全国会活動

決算書の信頼性向上を図り、金融機関との連携を強化するために

私たちTKC会計人は、巡回監査と書面添付を断行するとともに「中小会計要領」に準拠した信頼性の高い決算書の作成と経営者の財務経営力の強化を図り、中小企業の健全な発展に貢献しています。

 税理士は、税理士法第45条において「真正の事実」を踏まえて業務を遂行することが義務付けられています。私たち税理士はわが国の中小企業の健全な発展を願い、租税正義実現の実質的な担い手であるとの期待に応えるため、「巡回監査の徹底断行」「税理士法第33条の2による『書面添付』の拡大」「『記帳適時性証明書』の決算書への積極的な添付と開示」「会計参与制度の普及」などに取り組まなければなりません。

巡回監査が決算書の信頼性を確保する

 TKC全国会では、会員が順守するべき業務実践基準として、巡回監査の履行と、その誠実な履行を通して税理士の責任(税理士法第45条)を果たしたことを書面添付によって表明し、税理士に対する社会の期待と信頼に応えることを求めています。

 『TKC会計人の行動基準書』では、巡回監査書面添付の実践について次のように規定しています。

●巡回監査
 巡回監査とは、関与先を毎月及び期末決算時に巡回し、会計資料並びに会計記録の適法性、正確性及び適時性を確保するため、会計事実の真実性、実在性、網羅性を確かめ、かつ指導することである。巡回監査においては、経営方針の健全性の吟味に努めるものとする。
 巡回監査は、毎月行う月次巡回監査と期末決算時に行う決算巡回監査とに分けられる。

 この巡回監査について、神戸大学名誉教授でありTKC全国会第三代会長でもあった武田隆二博士(故人)は、その著書『最新財務諸表論(第11版)』(中央経済社)で「税理士等が月次に顧問先を訪問し、会計処理の実践状況を現場でチェックし、不備があれば是正し指導すること」と述べています。

 さらに会社法第432条の第1項に明示された「記帳要件」(適時性と正確性)を充足するための〝手段(業務)"として、「取引記録(会計帳簿)はクライアント(顧客)自らが実施し、税理士は『記帳の信頼性』を第三者的に裏付けるために月次巡回監査を行い、その記帳の信頼性を確かめる」ことを、大企業における内部統制に代わりうるものとしています(下図)。

出典:『最新財務諸表論(第11版)』(中央経済社)一部修正

出典:武田隆二『最新財務諸表論(第11版)』(中央経済社)一部修正

 一方、書面添付制度については、『TKC会計人の行動基準書』においてその意義を以下のように規定しています。

●書面添付制度の意義
 書面添付制度とは、税理士法第33条の2(計算事項、審査事項等を記載した書面の添付)に基づき、税理士法第1条における独立した公正な立場において納税義務の適正な実現を図るという税理士の公共的使命を実務面で具現化したものである。
 会員は、税理士業務の完璧な履行を目指して前項の巡回監査を実施し、税理士法上の相当注意義務を履行した証左として、税理士法第33条の2第1項に規定する書面を積極的に申告書に添付しなければならない。

 書面添付制度は、税理士法第33条の2第1項に基づき、税理士が税務申告書(税務書類)の作成に際し、「計算し、整理し、又は相談に応じた事項」を明らかにし、「申告書の適正性を表明」する書面を添付する制度です。

 その目的は、税務申告書を作成する過程において、税理士が租税法規に従い、独立した公正な立場において高度の注意義務を果たしたこと、さらに誠実義務と忠実義務(説明責任)を尽くしたことを明らかにすることにあります。したがって、虚偽の記載をした場合は懲戒処分を受けることになります。

 この書面添付がされた場合、税理士法第35条第1項により、税務署は、納税者へ税務調査の通知をする前に税務代理を行う税理士に対して意見陳述の機会を与えなくてはなりません。またその結果、疑義が解消すれば税理士に対して『意見聴取結果についてのお知らせ』を発行します。

 このような書面添付がなされた税務申告書とその根拠となった決算書の信頼性は、極めて高いものとなります。

会計記帳の適時性を証明する「記帳適時性証明書」

 TKC会員は、巡回監査の実践を客観的に証明する書面として「記帳適時性証明書(会計帳簿作成の適時性(会社法第432条)と電子申告に関する証明書)」を関与先企業へ提供しています。

 これは関与先企業の円滑な資金調達を支援するため、当該企業の会計帳簿および決算書、法人税申告書の作成に関して、

 ①会計帳簿が会社法第432条に基づき、適時に作成されていること
 ②TKC会員が毎月、企業を訪問して巡回監査を実施し、月次決算を完了していること
 ③決算書は会計帳簿の勘定科目残高と完全に一致しており、別途に作成したものではないこと
 ④法人税申告書が決算書に基づいて作成され、申告期限までに電子申告されていること

──を証明するものです。

 「記帳適時性証明書」は、過去の会計データの遡及的処理(訂正・加除)を行うことができないというTKC財務会計システムの特長を生かして発行されるもので、第三者である株式会社TKCが会計帳簿と決算書、法人税申告書の作成に関する適時性と計算の正確性を証明するところに意義があります。

 これについて、武田博士は先述の著書の中で、「月次で確証した情報(月次決算)を、第三者機関である情報処理センターへ送達し、管理される。そのような情報管理体制下において貯蔵された情報に基づいて計算書類が作成されるとなると、計算書類の信頼性の度合いは著しく向上する。こうすることで、記録された過去の実績データが訂正・加除の処理を通じて、『改ざん』され、あるいは『捏造』されたものがないことを第三者に対して立証できる」と述べています。

 この「記帳適時性証明書」は、全国の金融機関から注目され、TKC会員が作成する決算書の信頼性を重視し、融資条件や金利優遇の判断に「記帳適時性証明書」を用いる融資商品が発表されています。

金融機関と連携した経営支援を行うために

TKC金融機関向けFinTechサービスの提供

TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員と金融機関が連携して関与先企業への経営支援を行うため、TKC会員が行う月次巡回監査により信頼性の確保された財務データを、関与先企業からの依頼に基づき、タイムリーに金融機関に提供するサービスです。

 当サービスは、以下の三つから構成されています。

 1.決算書等提供サービス
 2.月次試算表提供サービス
 3.最新業績オンライン開示サービス(開発中)

金融機関の声

  • 決算書を事前に確認できるので、社長との面談がより充実するようになった。
  • 試算表を毎月いただけるので、タイムリーに融資を提案・実行できた。
  • このサービスを利用してもらえれば、金融支援に集中できる。もっと利用いただきたい。社長との面談がより充実するようになった。

経営者の声

  • 決算書のコピーや送付など、金融機関に提出するための作業が不要になった。
  • 有利な条件でスムーズに融資が受けられた。
  • 提供する情報は、自ら選択できるので安心だ。

(『TKC全国会のすべて 2017年版』より転載)