社員に育児中の女性が多く、コロナ禍による保育所等の休園への対応にコストがかさんでいます。そのため、小学校休業等対応助成金を活用したいのですが、詳細を教えてください。(印刷業)
新型コロナオミクロン株の拡大により保育所等の休園が増加したことで、小学校休業等対応助成金が再び注目を集めています。この制度は、コロナによる休校・休園などで子供の世話が必要になった労働者に対して賃金全額支給の有給休暇を取得させた事業主を支援する制度です。
まん防地域は1万5,000円
助成内容は、有給の特別休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額の全額(上限あり)が事業主に支給されるというもので、日額上限は休暇の取得時期によって次のように異なります。
①21年8~12月に取得した休暇:1万3,500円
この取得時期は現在は申請期限切れではありますが、やむを得ない事情がある場合、たとえば労働者から労働局に特別相談があり、労働局経由で企業に制度活用を働きかけた場合(※)など、申請が可能となることがあります。
②22年1~2月に取得した休暇:1万1,000円
③22年3月に取得した休暇:9,000円
②と③の申請期限については、22年5月31日が原則申請期限となります。
なお、対象期間中に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の対象地域に事業所がある企業は、1万5,000円が上限となります。
次に受給の要件です。雇用する労働者の申し出によって21年8月1日~22年3月31日までの間に、新型コロナへの対応として臨時休業を行った小学校等に通う子ども、あるいは新型コロナに感染、または感染をした恐れのある小学校等に通う子どもの世話を保護者として行うための有給休暇を取得させた場合に支給を受けることができます。
条件は”臨時有給”であること
この制度を利用する際に、もっとも留意すべきは、取得させた休暇が「年次有給休暇」とは別の「臨時」のものであること。つまり、労働基準法による年次有給休暇を取得させても助成金の対象にはなりません。
ただし、一度処理した年次有給休暇(欠勤・勤務時間短縮も同様)を本人の同意を得たうえで事後的に有給の特別休暇に振り替えた場合には対象となります。
現在受付を終了しているのですが、今年度当初「両立支援等助成金」に同様の助成金がありました。こちらの助成金は同一の対象労働者1回の限定、新型コロナによる特別休暇を有給とする就業規則への規定化が要求されていましたが、小学校休業対応助成金は有給の特別休暇制度を就業規則へ規定する必要もなく上限人数もありませんのでより使いやすく変更されたといえます。
また、上記「※」のように、労働者が特別相談窓口に問い合わせて、労働局から企業に制度活用を働きかけるというルートもあり、この場合は、申請期限が延期されるなど、制度自体に柔軟性もあります。
2月現在、新型コロナ感染症の第6波が襲来したことによって、保育園などが閉鎖され、仕事を休まなければならない保護者が数多く出ています。この制度の有効活用をお勧めします。