全国会活動

TKC会員事務所の経営基盤の強化のために

税理士業務の完璧な履行を追求するとともに、中小企業の存続発展を積極的に支援するためにはTKC会員事務所の経営基盤の強化と業務品質の向上を図らなくてはなりません。

業務品質と経営効率の向上の達成へ

 わたしたちのミッションである、①中小企業の黒字決算への支援、②「決算書の信頼性向上を図る支援、③企業の存続基盤を盤石にしていく支援

──を継続的に実施するためには、会計事務所の業務品質と経営効率のさらなる向上の実現が不可欠です。業務品質の向上のためには「コストと時間の追加」が必要である一方で、経営効率を向上させるためには「コストと時間の削減」が必要です。

 私たちは、この二律背反する課題を「TKCシステムの徹底活用」と「所長・職員の錬成」により解決していこうと考えています。

 TKCシステムは、TKC全国会システム委員会の下で、それぞれの専門業務に精通した委員の指導により開発されています。こうした、TKC会員の豊富な経験と卓越した専門家のノウハウを組み込んだTKCシステムを徹底して活用することは、業務品質と生産性の向上を同時に実現します。

OMSのフル活用による事務所管理体制の構築

 私たちが関与先企業に提供する業務を効率化しながら、より付加価値の高いものとするためには、事務所内においても業績管理レベル・経営戦略レベルでのICTの活用が重要となります。

 私たちは、これを実現するものとしてTKC全国会システム委員会が開発した「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」の利用と、監査担当者が限られた訪問時間を効率的に使い、より多くの時間を経営助言業務へ充てることができるようにする「巡回監査支援システム」の利用を推奨しています。

 OMSクラウドは、TKC会員事務所に対する最適なTKCシステムの活用と効率的な事務所経営を支援するために開発され、進化してきたものです。その機能は、業務の合理化・標準化にとどまらず、税理士法第41条および第48条の16の規定による「税理士業務処理簿(帳簿)」の自動記録や、全ての職員の業務について「巡回監査の進捗状況の確認」「継続MASシステムの進捗状況の確認」「FX2自計化推進の確認」「書面添付の実践履歴の確認」などで情報を的確に把握することができます。

 その開発目的は次の通りです。

  • ●最新のシステム利用状況と連動して事務所全体の動きをタイムリーにつかみ、また、それにより事務所全体の問題点を把握する
  • ●さまざまなデータをもとに、所長が職員の業務進捗を管理し、客観的なデータに基づいて職員への適切かつ迅速な指示を行う
  • ●「継続MASシステム」の利用や巡回監査の進捗を確認することで、関与先に対してどのようなサービスが行われているかの概要を把握する

研修による所長・職員の錬成

 税理士がその社会的使命を正しく実践するためには、「自利利他」の精神を養い専門家としての能力を錬磨するとともに、事務所の総合力をさらに高めることが重要です。このため研修活動はTKC全国会の諸活動の中でも特に重視されてきました。

 TKC全国会では、『TKC会計人の行動基準書』において、「会員は、関与先企業等の永続的な発展を願い、業務の完璧な履行を決意して、生涯を通じて不断に高度な専門的能力の錬磨に努めなければならない」と規定し、生涯研修(初年度90時間、次年度以降54時間)への参加を求めています。これは、TKC会員が専門能力を十分に獲得し蓄積するとともに、TKC会計人としての職業倫理を堅持するために最も重要な研修と位置付けられています。

 平成22(2010)年には、TKC全国会会員とその職員に対する研修体制の強化・拡充を目的に、研修会を高品質、高画質で録画し、オンデマンドなどの技術の活用により会員事務所へタイムリーに提供することができる「TKC全国会飯田橋スタジオ」を開設しました。このため、TKC会員事務所では事務所に居ながらにして、国内第一級の講師陣による研修を一律に聴講することができます。

 私たちは、関与先企業が生き残り、継続的な黒字決算と適正申告を実現するためにも、これらの知識を巡回監査の実践とTKCシステム活用の場面で生かしていかなければなりません。

現場実践力の向上を目指して

 事務所の総合力を高めることは、職員の巡回監査能力の向上なくして実現することはできません。このため、TKC全国会では昭和60(1985)年4月より職員研修制度を構築しています。

 また、現場第一線でTKCシステムを活用する職員を「TKCシステム専任講師」として登用し、全国で巡回監査支援システムFX2継続MASシステムの活用研修会を行っています。これは、TKC会員事務所の職員の中でも特に一級の職員が持つ暗黙知を形式知とし、TKC会員事務所の業務品質のレベルアップを目指して実施しているものです。

 さらに、平成24(2012)年4月からは職員研修制度の一環として、厳しい経営環境に置かれている中小企業を支援するとともにTKC会員事務所の業務品質と経営効率の向上の実現を図るため、新たな資格制度として「巡回監査士」を創設し、資格の取得を勧奨しています。

TKC全国会バッジ会員の拡充

TKC全国会バッジ

 TKC全国会では、翌月巡回監査率や「継続MASシステムによる経営改善計画策定支援」「FX2による自計化支援」「税理士法第33条の2第1項に規定される書面添付の実践」「生涯研修54時間の履習」など、TKC全国会の理念および政策を積極的に実践している会員に対して「TKC全国会バッジ」を貸与し、これを顕彰しています。

 これは、まだその基準に到達していない会員に対して助言し、TKC全国会会員としての業務品質の向上を図り、会員事務所全体をレベルアップすることを目的としています。

「巡回監査士」、「巡回監査士補」とは

「巡回監査士」、「巡回監査士補」は、TKC会員事務所の業務品質を支える事務所職員を対象とした、コンサルタント系の民間資格認定団体では最も権威のある公益社団法人全日本能率連盟の登録資格(認証番号第129号および133号)です。

 この資格は、職員研修の一環として行われる職業倫理、租税法、法律実務、会計、経営助言や法人税、消費税、所得税といった各税目等についての高度な専門知識と倫理観に関する研修を受講し、これに基づいて行われる巡回監査士試験に合格した職員に与えられます。巡回監査士、巡回監査士補には、KFSの推進活動や「中小会計要領」の普及、中小企業経営力強化支援法に基づく、経営革新等支援機関による経営改善支援業務の現場での担い手として活躍が大いに期待されています。


(『TKC全国会のすべて 平成28年版』より転載)