障がい者アーティストの経済的自立を目的とした「パラリンアート」を通じて社会貢献をしたいと考えています。具体的にどんな方法があるのでしょうか。(印刷業)
パラリンアートは、障がい者の「社会参加」と「経済的自立」を目的とした取り組みです。運営事務局は、一般社団法人障がい者自立推進機構で、障がい者アーティストの作品(絵画・デザイン等)をさまざまな企業・団体にアート利用してもらうための橋渡しをしています。
パラリンアートの活動を通じて社会貢献をする方法としては、「イベントに協賛する」「絵画を飾る」「ライセンス(版権)利用をする」「商品コラボをする」などがあります。それらによって得られたアート利用報酬(社団の利益の50%)が、登録アーティストや障がい者施設に支払われます。
独自の世界観が魅力
希望する障がい者は誰でも無料で登録アーティストになることができます。現在、全国に約550名以上の登録者がいます。
国内障がい者(身体、知的、精神障がい者)の総数は、約740万人(日本人口の約6%)といわれています。そのうち公的・民間企業に就労している障がい者の数は約49万人弱にすぎません(身体障がい者が約70%を占める)。経済的に困難な状況で生活し、将来に大きな不安を抱えている障がい者の現状を改善していくという点で、パラリンアートは意味のある活動だといえます。
障がい者アーティストの独自の世界観と独創的な色彩で彩られたアート作品は、多くの人たちに感動と驚きを与えます。実際、海外では芸術家として高く評価されている作家が大勢います。私はとくに、障がい者アーティストたちの純粋な気持ちが作品ににじみ出ているところに、アート作品としての魅力を感じています。
そんな障がい者アーティストの作品を会社のオフィスなどに飾れば、室内の雰囲気がガラリと変わるでしょうし、版権を利用してカレンダー、年賀状、名刺などにイラストを施せば、その商品としての魅力を高めることができます。また、社会貢献に積極的な企業であることを広くアピールすることもできます。パラリンアートとの連携によってPR効果の高い社会貢献事業(ソーシャルビジネス)が可能になるのです。
現在およそ170社が参加
現在、パラリンアートに参加している企業の数は、約170社。損保ジャパン日本興亜、NEC、ダイソー、JTB、大和ハウス工業など数多くの企業が名前を連ねています。損保ジャパン日本興亜については、「SOMPO パラリンアートカップ2018」にトップスポンサーとして参画。ダイソーにおいては、障がい者アーティストの作品を使ったカレンダーを自社の100円ショップで販売したりしています。
私が代表を務めるグローバルキャスト(本社・名古屋)も、参加企業の中の1社。通信や教育分野のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを展開する当社では、賛同・寄付・協賛だけでなく、運営事務局の一端を担う企業としてパラリンアートのさまざまな取り組みに参画しています。
複数の店舗を展開する飲食店が店内に障がい者アーティストの絵を飾ったり、建設業者が工事現場の仮囲いにパラリンアートの絵を使ったりすれば、周囲の見る目も違ってくるはずです。ぜひパラリンアートの活動に参加してみてはいかがでしょうか。