留学生をアルバイトとして雇いたいのですが、日本人学生とは異なる法律上の規制や届け出があると聞きました。法的な義務や注意すべきポイントについて教えてください。(コンビニエンスストア)

 留学生をアルバイトとして雇用する場合、法的に注意すべきポイントとして①在留カードの確認②ハローワークへの届け出③労働時間の上限確認の3つがあります。

 まず、不法就労にあたらないかどうかを確認するため、面接時に本人から「在留カード」を提示してもらいましょう。このとき、在留カードの有効期間が切れていないかもチェックします。有効期間は控えておき、随時、更新の確認を怠らないようにしましょう。

 また、留学生は「留学」の資格に基づく在留カードを持っていますが、このままでは就労できません。裏面に「資格外活動」の許可を得ている旨が記載されているかも同時に確認してください。

 加えて、在留カードの写真と本人を見比べて同一人物であることの確認、学生証のチェック、通学先に退学していないかの確認などもしておけば万全です。

 不法就労を行った場合、留学生本人が刑事罰や国外退去処分を受けるだけでなく、雇用した企業も厳しい責任を問われます。故意に不法就労者を採用した場合だけでなく、在留カードを確認しなかった等の過失があった場合も含め、不法就労助長罪として3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑事罰に処せられますので、在留カードは必ず確認するようにしてください。

ハローワークへの届け出

 留学生は言うまでもなく学生の身分であるため、原則として雇用保険には加入しませんが、採用時にハローワークへ「外国人雇用状況届出書」という書類を提出しなければなりません。この書類に採用した留学生の氏名、在留資格、在留期間などを記入し、採用した日の属する月の翌月末日までに、事業所を管轄するハローワークに提出します。

 退職した場合も退職日が属する月の翌月末日までに、外国人雇用状況届出書をハローワークに提出してください。ちなみに、外国人雇用状況届出書は採用時も退職時も兼用できるフォーマットになっています。

 外国人雇用状況届出書はハローワークで入手するか、インターネットからもダウンロードでき、「外国人雇用状況届出システム」を利用してインターネット経由で提出することも可能です。

 外国人雇用状況届出書の提出を怠った企業には、30万円以下の罰金が課せられるので、提出漏れのないように気を付けてください。

労働時間の上限は週28時間

 留学生アルバイトには1週間あたりの労働時間に上限があり、原則として28時間までと法律で定められています。この時間を超えないよう、シフトの管理には十分注意してください。ただし、夏休みなど「学則による長期休業期間」は1日8時間まで就労が可能となります。

 就労可能時間を超えて留学生が就労させた場合、企業が不法就労助長罪に問われるだけでなく、留学生も刑事罰や国外退去処分を受けるなど大きな不利益を被ることになるため、労働時間の上限も順守するようにしてください。

 留学生をアルバイトとして雇用する場合には、日本人学生とは異なるさまざまなルールがあります。法令違反が生じないように、慎重な対応を心がけましょう。

掲載:『戦略経営者』2019年10月号