オフィスや工場が浸水で大きな被害にあい、売り上げの減少が避けられませんでした。中小企業に対する政策的な支援の活用を検討したいので、詳細について教えてください。(部品製造業)
被災された事業者の皆さまには、心からお見舞い申し上げます。
昨年の台風15号、19号で被災された中小企業・小規模事業者への国などの支援策は、被害が甚大で広範囲だったため多岐にわたっています。そのため、実情にあった支援策を効果的に利用するには、相談窓口を活用して進めるのが最も確実な方法です。
各種の支援策は、14都県に設置された「特別相談窓口」で相談ができます。窓口は、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県のよろず支援拠点、商工会、商工会議所、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫などにあります。
また国の制度に、「ミラサポ」という専門家派遣制度があります。ミラサポには多くの専門家が登録されており、今回は相談窓口などに電話相談するだけですぐに専門家派遣ができるように、弾力的な運用が図られています。多忙な事業者などはまず電話で相談し、専門家派遣してもらうと良いでしょう。
浸水や水没被害が甚大だった4県(宮城、福島、栃木、長野)の事業者は、「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」が利用できます。建物・設備復旧費の最大4分の3(1事業者上限額15億円)を補助する制度で、倒壊した工場の立て直しや浸水した機械の買い替えなどに利用できます。グループを組成し「復興事業計画」を策定、代表企業が県の認定を受けてから個別事業者が交付申請します。
「持続化補助金」は、小規模事業者(20名以下、商業・サービス業5名以下)が、地元商工会等の支援を受けながら利用できる補助金です。機械装置費や設備廃棄費などにも利用できます。上限額は、4県(宮城、福島、栃木、長野)が200万円、10都県(岩手、茨城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、静岡)は100万円です。初回公募は1月に終了しましたが、次の公募も予定されています。
信用保証協会の別枠運用も
日本政策金融公庫は、14都県の被災事業者を対象に災害復旧貸付を実施しています。融資金額は、中小企業事業が別枠3億円、国民生活事業が各制度に上乗せ6000万円です。なお、最大1億円まで基準金利から0.9%下げて融資されます。
また民間金融機関などの融資で災害復旧を行う場合、信用保証協会の別枠運用(保証拡大)があります。一般保証枠(最大2.8億円)とは別枠で最大2.8億円の保証が受けられます。
被災によって既存借入金の返済に窮する場合、返済繰り延べや債務免除などの金融支援について相談を受けることもできます。各県の中小企業再生支援協議会が、金融機関間の調整や事業計画策定などについて支援しています。
以上が主要な支援策です。数次にわたる災害が重なった結果、支援策が複雑化しています。お近くの支援機関や特別相談窓口に電話をするか訪問し、実情に合った支援策を活用されることをお勧めします。