2026.06.09
不正競争行為差止等請求事件
★「新・判例解説Watch」知的財産法分野 令和8年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574947/最高裁判所第二小法廷所 令和 8年 4月24日 判決(上告審)/令和7年(受)第356号
上告人甲社は、デザイナーである乙から上告人製品に係る著作権を取得し、上告人丙社は、上告人甲社から同著作権の独占的利用権を取得し、上告人製品を製造販売等しており、他方、被上告人は、被上告人各製品を製造販売等しているところ、上告人らが、被上告人に対し、被上告人による被上告人各製品の製造販売等の行為が、上告人らの商品等表示として周知又は著名なものと同一の商品等表示を使用する不正競争行為(不競法2条1項1号、2号)に該当する、仮に該当しないとしても、上告人製品について、上告人甲社が有する著作権及び上告人乙社が有するその独占的利用権の各侵害行為(著作権法21条、27条)に該当するなどと主張して、差止めや廃棄、損害賠償を求め、第一審が請求を棄却したことから、上告人らが控訴し、控訴審が控訴をいずれも棄却したところ、上告人らが上告した事案で、量産実用品の全体又は部分における形状等が、観念上、機能に由来する構成とは別個に、思想又は感情の創作的な表現として把握することができるものである場合には、当該量産実用品の全体又は部分は、著作権法2条1項1号にいう著作物のうち、美術の範囲に属するものに当たるというべきであるとしたうえで、本件椅子は、量産実用品であって、上告人らは、約66度の略L字型を成して床面から立ち上がっている2本の脚を有し、当該2本の脚の間に座面板及び足置板が床面と平行に固定されるようになっている点において創作性が認められるから、本件椅子が著作物に当たると主張するが、上記の点は、子供用の椅子としての機能に由来する構成である脚、座面板及び足置板の配置による形状が美感を起こさせるものであることを基礎付ける事情に過ぎず、本件椅子の全体又は部分における形状等は、子供用の椅子としての機能に由来する構成としてしかこれを把握することができないから、当該構成とは別個に、思想又は感情の創作的な表現として把握することができるものではなく、よって、本件椅子は、著作物に当たるとはいえないとして、本件上告を棄却した事例(補足意見あり)。
2026.06.09
覚醒剤取締法違反被告事件

LEX/DB25628711/名古屋高等裁判所 令和 7年 7月23日 判決(控訴審)/令和7年(う)第44号
被告人が、みだりに、被告人方において、覚醒剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する結晶約0.212グラムを所持したとして、覚醒剤取締法違反の罪で懲役3年を求刑され、原審が、本件リュックサックから本件覚醒剤が発見されたことからすれば、被告人が判示記載の日時場所において、本件覚醒剤を所持した事実が認められるとしたうえで、被告人は、同種累犯前科を含む同種懲役前科5犯を有しているにもかかわらず、前刑の執行終了後、約11か月で本件犯行に及んだもので、覚醒剤に対する親和性、依存性は明らかで、この種事犯に対する規範意識の鈍麻は著しいものがあるとして、被告人を懲役2年6か月に処し、保管中の覚醒剤1点を没収したところ、被告人が控訴した事案で、C警察官は、本件捜索時に本件ポケット内を捜索したものの、本件覚醒剤等を発見できなかった合理的な疑いがあるから、本件捜索時には、本件リュックサック内に本件覚醒剤は存在していなかったと認めざるを得ないとしたうえで、本件捜索時に本件覚醒剤が被告人の所有所持していた本件リュックサック内にあったと認めるに足りる証拠はないうえ、被告人方に存在した本件覚醒剤の所有所持関係も不明というほかなく、これが被告人の所持に係るものであること、すなわち、本件覚醒剤が被告人の支配領域内にあったことを示す証拠もないから、被告人が本件覚醒剤をそれと知って所持したと認定するには合理的な疑いがあるから、被告人が被告人方で本件覚醒剤を所持したと認定した原判決には、犯罪の成否を誤った重大な事実の誤認があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2026.06.02
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害被告事件
LEX/DB25574945/最高裁判所第三小法廷 令和 8年 4月21日 決定(上告審)/令和6年(あ)第1657号
日南市副市長であった被告人が、職員の担任する市発注の工事等の入札及び契約等に関する事務を指揮監督するとともに、日南市指名競争入札参加者資格等審査委員会委員長として、同市発注の建設工事等の競争入札への参加資格及び指名について審査するなどの職務に従事する立場にありながら、b協会会長を務めていたc株式会社の代表取締役dに対し、予定価格の公表前に、職務上知り得た秘密である、予定価格に近似する概ねの査定決定額等を教示し(第1の行為)、また、同人の要望に応じ、指名業者の選定に際し、談合に参加しない建設会社を指名競争入札から排除することとなる取扱いを導入した選定をさせた(第2の行為)として、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害の罪で懲役2年を求刑され、第一審が、懲役2年、執行猶予3年間の刑を言い渡したところ、被告人が控訴し、控訴審が、弁護人らは、第一審において、法令適用の誤りや訴訟手続の法令違反及び事実誤認があったと主張するが、第一審判決の認定に論理則、経験則に反するところはなく、その他所論が主張するところを検討しても、明らかな法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反、事実の誤認はないとして、控訴を棄却したところ、被告人が上告した事案で、第1の行為は、官製談合防止法8条にいう「公正を害すべき行為」に当たり、第2の行為は、同条にいう「公正を害すべき行為」及び刑法96条の6第1項にいう「公正を害すべき行為」に当たるというべきであるから、(1)第1の行為について官製談合防止法8条違反、(2)第2の行為について同条違反、公契約関係競売入札妨害の各罪の成立を認めた第1審判決を是認した控訴審判決の判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。