産前産後期間中の社会保険料が今年4月から、育児休業中と同じように免除になると聞きました。詳しく教えてください。(食品メーカー)
次世代育成支援を目的に、産前産後休業(産休)を取得した社会保険(健康保険料・厚生年金保険料)の被保険者に対して、今年4月1日から育児休業と同様の配慮がなされるようになりました。平成24年8月に公布された「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」によるものです。
具体的には、産休中の社会保険料が免除されます。また、産前産後休業を終了した際の標準報酬月額(厚生年金計算の基礎になるもの)についても、産休を取得した人に配慮したものに変更されます。
まず、産休中の社会保険料免除についてですが、平成26年4月から産休を取得した被保険者は、育児休業した場合と同じように保険料が免除されるようになります。平成26年4月30日以降に産休が終了となる被保険者が対象で、4月分以降の保険料からとなります。
ちなみにここで言う「産休中」とは、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間をいいます。この期間中の社会保険料の被保険者負担分と事業主負担分が免除されるわけです。
これまで、産休中は被保険者に対し、健康保険からの出産手当金が支給されるものの、その間は被保険者に対する給料が発生しないため、会社側が事業主負担分と被保険者負担分の保険料の一時立て替え払いをしていました。産前産後や育児休業終了後の復帰した給料からさかのぼって控除するなど事業主、被保険者双方にとって過大な負担を課すものでした。それが今回の改正によって、大きく見直されました。
産休中の保険料免除の適用を受けるために必要な手続きとしては、事業主が被保険者の産休の期間中に「産前産後休業取得者申出書」を提出することがあります。出産が予定日と異なった場合は、出産後に「産前産後休業取得者変更(終了)届」を年金事務所に提出する必要もあります。
当然のことながら産後休業後にすぐに育児休業に入った場合、産休・育休中の免除期間が連続することになります。今回の改正により、出産から育児期間中の保険料免除制度が整ったといえます。
産休後の標準報酬の改定
つぎに「産前産後休業を終了した際の標準報酬」に関する見直しについて解説します。
厚生年金を計算するうえでの基礎となる標準報酬月額は年1回の定時決定で改定されますが、これまで産休終了後に育児等を理由に報酬が低下した場合であっても、基本的につぎの定時決定が行われる9月までは労働の実態に見合わない相対的に高い保険料を負担しなければなりませんでした。
そんな不利益が生じないように、産前産後休業の終了後に報酬が下がった場合、休業終了後の3カ月間の報酬額をもとに新しい標準報酬月額を決定し、その翌月から改定されるようになります。
対象となるのは、平成26年4月1日以降に産休を終了する被保険者。この制度の適用を受けるためには事業主経由で「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を年金事務所に提出することが必要になります。
この制度改正もまた、子どもを産んで働くお母さんたちにとって福音と呼べるでしょう。