手するための作業、あるいは入手した決算書が正しいかどうかチェックする作業が必要なくなります。ではそうして空いた時間で何をするかというと、まさに事業性評価ではないでしょうか。
彼らは1人で何十件も担当先を持っていますし、投資信託や保険なども勧めないといけないなど、やることが多くて大変です。しかし、金融機関の本来の仕事は融資ですから、そのための「目利き力」が必要であり、われわれが送信する財務データ等はまさに目利きをするための重要なツールになるはずです。
このサービスが当たり前になることで金融機関の目利き力が高まり、仮に業績が悪くても、将来性が感じられればきちんと融資を実行してくれるような金融機関が増えてほしいですね。
小林 これまで金融機関と関与先、会計事務所の三者は、それぞれ個別に関係を構築してきたイメージがありました。しかしこのサービスができたことによって、この三者間の「情報共有のインフラ」が整備されたのではないでしょうか。つまり、決算書や月次の試算表、早期経営改善計画などの情報がシームレスに飛び交って共有され、共通の知識に基づいてコミュニケーションができるようになります。
こうしたインフラがあれば、地域の中小企業を金融機関と会計事務所が協力して支援しようという方向性に向かっていけます。TKCモニタリング情報サービスの真の役割は、こうした点にあるのだと感じています。
メリットは必ず後からついてくる どうせやるなら率先して取り組もう
──他社システムには同種のサービスがまだないので、現状ではTKC会員だけがそのメリットを享受できます。この特権を活かし、今後さらに件数を増やすためにはどうすればよいでしょうか。
小林 借り入れは日本政策金融公庫だけというお客さまも多いので、日本公庫さんがこのサービスに対応すればもっと件数が増えるはずです。
会員側の問題としては「具体的なメリットが感じられない」という声を聞いたことがあります。「紙で渡してもデータで渡しても違いはないなら、わざわざ変える必要はない」と思考のシャッターを閉じてしまっているんですね。しかし仮に事務所にメリットがないとしても、皆さんがおっしゃっているように関与先や金融機関にはメリットがあるわけですから、「自利利他」の気持ちがあれば当然するはずです。
もちろん事務所としてのメリットがないということはなく、関与先や金融機関からの感謝や信頼がいずれ必ず事務所の利益につながってきます。
久保 最初にお話しした通り私は昔名ばかりの会員でしたから「メリットが感じられない」という気持ちが少し分かるんです。私の場合は7000プロジェクトをきっかけに遅まきながらTKCビジネスモデルに取り組んでいますが、何かそうしたきっかけが必要なのかもしれません。
先ほどメリットが分からないという話がありましたが、逆にこのサービスについては何もデメリットがありません。「利用するには100万円かかります」と言われたら迷ってしまいますが(笑)、コストがかかるわけでもなく、何のリスクもない。それなら「しない理由がない」と前向きに考えてみてはどうでしょうか。
──当事務所のケースですが、このサービスの利用をきっかけに、金融機関からお客さまを紹介いただけました。もちろんそれだけが理由ということではなく、TKCビジネスモデルに沿って取り組んでいる事務所であることを評価いただいた結果ですけれども、これも一つのメリットであることは確かです。
小林 世の中の電子化の流れは絶対に止まりません。電子申告が今では当たり前になったように、いずれは何でもデータで送信する時代になりますから、早い時期から取り組んでいるということが重要になります。というのは一定のラインを超えると「やることのメリット」よりも、「やっていないことのデメリット」の問題が大きくなるからです。
例えば、すでに複数の金融機関がこのサービスの利用を条件にした金融商品を開発していますが、そうした金融商品を社長が知って「小林さんはTKC会員なのに、この融資商品を利用できないの?」という話になれば、クレームや離脱につながりかねませんよね。どうせいつかはやらないといけないのだから、早く取り組んだ方が勝ちだと思います。
経営助言や業務効率化の指導力を付け地域中小企業の成長に貢献したい
──TKCモニタリング情報サービスの利用を含め、今後の事務所経営の方向性をお聞かせください。
藤谷 基本は月次巡回監査の徹底です。他の事務所から「当事務所に移りたい」と来た社長に「どうして会計事務所を変えるのですか」とお聞きすると、「年に1回しか来てくれない」「試算表を頼んでも全然くれない」といった不満が出てきます。ということは、月次巡回監査ができていないと不満がたまり、最悪の場合離脱につながるということ。
ですから巡回監査担当者には「1カ月遅れはお客さまの責任、2カ月以上の遅れは担当者の責任」と指導しています。1カ月ならお客さまの都合でやむを得ずできないこともありますが、2カ月も巡回監査に行けないということは、社長に巡回監査の重要性をきちんとお伝えできていないことが原因だからです。
また今年からは経営助言業務にも力を入れており、職員の財務コンサルティング能力を磨くための研修を実施しています。お客さまが一番苦労しているのは資金繰りの問題ですが、金融機関との交渉は私しかできなかったので、職員にもこうした付加価値の高い業務をしてもらうことで事務所の業務品質を上げることが狙いです。「地域でキラリと光る、特長のある会計事務所」を目指し、地元の中小企業を支援していきたいと思います。
小林 最近、お客さまのニーズが変わってきたと感じていて、税務、会計の相談よりも、業務効率化のためのシステム構築など、経営全般に対する相談が増えてきました。
そうした相談に対し、TKCのフィンテックサービスである銀行信販データ受信機能を利用した入力業務の効率化やFX4クラウドのMR設計ツールを使った管理会計の導入などを提案することで、関与先が少ない時間で効率的に業務を進められるようになります。その結果、TKCモニタリング情報サービスの利用によって金融機関にも月次試算表が即時に提供されるという、自計化から巡回監査、情報提供までの一連の流れができつつあります。
こうした業務効率化の仕組みの構築を会計事務所に求めてくるというのは今までなかったことですが、これにしっかり対応してアドバイスができれば顧客満足度が高まり一定の顧問料を確保できますし、事務所の業務としても、巡回監査が効率よくできるようになるなどのメリットが生まれます。
今後もこうしたニーズにしっかり応えることで地域の中小企業の成長に貢献し、「小林会計事務所は他とは違うね」と言われるようになりたいと思います。
久保 いまTKCビジネスモデルへの完全移行に取り組んでいるところですが、特に自計化については、新規の顧客は必ずTKCシステムの利用を前提としていますし、既存のお客さまについても少しずつ他社システムからの移行が進むなど、徐々に軌道に乗っています。
ただ焦って完璧を目指さないことは意識しています。関与先数がある程度の規模になると一度に変えようとしても難しいですから、一つひとつ進めていけばいい。本日のテーマのTKCモニタリング情報サービスについてもそうですが、何かができていないからやらないということではなく、とりあえず一度やってみて、少しずつ点数をあげていけばいいのではないでしょうか。
(構成/TKC出版 村井剛大)
(会報『TKC』平成30年5月号より転載)