会社の災害時の備えを対外的にアピールするため、「レジリエンス認証」の取得を検討しています。取得方法やメリットを教えてください。(機械設計業)

 折しも新型コロナウイルス感染症がまん延していますが、自然災害が多発する日本では、災害発生時に迅速に回復できる経済、社会システムを構築することが重要です。インフラ等のハード面の整備は進んでいるものの、永続的な組織体制づくりは十分とはいえません。そのソフト面における取り組みを評価して認証するのが「国土強靱(きょうじん)化貢献団体認証(レジリエンス認証)」制度です。

 国土強靱化の趣旨に賛同し、事業継続(自助)および社会貢献(共助)に積極的に取り組んでいる企業、団体等を「国土強靱化貢献団体」と呼び、ガイドラインに規定する要件に適合していることを確認し、レジリエンスジャパン推進議会(以下協議会)が認証します。

 政府(内閣官房国土強靱化推進室)は、2016年にこの認証制度を創設しました。協議会が「国土強靱化貢献団体の認証に関するガイドライン」に基づき認証を行い、認証取得団体は、内閣官房国土強靱化推進室のホームページで公表されます。また、金融機関等の融資において金利の優遇を受けられるほか、社会的信用力の向上も期待できます。

ウェブ方式の面接も可能

 レジリエンス認証の取得方法は、まず申請書を協議会ホームページからダウンロードし、必要事項を記入して提出します。申請後、1次審査(書類)および2次審査(面接)を経て、審査委員会で適合するか否かを判定します。面接審査には対面による方法と、テレビ(ウェブ)会議方式があり、全国どこからでも受けられます。

 制度は2年ごとの更新制を採用しており、2年間の取り組みに関する経営者のコメントを元に審査を実施します。事業継続に関する取り組みについては、一定のサイクルで検証を行うことが肝要であり、更新制はその趣旨に合致するものです。

 レジリエンス認証取得により期待できる、おもな効果は以下の5点です。

  • ①自社の事業継続に関する取り組みを専門家に評価してもらうことによる、さらなる改善に向けたヒントの獲得
  • ②名刺や広告等へのレジリエンス認証ロゴマークの貼付による、対外的アピール向上
  • ③協議会や内閣官房国土強靱化推進室ホームページでの団体名の公表
  • ④国土強靱化をテーマとするセミナー、シンポジウム情報の優先的配信
  • ⑤一部金融機関での金利優遇

 事業継続に向けて取り組み、レジリエンス認証を取得することは、非常事態発生時の迅速な対応を可能にします。さらに企業価値の向上や、競争力強化にもつながります。認証取得団体はすでに200団体ほどにのぼります。制度の詳細は協議会サイトでご確認ください。

掲載:『戦略経営者』2020年5月号