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実務・研究上重要と思われる「注目の判例」を
毎週ピックアップしてご紹介しています。

「注目の判例」バックナンバーへ

2026.09.08
賃料減額等請求控訴事件 new
「新・判例解説Watch」民法(財産法)分野 令和8年10月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25640268/東京高等裁判所 令和 8年 3月 4日 判決(差戻控訴審)/令和6年(ネ)第3387号
地方住宅供給公社(地方公社)である被控訴人の賃貸する本件建物の一室の賃借人又は賃借人であった各控訴人及び令和5年8月に死亡した亡P1が、被控訴人に対し、〔1〕主位的請求として、被控訴人が平成16年4月から段階的に行った各室の家賃の改定に基づく家賃の変更のうち適正賃料を超える部分は効力を生じないなどと主張して、(ア)同月以降の適正な家賃の額の確認及び(イ)不当利得返還請求権に基づく改定後に支払った家賃の額と適正な家賃の額との差額相当額の返還をそれぞれ求め、〔2〕予備的請求として、控訴人らのした借地借家法32条1項に基づく家賃減額請求の効力が生じているなどと主張して、(ア)令和元年8月29日(控訴人らが被控訴人に対して家賃減額請求をした日)以降の適正な家賃の額の確認と、(イ)不当利得返還請求権に基づく同日以降に支払った家賃の額と適正な家賃の額との差額相当額の返還をそれぞれ求めた。第一審判決は、控訴人らと被控訴人との関係は、建物の賃貸借の関係であるものの、その家賃の額については、地方住宅供給公社法及び同法施行規則等の法令の規定を根拠として、被控訴人において、業務方法書を定め、家賃審議会の答申を受けて、市場家賃鑑定を経て激変緩和策を取った上で定めるものとされており、一般の賃貸借のように、賃貸人である被控訴人と賃借人である控訴人らとの間の合意によって定めることはできないから、その家賃の額の定めや増減変更に関する賃借人の権利を認める民法及び借地借家法の規定が適用されるとはいえないなどとして、控訴人らの前記各請求をいずれも棄却したところ、これを不服として、控訴人らが控訴し、控訴審判決は、原判決と同様、地方公社は、公社法24条の委任を受けた施行規則16条2項に基づき、その賃貸する公社住宅の家賃を変更することができ、同項は、借地借家法32条1項に対する特別の定めに当たるから、公社住宅の使用関係について、同項の適用はない旨判断した上、本件各家賃改定による家賃の変更は、施行規則16条2項に基づく有効なものであるとして、控訴人らの各控訴及び控訴人らの同審における拡張請求をいずれも棄却する旨の判決を言い渡したところ、これを不服として、控訴人らが更に上告及び上告受理申立てをしたが、最高裁は、上告審として受理する旨の決定をし、借地借家法32条1項の適用を排除した控訴審判決の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、控訴審判決を破棄し差戻したことによる差戻後の控訴審判決の事案で、控訴人らの被控訴人に対するこれまでの賃料の支払としての金員の交付は法律上の原因を有するものであると認められ、控訴人らの不当利得返還請求権に基づく請求はいずれも認められないとし、控訴人らの請求のうち、当審において取り下げられた訴え部分に係る請求を除く部分をいずれも棄却した原判決は結論において正当であり、控訴人らの本件各控訴を棄却し、また、控訴人らの当審における拡張請求も棄却した事例。
2026.09.08
鎌倉市新庁舎基本設計予算執行差止め等請求事件 new
LEX/DB25574941/横浜地方裁判所 令和 8年 2月18日 判決(第一審)/令和6年(行ウ)第50号
本件は、住民訴訟として、第1事件原告ら及び第2事件原告が、〔1〕被告(執行機関の長)に対し、鎌倉市新庁舎等基本設計者等選定審査会委員報酬の予算執行差止め、並びにβとの契約に基づく基本設計等事業費(G地区への移転に関する予算支出を含む)の支出差止めを求め、〔2〕鎌倉市長である被告αに対し、不法行為に基づく損害賠償又は不当利得返還の請求として、本件予算のうち、既に支出された部分である本件委員報酬等及び遅延損害金の請求をすることの義務付けを求めた事案である。裁判所は、委員報酬等の未払分について今後新たに支出される蓋然性がなく訴えの利益を欠くとして、予算執行の差止めを求める部分をいずれも却下し、現庁舎の老朽化等を踏まえた移転方針やG地区を移転先とする合理性、新庁舎の基本設計の必要性・合理性、位置条例改正案否決や分庁舎化方針表明と既存契約に基づく支出の違法性との関係等を考慮しても、本件支出は違法とはいえないとして、金員の請求をすることを求める部分を棄却した。
2026.09.01
業務上過失致死被告事件 
LEX/DB25575089/釧路地方裁判所 令和 8年 6月17日 判決(第一審)/令和6年(わ)第73号
被告人は、旅客不定期航路事業等を業とするC社の取締役として、同社の事業を統括するとともに、同社の安全統括管理者兼運航管理者として業務に従事していたものであるが、汽船Dの船長をA、甲板員をBとし、同船に乗客24名を乗せ、北海道斜里郡a町の漁港から、付近の海域を往復した後帰港する航路で同船を発航させるにあたり、天気予報において、強風注意報及び波浪注意報が発表されており、同海域においては、天候の急変等により前記予報内容を上回る風速及び波高となることも予想されるなど、同船を前記航路で航行させれば、安全な航行に支障をきたし、同船の乗客らが死亡する事故が発生するおそれがあったにもかかわらず、前記危険の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠り、中止を指示することなく、漫然と同船を前記航路で航行させた過失により、船内への浸水により同船を沈没させ、その頃、A及びB並びに同船に乗船していた乗客24名を溺水により窒息死させたとして、業務上過失致死の罪で禁錮5年を求刑された事案で、被告人は、同船を航行させれば安全な航行に支障をきたし、人が死亡する事故が発生することを予見できたといえるから、本件注意義務の前提となる予見可能性があったと認められ、この注意義務違反と乗員及び乗客合計26名の死亡という結果との間には因果関係も認められるから、被告人には、業務上過失致死罪が成立するとしたうえで、本件においては、被告人の安全に対する意識の希薄さや運航管理者等としての自覚の無さを示す種々の事実が認められるのであって、こうした背景事情も踏まえれば、本件における被告人の過失は、運航可否の判断を誤ったという単発的、偶発的なものにとどまらず、安全を軽視する平素からの態度が形となって表れたものとみるべきであり、その結果はこの上なく重大であるところ、その他の事情を踏まえれば、本件の犯情は、業務上過失致死罪で処断される事案の中でも最も重い部類に位置付けられるとして、被告人を禁錮5年に処した事例。