11月にフリーランスとの取引に関する新法律が施行し、取引条件の明示等が義務化されると聞きました。今後フリーランスと取引する上で注意すべきことを教えてください。(広告業)
11月1日に施行される「フリーランス・事業者間取引適正化等法」は、フリーランスと発注事業者との取引の適正化、フリーランスの就業環境の整備を目的とした新しい法律です。発注事業者からフリーランスへの業務委託(事業者間取引)が同法の適用対象で、フリーランスに業務委託する者が「発注事業者」、企業に属さず個人で働く者、いわゆる一人社長など従業員のいない法人、一人親方など建築・建設現場の職人などが「フリーランス」に該当します。
同法によって義務化される項目は次の7点です。
①書面等による取引条件の明示
書面等により、(1)業務の内容(2)報酬の額(3)発注事業者・フリーランスの名称(4)業務委託をした日(5)給付を受領/役務提供を受ける日(6)給付を受領/役務提供を受ける場所(7)(検査を行う場合)検査完了日(8)(現金以外の方法で支払う場合)報酬の支払い方法に関する必要事項(9)支払期日──の9つの取引条件を直ちに明示すること。
②報酬支払い期日の設定・期日内の支払い
発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内に報酬支払期日を設定し、期間内かつなるべく早期に支払うこと。
③禁止行為
フリーランスに対して、1カ月以上の業務委託をした場合、(1)受領拒否(2)報酬の減額(3)返品(4)買いたたき(5)購入・利用強制(6)不当な経済上の利益の提供要請(7)不当な給付内容の変更・やり直し──の7つの行為をしてはならない。
④募集情報の的確表示
広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはならない。また、内容を正確かつ最新のものに保たなければならない。
⑤育児介護等と業務の両立に対する配慮
6カ月以上の業務委託について、フリーランスが育児や介護等と業務を両立できるよう、フリーランスの申し出に応じて必要な配慮をしなければならない。
⑥ハラスメント対策に関する体制整備
フリーランスに対するハラスメント行為に関し、(1)ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、方針の周知・啓発(2)相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(3)ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応──などの措置を講じること。
⑦中途解除等の事前予告・理由開示
6カ月以上の業務委託を中途解除する、あるいは更新しない場合、(1)少なくとも30日前までに予告する(2)予告の日から解除日までにフリーランスから理由を開示するよう請求があった場合には、その理由を開示する──の2つを順守すること。
同法に違反した場合、発注事業者は行政の調査対象となり、指導・助言・勧告を受けることになります。勧告に従わない場合は命令・企業名公表がなされ、命令に従わない場合は罰金が科されるのでご注意ください。