2023年10月号Vol.132

【TKC サポートインフォメーション】公会計システムインボイス制度対応を完了
効率化支援への次なる計画は

 10月1日から、「インボイス制度」(適格請求書等保存方式)がスタートしました。地方公共団体においても、買い手の求めに応じて「インボイス」(適格請求書)*の発行が必要となり、これに伴う業務への影響が懸念されています。
 そこで、TKCでは、制度対応に伴うお客さまの業務負担を最小限にするとともに、業務の効率化をご支援するため、「TASKクラウド公会計システム」の機能強化を図りました。

インボイスの修正が負担に

 インボイスの〝発行〟自体は、業務面で大きな負担とはなりませんが、発行したインボイスに誤りがあった場合、〈月締め処理が終了〉、あるいは〈収納処理が終了〉しているなどの処理状況により複雑な修正作業が必要となります。
 これらの業務を支援するため、公会計システムでは、①消費税額の入力漏れ、②請求金額誤り(増額)、③請求金額誤り(減額)、の修正を簡単・確実に行えるようにしました。

1.消費税額の入力漏れ

 収納が完了している納入通知書の修正例として、インボイスの要件である消費税率と消費税額の記載漏れが想定されます。
 これまで納入通知書等に消費税を印字することがなかったため、①調定を作成する際に消費税額の入力を忘れる、②消費税が内税の場合、請求金額が変わらないため収納処理まで気付かない──といったことに注意が必要です。これらの修正は、収納処理が終了している場合はさかのぼって処理を取り消す必要があります。公会計システムでは、「調定変更」処理で消費税を修正するだけで正しい納入通知書を発行できます。

2.請求金額誤り(増額)

 請求金額を増額する場合、インボイス制度では追加した金額分だけでの納入通知書の発行は認められていません。これは、「一つの請求に対して消費税の端数処理は1回」という条件を満たせないためです。
 公会計システムでは、調定変更処理で納入通知書とは別に、インボイスとしての「取引明細書」(図表2)を出力できるようにしました。最初の調定と変更後の合算した請求金額に対して消費税額の計算(端数処理)を行い、その結果を取引明細書として発行することで、インボイスの条件をクリアすることができます。

3.請求金額誤り(減額)

 請求金額を減額するケースでは、すでに収納された金額を還付する必要があり、その際には「適格返還請求書」(返還インボイス)を作成、発行することとなります。
 地方公共団体が還付する場合は、返還インボイスとなる還付通知が必要となるため、公会計システムでは「戻出」伝票と併せて「取引明細書(返還分)」を作成できるようにしました。なお、返還インボイスには返還元となる取引の〈取引年月日〉の記載が必要で、戻出処理を行う際にこれを入力できるようにしています。

図表1 公会計システム/納付書発行イメージ 

図表1 公会計システム/納付書発行イメージ

写しの保存も課題に

図表2 取引明細書イメージ

図表2 取引明細書イメージ

 地方公共団体が運営する駐車場の利用料(事業者への一括請求)やコピー代、庁舎利用料などでは、納入通知書や納付書を手書きで作成するケースがあります。
 しかし、インボイス制度では、発行者は発行したインボイスの写しを保存する義務があり、手書きの場合これらの写しをどう保存するかが課題となります。インボイス制度への対応を機に、そうした〝手書き〟処理を見直すことが肝要です。
 公会計システムでは、調定伝票を作成せずに、単独でインボイスに対応した納入通知書を作成・発行できます。その写しもシステムで一元的に保存されるため、後日、照会する際には発行者名や取引年月日、金額の範囲指定などで簡単に検索できます。

注目されるデジタルインボイス

 消費税法の改正により、請求書などを電磁的な方法(電子インボイス)でもやりとりできるようになりました。例えば、PDFデータを電子メールで送受信する、電子請求書サービスからデータをダウンロードする──などです。
 TKCでは公会計システムに「電子決裁」や「電子請求書サービス」との連携機能を搭載しています。電子請求書サービスで送付されたデータを、公会計システムにそのまま取り込むことで、伝票入力にかかる時間・手間を削減し、入力誤りを軽減することも期待できます。
 ただ、電子請求書サービスで、請求書を受領するためには、発行者と受領者となる市区町村が同一事業者のサービスを利用している必要があります。そこで、いま注目されているのが「デジタルインボイス」です。
 デジタルインボイスとは、国際的な標準規格「ペポル」に準拠し、インターネット上に構築されたペポルネットワーク上でやりとりされる電子インボイスのことです。ペポルは世界30カ国以上で利用されており、日本でも、デジタル庁がこれをベースとした日本版の標準仕様を策定しています。
 デジタルインボイスを利用するメリットとして、①請求書の発行者と受領者それぞれが異なるシステムを利用していても、ペポルネットワークに参加する全てのユーザーとやりとりできる、②XML形式のため、債権者名や品名、取引金額などのデータをシステムにそのまま取り込め、業務の効率化が期待できる──などが挙げられます(詳しくは小誌2023年7月号をご覧ください)。
 TKCは、「ペポルサービスプロバイダー」としてアクセスポイントを提供するほか、公会計システムにおいてデジタルインボイスに対応します。ぜひ、今後にご注目ください。

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