『戦略経営者』3月号の記事を読み、当社でも広報・宣伝に動画を活用したいと考えています。ユーチューブで自社製品をPRする上でのポイントを教えてください。(食品製造業)

 ユーチューブで商品をPRするには、まず多くの人に動画を見てもらう必要があります。そのためにも、視聴者がキーワード検索をしたときの結果が上位に表示されることが重要です。さらに検索の結果、視聴者が求めている動画ではなかったり、興味が持てる内容でないとすぐに他の動画に切り替えられるので、視聴者が見続けられる動画にすることを意識しておきましょう。

ポイントは「試す」と「トレンド」

 この数年顕著に伸びているのが、分からないことを動画で調べる「動画検索」です。調べたいことをインターネットで検索するのと同じように、自分の知りたいことをユーチューブで検索するのです。動画のメリットはサイズや色、使用方法などの視覚情報や聴覚情報が直感的に分かること。このメリットに魅力を感じて動画検索をする人が増えているようです。

 動画検索を行う視聴者が求めているのは、自分が今知りたいことや経験したことのない事象に対する情報欲求を満たす動画です。例えば、「〇〇を試してみた」という〝試してみた動画〟が視聴者に好評なのも、このような背景があるからです。これは一般的な消費財に限ったことではなく、カメラやマイクなどの撮影機材や電子機器などに触れるガジェット動画、自動車やバイクの試乗動画、新発売のお菓子を食べる動画などがユーチューブ上で繰り返し再生されています。「試す」をキーワードにした動画は定番であり、視聴数も増えやすい内容と言えるでしょう。

 ただ、ユーチューブには似たような動画があふれているので、単純に何かを「試す」だけでは視聴数は伸びません。そこで加えたい要素が「トレンド(流行)」です。

 テキスト検索でもトレンドワードとして検索回数が急上昇するキーワードがあります。これはユーチューブも同じで、たとえ内容が素晴らしくても検索でヒットしないと動画が視聴されず、PRにもつながりません。だからこそ、「試す」と「トレンド」を組み合わせることで気づいてもらいやすい動画にすることが大切なのです。

 例えば、無形商材と言われるコンサルタントや士業のサービスで言うと、「会社経営に必要な三つのポイント」という動画より、「決算対策!できる社長が実践していることを実際にやってみた」とした方が「決算対策」という3月頃にトレンドになる言葉と「できる社長が実践している」というキーワードが重なって、検索で表示されやすくなります。この掛け合わせをうまく進めながらPRしたい要素を伝えられるように動画を制作することが、ユーチューブで商品を宣伝するうえでとても大切です。

 このようにPRのためにユーチューブを活用するには、「多くの人、もしくはクライアント候補が知りたい情報」に「今たくさん検索されている話題」を絡めた内容で動画を作ることが重要です。インターネット上にある動画だからこそ、視聴者が知りたいことや探していることにアピールポイントを掛け合わせて制作するようにしましょう。これらを意識すると、ユーチューブで効果的な宣伝が行えるとともに、今までとは異なる面白さの詰まったPR動画になります。

掲載:『戦略経営者』2021年4月号