2021年1月号Vol.121
【ユーザー事例3】デジタル化で一段上の住民満足度向上を
基幹系システム > 静岡県長泉町
企画財政課 課長 川口正晴 氏 / 企画財政課企画調整チーム 主事 緒方克也 氏 / 主事 木内瑞己 氏
- 住所
- 静岡県駿東郡長泉町中土狩828
- 電話
- 055-989-5500(代表)
- 面積
- 26.63平方キロメートル
- 人口
- 43,647人(2020年12月1日現在)
──2018年12月に、基幹系システムを見直されました。
川口 長泉町では、「町民に寄り添う」を全ての事業活動の軸に置いて展開しています。そうしたこともあり、以前は基幹系システムも〈住民の利便性向上〉を狙ったカスタマイズを重ねてきました。しかし昨今、さまざまな法改正への対応とそれに伴う改修費の増加、また急速に進むデジタル革新などの影響もあって、従来方式の継続は困難となってきました。
そこで、将来的な住民の利便性向上の視点から検討した結果、クラウド型のパッケージシステムを導入することにしたものです。
長年使い慣れてきたシステムからの切り替えには戸惑うこともありましたが、本稼働から2年が過ぎ、いまでは日々の業務にすっかり定着しましたね。そうした中で生まれたコストや時間、労力などは、新たな取り組みに充てています。その一つが〈行政デジタル化〉の推進で、現在、AI・RPAなどを活用した「単純業務の自動化」や「窓口サービスのデジタル化」などを進めるとともに、はんこレスなどの申請手続きの電子化に向けた事務の洗い出しにも積極的に取り組んでいます。
パッケージシステムの採用で
コストや手間を削減
──システムの見直しにあたって留意された点は何だったのでしょうか。
川口正晴 課長
緒方克也 主事
木内瑞己 主事
緒方 「システムの改修・運用にかかるコスト削減」「業務の効率化・標準化」を図るため、システム調達の際には、パッケージシステムをノンカスタマイズで導入することを大方針に掲げました。その結果、最も自分たちに合うと考えて選択したのが、「TASKクラウド」でした。
システムの見直しで当初想定した効果は、ほぼ実現できたと感じています。
第一がコスト削減で、大規模な法制度改正に対応する場合でも、改修費は国が示す基準額に収まるようになりました。これは、定量的に把握できる成果の一つと考えています。
第二が運用管理にかかる作業負担の軽減です。
クラウドを志向した理由の一つに「災害時のシステム稼働の安定性」や「障害復旧対応の円滑化」もありました。以前は、朝一番で担当職員がサーバーの稼働状況を確認し、何かトラブルが発生すればあちこちのベンダーと調整しなければならないなど手間がかかっていました。それがいまではデータセンターがサーバーの管理や稼働状況の監視を行うため、こうした作業から開放されました。
──この機に業務プロセスも見直し、帳票の大量印刷をアウトソーシングするBPOにも取り組まれました。
木内 そうですね。従来は庁内に大型プリンターを設置して、印刷から封入封かん、引き抜きなどの作業を行っていました。当初課税の時期などは職員が数日間かかりきりな状況でしたね。それもTKCのアウトソーシングサービスを利用することで、この状況が改善され、職員は本来のコア業務に集中できる環境が整いました。
緒方 システム更新のタイミングが異なることもあって、仕組みとしては未完成な部分も残っていますが、できる限りTKCシステムに統一するなどにより人手を介さずデータを連携できる環境を整備し、業務の最適化を追求していきたいと考えています。
課題があればこそ
サービスの進化につながる
──新型コロナでサポート形態も変容しつつありますが、いかがでしょうか。
緒方 毎月(現在は隔月)、情報システム部門とTKCとの間で定例会を開催するのに加え、年に1度、原課職員も交えた全体会議を実施しています。ここにはTKCの開発担当者も参加するため、職員にとっては意見や要望を直接伝えることができる機会となっています。最近はWeb会議方式をとっていますが、そうした課題や情報共有できる場は大変貴重ですね。
──行政デジタル化に向け、今後の計画を教えてください。
川口 来年度から新たな総合計画がスタートしますが、その中でもデジタル化を重点事項に掲げて積極的に推進します。具体的には、会議システムを導入して会議資料のデジタル化を図るとともに、電子決裁や文書管理なども導入し、完全ペーパーレス化を図りたいと考えています。
さらに、今後はマイナンバーカードの利活用も重要となることから、先進団体に学びながら具体的なサービス導入を進めてまいります。
加えて、窓口サービスのデジタル化も推進します。その一環として、21年秋から「かんたん窓口システム」で“書かせない・迷わせない”窓口サービスを開始します。また、“来庁させない”ということでは行政手続きのオンライン化も検討しており、その前提として各種申請手続きの棚卸しや押印の要否などの整理を開始したところです。
解決すべき課題はつきませんが、課題があればこそ新たな仕組みの登場やサービスの進化につながります。これからも住民満足度の高いまちを目指して、行政デジタル化へ取り組んでいきたいと考えています。
掲載:『新風』2021年1月号