2026.03.24
再審却下決定に対する抗告許可申立事件
★「新・判例解説Watch」民事訴訟法分野 令和8年6月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574768/最高裁判所第一小法廷 令和 8年 1月28日 決定(許可抗告審)/令和7年(許)第18号
申立人が、再審却下決定に対する抗告許可の申立てをする旨の書面を最高裁判所に提出することにより、抗告許可の申立てをした事案で、本件申立ては、申立人が本件弁護士を代理人として選任し、本件弁護士が作成した本件申立書を当裁判所に提出することによりされたものであり、本件申立書には、本件申立ての以前に本件弁護士が最高裁判所に抗告許可申立書を提出した抗告許可の申立てについて移送された事案が複数ある旨の記載がされており、そのうえ、本件申立書には、仙台地方裁判所又は広島地方裁判所への移送を希望し、福岡高等裁判所管内の裁判所への移送を拒絶するとまで記載されているのであるから、本件申立てが、抗告許可の申立ては抗告許可申立書を原裁判所に提出してしなければならない旨を規定する民事訴訟法337条6項、313条、286条1項に反することを十分認識しながら、自らの希望する裁判所に移送されることを求めるという不当な目的をもってあえて最高裁判所にされたものであることは明らかというべきであるから、本件申立ては、許可抗告制度を逸脱する意図をもってあえて不適法な抗告許可の申立てをすることを選択してされたものというほかなく、原裁判所に移送することなく不適法として却下すべきものであるとして、本件申立てを却下した事例。
2026.03.24
否認請求認容決定に対する異議請求控訴事件

LEX/DB25626397/福岡高等裁判所 令和 7年 4月17日 判決(控訴審)/令和6年(ネ)第880号
破産者であるA社が有していた電子記録債権の窓口金融機関である控訴人(原告)・銀行が、破産者に対する破産手続開始決定後に、当該電子記録債権の決済のために破産者の普通預金口座宛てに送金された各支払金を破産者の普通預金口座に入金せず、控訴人の別段預金に入金し、銀行取引約定に基づき自らの破産者に対する破産債権に充当した行為について、A社の破産管財人である被控訴人(被告)が、破産法162条1項1号ロによる否認を主張して、同法174条に基づく否認の請求をしたところ、裁判所が同請求を認容する旨の決定(原決定)をしたため、控訴人が、被控訴人に対し、原決定の取消し及び否認の請求の棄却を求めて破産法175条1項に基づく異議の訴えを提起し、原審が、控訴人の商事留置権の主張及び相殺の主張をいずれも認めず、原決定を認可したことから、控訴人が控訴した事案で、控訴人は、電子記録債権に商事留置権の成立を認めるべきである旨を主張するが、電子記録債権について商事留置権の成立を肯定するにせよ、否定するにせよ、約束手形による取引の場合とは利害状況が大きく変わることは避けられず、商事留置権の成立を肯定すれば、債務者やその一般債権者に及ぶ影響が大であることに鑑みると、明示的な立法により肯定されない限りは、商事留置権の成立については消極的に解するのが相当であるなどとして、本件控訴を棄却した事例。
2026.03.17
地位確認等請求事件
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LEX/DB25574808/最高裁判所大法廷 令和 8年 2月18日 判決(上告審)/令和5年(オ)第360号 他
軽度の知的障害を有していた被上告人(被控訴人・原告)は、警備員として交通誘導に係る警備業務に従事していたが、平成29年3月、被上告人についての保佐開始の審判が確定したことに伴い、警備業法上の警備員の欠格事由の発生を解除条件としていたため、警備会社を退職したところ、その後、被保佐人であることを警備員の欠格事由の一つとして定めていた改正前の警備業法14条、3条1号の規定は、令和元年法律第37号による改正により削除されたことから、被上告人が、本件規定は憲法22条1項及び14条1項に違反し、国会が本件退職時点までに本件規定を改廃する立法措置をとらなかったことは違法であるなどと主張して、上告人(控訴人・被告)・国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払を求め、第一審が被上告人の請求を一部認容したところ、上告人が控訴し、被上告人が附帯控訴し、控訴審が、本件控訴は理由がないとして棄却し、本件附帯控訴は原判決の認容額を増額した内容で変更したことから、上告人が上告した事案で、遅くとも本件退職時点までには、被保佐人のうち警備業務を適正に実施するにあたって必要な能力を備えた者が本件規定により一律に警備業務から排除されることによる不利益は、もはや看過し難いものとなっており、本件規定が重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることについての立法府の判断は、その合理的裁量の範囲を逸脱するに至っていたというべきであるから、本件退職時点において、本件規定は、憲法22条1項及び14条1項に違反するに至っていたというべきであるとする一方、本件退職時点において、本件規定が憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠ったということはできないから、本件立法不作為の違法を理由とする慰謝料請求は理由がないなどとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、第1審判決中上告人敗訴部分を取り消し、当該取消部分に関する被上告人の請求をいずれも棄却し、上記破棄部分に関する被上告人の附帯控訴を棄却した事例(意見、5名の各反対意見あり)。