今年も花粉症の季節が近づいてきました。生産性が落ちないように花粉症対策に力を入れたいと考えています。最新の予防法があれば教えてください。(サービス業)

 花粉症はスギなどの花粉に免疫が過剰に反応するアレルギーですが、最近注目されているのが腸との関係です。腸の粘膜に傷がつくと、そのキズを花粉などのタンパク質が通り抜け血管に侵入し、アレルギー反応が起こります。腸は免疫器官であり、善玉、悪玉などの細菌が生息していますが、悪玉菌が優勢になると腸粘膜に傷がつく原因になります。

 マスクなど花粉を避けるための対策は常識ですが、大事なのは生活習慣です。ストレスや疲労は症状を悪化させるので、よく眠り、心身に疲労をためないようにしたいものです。

 食事については、食べ過ぎが花粉症の原因となる場合が少なくないようです。過食は腸管粘膜に傷がつく原因になるとの見方があります。脂質、タンパク質、小麦のとり過ぎもよくないし、乳脂肪と砂糖を使った菓子のとり過ぎは症状悪化の一因となります。

 暴飲暴食は花粉症の症状を悪化させます。その場合、半日食事を抜くだけで症状が軽くなります。ただし、水分の補給は忘れないでください。

 油に関しては、植物油のリノール酸はアレルギーを引き起こす原因になり、一方、魚油や亜麻仁油、エゴマ油などに多く含まれるオメガ3系脂肪酸はアレルギーを抑制します。

 肉は炎症を起こすので、花粉症予防の観点からは食べ過ぎないほうがよいでしょう。体によいといわれるものもほどほどにし、栄養バランスのよい食事を心がけ、過食しないようにしましょう。それが腸内細菌のバランスを保ち、腸粘膜を健全に保つ基本です。

 なお、乳酸菌は腸内細菌を整えるし、免疫にもよい作用をもたらしますが、自分の体に合った乳酸菌を選ぶことが大事です。排便や体調の変化から適否はわかるでしょう。

鼻うがいも効果的

 最近ではまた、ビタミンDの不足が花粉症の一因となっている場合があるとの報告があります。ビタミンDは腸粘膜の傷を修復する働きがあり、干しシイタケ、キクラゲ、しらす干し、イワシなどから摂取できます。サプリメントを利用する方法もありますが、脂溶性なのでとり過ぎに注意を!

 またビタミンDは紫外線に当たることで体内に合成されることから、紫外線を極度に避ける習慣がビタミンD不足を引き起こしているとみられています。

 亜麻仁油や馬油を点鼻すると鼻詰まりの解消に役立ちます。

 食塩水で行う鼻うがいもよい方法です。人肌程度の温水100ミリリットルに1グラムの食塩を入れ、鼻水と同じ塩分濃度にします。スポイトを使って、頭を大きく後ろに傾け、この食塩水5ミリリットル程度を鼻から入れます。食塩水が口の中に流れてきますが、飲んでもかまいません。

 これを左右の鼻に行います。食塩水は鼻水と同じ塩分濃度なので、しみることもありません。注意点として、行ったすぐ後に鼻をかまないでください。

 口の体操「あいうべ」もお勧めです。「あー、いー、うー」と口を大きく動かしながら発音し、「べー」で舌を突き出します。この体操を行うことで口呼吸の癖が直り、アレルギー、鼻づまりの改善に効果的です。

掲載:『戦略経営者』2020年2月号