Windows 8.1がインストールされたパソコンを使用しています。公式サポートが近々終了するそうですが、OSのアップグレードを検討するべきでしょうか。(測量業)

 マイクロソフト社が提供しているOS「Windows(ウィンドウズ)8.1」のサポートが、2023年1月10日で終了します。OSのサポート終了後も継続して利用できますが、同社から技術サポートやセキュリティー更新プログラムが提供されなくなります。そのため、不具合が発生しても修正されず、ウイルス等への感染リスクが高まり、個人情報の漏えいといった問題に発展する可能性が高まります。

 IPA(情報処理推進機構)によると、21年7月~22年6月に脆弱性(ぜいじゃくせい)対策情報データベース(JVN iPedia)に登録されたWindows8.1の脆弱性(329件)のうち、86件が最も深刻度の高い「レベルⅢ」であり、悪用の事実も確認されています。「8.1」を使いつづけるリスクは、決して小さくありません。

 仮に8.1の環境下で利用しているソフトウエア(ブラウザーやメールソフトを含む)に欠陥が見つかっても、販売元で修正等の対応をしないケースも想定されるため、ソフトが動かなくなるといった問題も起こり得ます。したがって、8.1を利用している場合、サポート終了日までに「Windows10」もしくは「11」への移行を検討する必要があります。

データ保存が必須

 OSを移行するには、既存のパソコンでWindows10または11へアップグレードする方法と、パソコンそのものを買い替える方法があります。

 前者の場合、使用中のパソコンがアップグレードに対応しているかをまず調べましょう。10または11が正常に動作するために必要となるパソコンの性能は、マイクロソフト社の公式サイトで確認できます。11に関しては、「PC正常性チェックアプリ」のダウンロードによる確認も可能です。ただし、8.1搭載パソコンの場合、11にアップグレードするには性能が足りないことがほとんどです。

 また、22年9月現在、Windows10はマイクロソフト社の公式サイトから無償でダウンロードができます。10は、同社のライフサイクルポリシーで、25年10月14日まで引き続きサポートされるので、サポート終了までに最新のOSに再度アップグレードする必要はあるものの、向こう3年間、既存のパソコンを利用しつづけることも可能です。

 同時に、ソフトウエアやプリンターを引き続き利用する上で必要となるデバイスドライバーが、アップグレードしたOSに対応しているかも、各メーカーのサイトで確認しておきましょう。もし未対応のものがあれば、業務への影響度をもとに、代替方法などを検討しておきます。

 次に、パソコンを買い替える場合は、基本的に最新OSであるWindows11搭載のパソコンを選ぶことになります。その際、OSアップグレードの場合と同様、ソフトウエア等の11対応状況の確認と、ソフトウエアおよびデータの移行が必要になります。ソフトウエアについては、パソコンの買い替え時にライセンスの移行も必要になる場合が多いため、マニュアルや公式サイトで移行方法をチェックしておきましょう。

 最後に、データの取り扱いについてです。アップグレードと買い替え、いずれの場合でも、オンラインストレージや外付けハードディスクに、全データを保存しておきます。万が一、アップグレード中にハードディスク等に不具合が発生してしまうと、データの復元が難しくなります。また、パソコンの買い替え時には、データ移行が必須です。8.1のサポート期限は目前に迫っています。慌ただしくなる年末を迎える前に、対策を講じておきましょう。

掲載:『戦略経営者』2022年11月号