2024年4月号Vol.134
【ユーザー事例2】定期支払制度の導入で、支出伝票を自動化
公会計システム > 千葉県習志野市
会計課審査係 係長 佐久間美樹 氏、主査 川上和葉 氏、副主査 三井宏昭 氏
政策経営部財政課財政係 係長 徳岡大地 氏 / 総務部情報政策課ICT推進係 主任主事 安西良平 氏
- 住所
- 千葉県習志野市鷺沼2丁目1番1号
- 電話
- 047-451-1151
- 面積
- 20.97平方キロメートル
- 人口
- 174,850人(2024年1月末現在)
──習志野市では、財務会計システムの更新と合わせて、2023年4月から定期支払制度をスタートされました。取り組みの狙いなどを教えてください。
佐久間 定期支払制度とは、市が年間を通じて定期的に支払うものについて、債権者からの申し込みによって請求書の授受を省略し、あらかじめ債権者が指定した口座へ定期日に支払いを行う、というものです。債権者と市の双方の〈事務の効率化〉を目的として、スタートしました。
定期支払制度の登録要件は、①支払い時期や支払い金額が契約によって確定している、②会計年度内の支払い回数が複数回──などです。対象分野としては、各種機器のリース料やシステムの利用料、清掃・警備業務の委託料の支払いなどが挙げられます。
市では制度開始にあたり、より多くの債権者に利用してもらえるよう年2回以上の支払いを対象とし、年度途中からの利用も可能としました。また複数年にわたるリース契約等については、一度申し込めば翌年度から自動継続できるなど、債権者の利便性に十分配慮した制度設計としています。
より便利な制度や業務を探求
──制度開始に向け、どのような準備をされたのでしょうか。
佐久間 22年夏に、定期支払制度の先行団体である近隣市を視察しました。ここで、制度運用の詳細に加え、登録申し込みから支払いまで業務の流れを確認したことで、自分たちの実務を具体的にイメージできるようになりました。また、「こうすればもっと便利になる」といった気付きもありました。
そうした視察の成果はTKCにも共有し、システムの機能強化の参考としてもらいました。一例が「支出負担行為作成後の定期支払登録(年間の支払時期と金額を登録)」機能です。これにより、請求月の支出命令の起票漏れや入力ミスを防止できます。加えて、「請求月の支出命令伝票の自動起票」機能もそうしたやりとりから生まれました。準備として、財務規則の所要の改正や定期支払事務取扱要領の策定、また職員が制度をスムーズに利用できるよう定期支払事務の手引きの作成を始めました。
23年3月には、職員への制度周知を行うとともに、並行して事業者への周知も実施。市のホームページで制度への登録案内をするとともに、財政課や情報政策課など定期支払の対象となる支払い処理が多い部署に依頼し、積極的なPRを展開しました。その結果、24年2月22日時点で、121件の登録をいただいています。
──導入効果はいかがですか。
川上 まだスタートしたばかりですが、債権者からは「郵送にかかる手間・コストが削減でき、入金日も決まっているため入金確認が楽になった」という声をいただいています。
一方、庁内でも業務の効率化につながっていると感じています。例えば、原課では支出命令伝票が自動起票される、該当の請求書の添付が省略される、など職員の作業負担が軽減しています。
三井 会計課では、支出命令審査で支出負担行為との照合、あるいは請求書の記載要件の確認が不要になりました。これは大きな効果だと思います。
ただ、定期支払の登録を誤ると自動起票に直結するため、十分な注意が必要です。そこで、定期支払を登録する段階で会計課職員2名体制による〝ダブルチェック〟を行い、その上で上司も確認するという具合に厳密なチェック体制をとっています。些細なことですが、後続作業の省力化のためにもこの点は手を抜けないですね。
着実に進む、業務・働き方改革
──内部事務のDXという観点から、今後の計画を教えてください。
安西 情報政策課では〈執務環境の改善〉として庁内ネットワークの無線化を進めるほか、公用スマートフォンの導入を計画中です。
また〈アナログ業務からの脱却〉にも意識して取り組んでいます。その一つがペーパーレスの推進による資料等のデータ化、業務効率化、印刷コストの削減です。加えて、これまで紙やExcel等で作成・管理されてきた膨大なデータをノーコードツールで一元管理することも検討中です。
徳岡 さらに、今秋をめどに財務会計業務でも「電子決裁」をスタートする計画です。これまでにも文書管理システムを導入して、文書の起案・収受から決裁、保存、廃棄までの電子化を進めてきましたが、財務会計の分野だけ〝紙〟が残っていました。今後は出張中やテレワーク中でも決裁可能となり、処理のスピードアップや一層のペーパーレスにつながると期待しています。
また現在、予算書や決算書はPDFで公開していますが、これをさらに進めた「デジタル予算書」の検討も必要でしょう。加えて、「電子契約」や「電子請求書サービス」、「デジタルインボイス(ペポル)」の動きにも注目しています。そこまで進めば本格的な働き方改革が可能となりますね。
そのためにも、まずは電子決裁を整備し、その上で電子請求書などによる新たな業務改革へとつなげていきたいと考えています。
掲載:『新風』2024年4月号