欧州への輸出を検討していますが、CEマーキングが必要と聞きました。制度と手続きの概要を教えてください。(金属加工部品)
CEマーキングは、欧州連合(EU)で販売される製品に対する安全基準制度です。規制の大半は製品の安全に関わるものですが、環境基準への適合も求められています。CEマーキングが貼付された製品は、分野別のEU指令や規則に定められる必須要求事項・技術基準に適合したことを示し、EUおよび欧州経済地域(EEA)内における自由な販売・流通が認められます。
製品分野別に順守すべき基本的な必須要求事項は、1985年の「ニューアプローチ指令」において規定されました。現在では製品分野別に「機械指令」「低電圧指令」「特定有害物質規制指令(RoHS指令)」「玩具安全指令」など 25の指令が出されています。
製品ごとの技術的要件は、EU統一規格であるEN規格(整合規格)に定められ、指令ごとにEU官報で公表されます。自社の製品がどの指令に適合するかは、製造者の責任において判断する必要があります。製品によっては、複数の指令に該当する場合もあるので注意が必要です。
お問い合わせの金属加工部品の場合、環境規制であるRoHS指令の規制を受ける可能性がありますので関連規制の綿密な調査・対応が必要となります。
適合性評価の実施が必須
CEマーキング対策は、おおむね次の流れとなります。
①当該製品に適用される指令の確認
②整合規格の特定
③適合性評価モジュール(指令ごとに定められた適合性評価手順)の選択
④適合性評価の実施 (必要であれば第三者認証機関による検査)
⑤技術文書の作成
⑥適合宣言書の作成(Declaration of Conformity)
⑦CEマーキングの製品などへの貼付
適合性評価には、規則により、自己宣言が認められる場合と、加盟国の認定を受けた第三者認証機関(Notified Body = NB)の認証を受ける場合の2通りがあります。自己宣言を行う場合には、製造者自身が規格への適合確認、技術文書の作成、適合宣言書の作成を行います。NBによる評価が必要な場合には、NBに製品と技術文書等を提出して認証を依頼します。いずれの場合にも、適合性評価の最終責任は製造者が負います。
違反には厳しい罰則が
EUで流通・販売されている製品に対して、加盟各国の管轄当局が市場監視を実施しており、違反した場合には厳しい罰則規定があります。不正行為が摘発された場合は、各国の関連法規の規定に従い、罰金や市場からの撤収等の措置が取られます。
CEマーキング制度は複雑なため、正しい理解と適切な対応が求められます。制度の詳細については左記資料等がウェブで公開されていますので、ご参照ください。または、専門の認証機関などにご相談されることをお勧めします。