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2026.09.01
業務上過失致死被告事件 new
LEX/DB25575089/釧路地方裁判所 令和 8年 6月17日 判決(第一審)/令和6年(わ)第73号
被告人は、旅客不定期航路事業等を業とするC社の取締役として、同社の事業を統括するとともに、同社の安全統括管理者兼運航管理者として業務に従事していたものであるが、汽船Dの船長をA、甲板員をBとし、同船に乗客24名を乗せ、北海道斜里郡a町の漁港から、付近の海域を往復した後帰港する航路で同船を発航させるにあたり、天気予報において、強風注意報及び波浪注意報が発表されており、同海域においては、天候の急変等により前記予報内容を上回る風速及び波高となることも予想されるなど、同船を前記航路で航行させれば、安全な航行に支障をきたし、同船の乗客らが死亡する事故が発生するおそれがあったにもかかわらず、前記危険の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠り、中止を指示することなく、漫然と同船を前記航路で航行させた過失により、船内への浸水により同船を沈没させ、その頃、A及びB並びに同船に乗船していた乗客24名を溺水により窒息死させたとして、業務上過失致死の罪で禁錮5年を求刑された事案で、被告人は、同船を航行させれば安全な航行に支障をきたし、人が死亡する事故が発生することを予見できたといえるから、本件注意義務の前提となる予見可能性があったと認められ、この注意義務違反と乗員及び乗客合計26名の死亡という結果との間には因果関係も認められるから、被告人には、業務上過失致死罪が成立するとしたうえで、本件においては、被告人の安全に対する意識の希薄さや運航管理者等としての自覚の無さを示す種々の事実が認められるのであって、こうした背景事情も踏まえれば、本件における被告人の過失は、運航可否の判断を誤ったという単発的、偶発的なものにとどまらず、安全を軽視する平素からの態度が形となって表れたものとみるべきであり、その結果はこの上なく重大であるところ、その他の事情を踏まえれば、本件の犯情は、業務上過失致死罪で処断される事案の中でも最も重い部類に位置付けられるとして、被告人を禁錮5年に処した事例。
2026.09.01
業務上横領被告事件 new
LEX/DB25575108/東京地方裁判所 令和 8年 5月18日 判決(第二次第一審)/令和6年(刑わ)第1261号
被告人は、A社の従業員として、同社の預金の出納等の業務に従事していたものであるが、Bと共謀のうえ、A社名義の普通預金口座の預金を同社のために業務上預かり保管中、自己の用途に費消する目的で、情を知らない同社経理担当従業員Eに、同社に設置されたパソコンを操作させ、同銀行のインターネットバンキングシステムを利用して、前記普通預金口座から被告人名義の普通預金口座に1000万円を振込送金させ、もって横領したとして、業務上横領の罪で懲役2年6か月を求刑され、差戻前第1審判決は、被告人から、直接1000万円の送金を指示された旨のEの証言の信用性を肯定して被告人を有罪としたが、控訴審は、審理不尽のままE証言の信用性を認めて、被告人が本件送金の指示をしたと認定した第1審判決の判断は、論理則、経験則に照らし不合理であるとして同判決を破棄し、本件を地方裁判所に差し戻した事案で、被告人が、本件当日にEに本件送金を指示したと認めることはできず、そのほかの事情を検討しても、被告人が本件送金時に、本件送金がA社の資金からなされることを認識していなかった合理的疑いが残るから、被告人に業務上横領の故意があったと認定することはできないところ、本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるとして、被告人に対し、無罪の言い渡しをした事例。
2026.08.25
強盗致死、器物損壊被告事件 
LEX/DB25575141/仙台地方裁判所 令和 8年 6月25日 判決(第二次第一審)/令和6年(わ)第194号
被告人が、氏名不詳者らと共謀のうえ、(第1)A(当時45歳)から金品を強奪しようと考え、上記A方において、同人に対し、氏名不詳者が、殺意をもって、上記Aの背後からその頸部を腕で絞めつけるなどの暴行を加え、よって、その頃、同所において、同人を頸部圧迫に基づく急性循環不全により死亡させたうえ、同人ほか1名所有又は管理の現金100円及び鍵2個等50点在中のビジネスバッグ1個等4点(時価合計約28万8500円相当)を奪ったが、被告人には殺意がなく、(第2)上記A方室内壁面に設置されていた株式会社B建設所有のテレビドアホンモニター1台を、その配線を切断するなどして壁面から取り外し(損害額1万0800円)、もって他人の物を損壊したとして、強盗致死、器物損壊の罪で起訴されたところ、第一審判決は、被告人を懲役23年を言い渡したが、控訴審判決は、第一審が認定した強盗致死罪の共同正犯の成立を認めることはできないとし、原判決には事実の誤認があるとして、原判決を破棄し、第一審に差戻しを命じ、差戻後の第一審判決の事案で、(1)強盗致死の共謀の有無について、間接事実〔1〕〔2〕それぞれによる共謀の推認ができず、また検察官の主張する共謀による説明以外にも、本件で認められる事実関係の全体を合理的に説明できる仮説が存在する、すなわち、共謀を認定するにはなお合理的な疑いが残るものというほかないから、本件公訴事実第1(強盗致死)について共謀があったと認定することはできないとし、(2)器物損壊の共謀の有無について、本件モニターの損壊について被告人がCらと共謀していたと認めることにも合理的な疑いが残るというべきであるから、本件公訴事実第2(器物損壊)についても共謀があったと認定することはできないとし、以上によれば、本件公訴事実については、いずれも犯罪の証明がないとして、被告人に無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。