2026年1月号Vol.141
【ユーザー事例2】フロント/バックヤード連携で窓口業務を効率化
スマート申請+基幹システム > 大阪府泉南市
行政経営部デジタル推進課長 岡崎 進一 氏 / デジタル推進課主任 髙浦優輔 氏 / 福祉保険部次長兼生活福祉課長 竜田寛之 氏 / 生活福祉課主任 根来允稔 氏
- 住所
- 大阪府泉南市樽井一丁目1番1号
- 電話
- 072-483-0001
- 面積
- 48.98平方キロメートル
- 人口
- 57,917人(2025年3月末現在)
──DXの推進状況を教えてください。
岡崎 泉南市では、2023年3月に『泉南市DX推進計画』を策定し、市民・庁内双方の視点に基づく施策を〝両輪〟としてDXを推進しています。
市民向けでは、手続きにかかる時間の短縮や市民一人ひとりのニーズに合ったサービスをオンラインで提供できるよう、〈待たない・書かない・行かなくてよい市役所〉を目指して、行政手続きのデジタル化に取り組んでいます。一方、庁内向けではAI議事録作成ツールや文書管理システム等の導入による業務の効率化を進めています。
推進体制の特徴としては「DX推進員」が挙げられます。これは原課の業務を知る職員に、デジタルを活用して、それぞれの部署に適した業務改善を考え、推進してもらうことを狙ったもので、26年度末までに100名の育成を目指しています。
DX推進員の意見や知見は次期のDX推進計画にも反映させる予定です。彼らの〝横のつながり〟により、課題・好事例の共有や協力体制を構築し、全庁的なDX推進につなげていきたいと考えています。
連携で支給処理期間を短縮
──給付金事業では、フロント/バックヤード連携にも取り組まれました。
竜田 給付金の支給事務は職員に大きな作業負担がかかり、また24年度の調整給付金事業の対象者は約1万人強と予想され、申請受付時には窓口が激しく混雑することが危惧されました。
そこで職員の負担軽減と窓口混雑緩和のため、「スマート申請システム」を活用したオンライン申請を導入しました。本事業では、最終的に申請件数全体の3割をオンラインが占める結果となりました。
根来 今回、申請フォームの作成では、TKCが提供するテンプレートを活用したことで、準備期間を大幅に短縮することができました。また、オンラインで受け付けた申請データは、バックヤードの「給付金システム」にデータ連携(CSV連携)しました。これにより、受付から審査完了まで数日を要する紙の申請書に比べ、処理にかかる期間を半分程度に短縮できました。
データ連携の成果としては、まず申請データを職員がシステムに入力する手間がなくなりました。加えて、申請内容の確認・審査にかかる時間が減ったことで、給付金支給までの期間が短縮され、市民サービス向上の面でも大きな成果があったと感じています。
竜田 今回の経験から、オンライン申請が窓口業務の改善に有効であることは確認できました。ただ、目的によって市民が求める行政との接点は異なります。例えば、対象者に高齢世帯が多い給付金の場合、オンライン申請はわずかで、窓口で直接相談・説明を受けることを希望する市民が多くなる傾向があります。このことから、市民との接点の多様化と窓口業務改善を一体的に進めることが重要と考えています。
高浦 今回はCSV連携でしたが、フロント/バックヤードの自動連携が進むと一段と便利になります。その点では今後、TKCの基幹業務システムと、スマート申請システムを使っているメリットを、最大限に生かしていきたいです。
また、申請フォームのテンプレートが用意されていたことで、職員にとってはオンライン申請に対する心理的障壁を下げる効果もあったのではないでしょうか。ぜひ、TKCにはテンプレートの充実と合わせて、他団体の事例や活用効果などを共有してもらうことも期待しています。
一方、デジタル処理とアナログ処理の混在により、職員の作業負荷が増加している現状もあります。これについては、オンライン申請やデータ連携の促進により業務改善を図るとともに、今後も残り続ける紙とどうつないでいくか、最適解を求めてぜひ一緒に検討していきたいと考えています。
DXを一過性で終わらせない
──フロントヤード改革は今後一段と加速することが見込まれます。泉南市の取り組みを教えてください。
岡崎 フロントヤード改革を全庁で進めるには、職員の意識改革が大前提となります。他団体では新庁舎建設計画を機にベクトルを合わせる例もありますが、そうした計画がない団体では地道な取り組みが欠かせません。
特に、今後はオンライン申請の推進がカギを握ると考えています。昨年、オンライン申請の利用状況を分析したところ、講座申し込みなど利用率が高い分野では確実に業務効率化につながることが分かりました。なかでも給付金事業のオンライン申請は一つの成功例といえ、これをきっかけとして、さまざまな分野でオンライン申請が広がることを期待しています。
またオンライン申請の定着には、庁内の〝理解者〟を増やすことも大切です。一例として、スマート申請システムで何か手続きを作成したらグループウェアで全庁に共有してもらっており、好事例の横展開も少しずつ進み始めました。とはいえ、手続きを増やすことは主目的ではありません。一過性の取り組みとしないためにも、市民・職員の双方の視点から効果的な手続きを選別することもポイントでしょう。
さらに、TKCの基幹業務システムとフロント系ソリューションを一体で導入しているメリットを生かし、さらなる窓口業務改革への取り組みを進めていきたいと考えています。
これらはデジタル推進担当だけで実現できるものではありません。DX推進員と協力し、より多くの職員を巻き込みながら、これからも全庁的な業務改善・働き方改革に取り組んでいきたいと考えています。
左から、根来主任、竜田課長、岡崎課長、髙浦主任
掲載:『新風』2026年1月号