2021年1月号Vol.121
【ユーザー事例2】カード普及へ、もっと便利で快適な窓口を実現
マイナンバーカード交付予約・管理システム > 愛知県岡崎市
市民課 次長兼務課長 太田貴之 氏 / システム管理係 係長 小林大輔 氏 / マイナンバー係 主事 村松貴介 氏
- 住所
- 愛知県岡崎市十王町2丁目9番地
- 電話
- 0564-23-6000(代表)
- 面積
- 387.2平方キロメートル
- 人口
- 38万6,251人(2020年11月1日現在)
──マイナンバーカード普及拡大の取り組み状況を教えてください。
村松 岡崎市では、市民の方がマイナンバーカードの申請や各種手続きをしやすくするような、さまざまな取り組みを進めています。本庁舎に対応窓口を6カ所設置し、会計年度任用職員や派遣職員など窓口担当者の増員を図り体制を強化したほか、仕事や学校などで平日に来庁できない方のために月2回土曜窓口も開設しています。
また、市内7カ所の支所・市民センターへ職員が出向き、写真撮影や申請書記載のサポートも実施しました。これに加えて、2020年度は市内47の学区市民ホームなどに期間限定で出張窓口も設置しました。
しかし、カード申請数が急激に増加したことで、市民が窓口で何時間も待つような事態が発生し、内部の管理業務も限界に達しつつあります。国は、22年度末までにほぼ全ての国民がカードを保有することを目指しており、われわれとしても体制強化は必須となっています。そのための“次の一手”として期待するのが、「マイナンバーカード交付予約・管理システム」です。
予約~交付の一括管理で業務改善
太田貴之 次長兼務課長
──このほど運用を開始されましたが、導入の効果はいかがでしょうか。
小林 「市民サービスの向上」と「業務の効率化」の両面で導入効果があると考えています。
前者については何といっても予約ですね。岡崎市では1カ月に約6600枚(20年10月実績)のカードを交付していますが、これまでは申請や交付の予約を受けておらず、混雑時には市民を長時間お待たせすることもありました。21年1月から予約受付を開始しますが、これにより市民を窓口で“待たせない”とともに、交付場所を市役所以外にも広げ、市民が予約時に場所を指定できるようになります。岡崎市では、1月から交付場所としてショッピングモール内にサービスコーナーを開設する予定で、これにより “利便性の向上”につながると考えています。
村松 業務の効率化の点では、まず「カード管理簿」の作成が楽になったことが挙げられます。これまでは国から届くカード発行一覧表のQRコードを一つずつ読み取り、情報が不足する分は職員がデータを入力していました。今では、カード発行一覧表とマイナンバーカードを、スキャナで読み取るだけで管理簿が作成できます。読み取りにはAI-OCRを採用し、95%以上の読み取り精度を実現しています。
また、カード交付までの工程管理という点では、これまで個人的に作成したエクセルマクロを活用していたため、何かあるたびに私がメンテナンスする必要があり、手間や業務の属人化の面で課題があると感じていました。
それがカードごとに交付までの工程をシステムで一元的に管理できるようになったことで、管理の非属人化に加え、業務の進捗状況も把握しやすくなりました。
小林大輔 係長
村松貴介 主事
──住民記録システムとの自動連携という点ではいかがでしょうか。
村松 その点でも効率向上を期待しています。申請者の死亡や市外転出、あるいはカードを長期間受け取りに来ない場合などは、カードを廃棄する必要がありますが、これまではその管理も非常に大変でした。それが住民記録システムと連携したことで、例えば、亡くなった方のカードの抽出も容易になり、適切な廃棄管理が可能になると期待しています。さらに申請書や関連書類を15年間保管することを考えると、今後はイメージ管理も順次実施していきたいですね。
行政デジタル化へ動きを止めない
村松 今後については、〈カードごとに管理〉するというシステムの特性を生かすことで、さまざまな相乗効果が生まれるのではないかと感じています。例えば、年代や地域別にカードの申請・交付状況を取得できれば、その情報を分析し、取得していない方への効果的なアプローチを検討することができるでしょう。これは当初予想もしなかったプラスアルファの魅力です。
システムを利用する中で、「こんなことや、あんなことができそうだ」という多くの気付きがあります。汎用性があるシステムだけに、ぜひ、そうした現場の声を今後の機能強化に生かしていただきたいですね。
──ありがとうございます。行政デジタル化に向けて、やるべきことが山積みですね。
太田 いまや窓口の業務改革は避けられないテーマです。岡崎市としても、比較的単純な業務はAIやRPAなどを有効に活用しながら効率化を図るとともに、手続きの簡素化などBPRも推進しようとしています。
また、窓口サービスは〈市民を待たせない〉ことに加え、行政デジタル化という観点で今後は〈市民を来庁させない〉ことも重要になっていきます。マイナンバーカードはその基盤に位置付けられるもので、健康保険証との一体化などもあって普及は一段と加速していくことでしょう。そうした流れを止めることなく、同時に職員の負担も極力軽減しながら、市民サービスの充実に努めていきたいと考えています。
掲載:『新風』2021年1月号