最近「α世代」という言葉を聞くようになりました。その詳細とα世代をターゲティングする際のポイントを教えてください。(雑貨小売業)

 α世代とは、Z世代の次に続く世代で2010年から24年ごろに生まれた人々を指します。25年には世界で総人口が25億人に達すると予測されており、現代における最大のボリューム世代として、未来の経済や消費行動に大きな影響を与える層として注目されています。

 α世代の特徴については、次の6つのポイントが挙げられます。

  1. デジタルAIネイティブ
  2. デジタルゲームの普及により「オンライン世界(バーチャル空間)」を使いこなし生活圏の一部としている
  3. デジタル上でコミュニティーが多く、社会参画意識が強い
  4. 動画サイトの普及によりクリエーティブに対する興味が強い
  5. タイムパフォーマンス思考
  6. ほめる教育が浸透したことから、自己肯定感が高く多様性を受け入れる世代

 Z世代と大きく違う点は、主に使われているデジタルツールの違いです。α世代はバーチャル空間、Z世代はSNS空間により親和性が高いことが分かっています。デジタルマーケティングが必須となる現代で、各世代がどのツールを主に使用しているかを理解することも重要となります。

「親も楽しめる」体験が重要

 一方で、α世代の多くはまだ親の保護下にあり、親世代の価値観や行動が消費の意思決定に直接的な影響を与えています。そのため、α世代をターゲットにしたビジネス戦略を立てる際には、親世代へのアプローチが欠かせません。親子で楽しめる体験型のサービスや、子どもにとって安全で教育的な価値がある商品を提案することが効果的です。

 α世代の親が持つ価値観として「『体験』に価値をおいている」ことが挙げられます。つまり「モノ消費」よりも「コト消費」に投資する傾向が強いのです。学歴よりも、体験が重視されるようになってきている最近の動きに合わせ、親世代の意識も変化し始めています。また、α世代自身もSNSで世の中の出来事に触れる機会が多いため、自分のやりたいことに積極的に投資し、自分の強みを見つけるために自己投資を惜しまない傾向が強くなると予測できます。

 このようなα世代や親世代の特徴、価値観を捉えたヒット商品が、SEGA製のトイカメラ「#バズゅCam」です。同商品は子供用の簡易カメラですが、撮影だけでなく、カメラ内で動画編集をすることができます。「動画クリエーティブ体験」が可能な商品としてα世代に支持されました。

 この事例は、α世代の特徴である「クリエーティブに対する強い興味」へアプローチしたこと、親の価値観である「コト消費」に該当したことがヒットした要因のひとつだと考えられます。また、α世代は親世代と友達のような関係性を築いていることが多く、「親と一緒に体験する」「親も楽しめる」点も大切なポイントでしょう。このように、α世代だけではなく、その親のニーズも捉えることが、α世代を対象としたマーケティングとして今後も重要になるのではないでしょうか。

掲載:『戦略経営者』2025年2月号