障害者雇用に関する認定制度である「もにす認定」が設けられたと聞きました。認定基準とメリットを教えてください。(文具製造業)
「もにす認定」とは、雇用する労働者が300人以下の中小事業主を対象に、一定の基準を満たす場合、申請により厚生労働大臣から受けられる認定です。認定を受けた事業主は、認定マークを商品や広告等に表示することができます。「もにす」とは、企業と障害者が共に明るい未来や社会に進んでいくことを期待して、「共(とも)に進(すす)む」という言葉から名付けられました。
主な認定基準は、以下のとおりとなっています。①障害者雇用への取り組み(体制、仕事および環境づくり)、取り組みの成果(数的側面、質的側面)、それらの情報開示の3項目について、各項目の合格最低点に達しつつ、合計で50点中20点(特例子会社は35点)以上を獲得すること②雇用率制度の対象障害者を法定雇用障害者数以上雇用していること③指定就労支援A型の利用者を除き、雇用率制度の対象障害者を1名以上雇用していること④過去に認定を取り消された場合、取り消しの日から起算して3年以上経過していること
これら以外にも複数の要件があります。詳細は「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度申請マニュアル(事業主向け)」を参照してください。
低利融資の対象にも
次に、認定によるメリットについて述べます。まず、「障害者雇用優良中小事業主認定マーク(愛称:もにす)」を使用できます。認定マークを商品や書類、広告等に表示することにより、自社の取り組みを広く知ってもらうきっかけとなり、ブランド力向上も期待できます。認定マークを表示できるのは、①商品②役務の提供の用に供する物③商品、役務または事業主の広告④商品または役務の取引に用いる書類または電磁気的記録⑤事業主の営業所、事務所その他の事業場⑥インターネットを利用する方法により公衆の閲覧に供する情報です。
さらに、低利融資の対象となる点も見逃せません。認定事業主は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」における低利融資の対象となります。そして、人材採用面でも効果を期待できます。認定事業主の情報は、厚生労働省および都道府県労働局のホームページに掲載されるほか、ハローワークの求人票に認定マークを表示し、求職者にアピールできます。
なお、認定に有効期限はありませんが、障害者雇用の取り組みは継続していくことが重要です。認定後も都道府県労働局の行うフォローアップに協力する必要があり、認定基準の適合可否について、労働局が訪問等による確認を行うこともあります。
2015年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の17ある目標の1つが「包摂的かつ持続可能な経済成長およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する」です。その中のターゲットとして、「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性および女性の、完全かつ生産的で働きがいのある人間らしい雇用、ならびに同一労働同一賃金を達成する」とあります。
障害を持つ人も持たない人もお互いの多様性を受け入れ、企業もより良い社会の実現に向けて力をあわせていけるよう、取り組んでいきたいものです。