社員が自分のケータイを使って業務上の通話をした際は、その料金を会社で負担しています。かさむ通話代を削減するよい手法があれば教えてください。(医薬品卸)
社員が個人の携帯電話を業務使用した場合、その通話コストを会社があとで精算するというやり方を取り入れている会社も多いと思います。少し前までは、通信キャリアの通話料金の値下げ競争により、社員に支払う業務通話コストは多少減少する方向にありましたが、ここにきてその傾向は崩れました。理由は、スマートフォンの急速な普及です。従来のフィーチャーフォン(ガラケー)に比べて、スマホの通話料のほうが一般的に高い。そのため、スマホに切り替える社員が増えるのに比例して、会社が支払う業務通話コストが増えるという現象がみられます。
これをどうにかする手立てはないかということで、TKCが採用したのが「NTTコミュニケーションズ」が提供する「050Plus forBiz W-mode」というサービスでした。ざっくり言うと、携帯電話用IP電話サービスといったものです。一般の電話回線を使わずに、(1)従量制の通信回線を使ってガラケーにかける電話を〝お得〟に利用できるとともに(以下、携帯電話モード)、(2)定額制のパケット通信回線を利用することで、同じ電話アプリを入れたスマホ同士の通話を〝さらにお得〟に利用できます(以下、IP電話モード)。
具体的には、携帯電話モードについては20円/30秒を20円/60秒で通話できます。他方、IP電話モードはすでに世の中に普及している通常のIP電話料金とほぼ同じ料金(固定電話は8円/3分、050電話は〝無料〟、携帯電話は20円/60秒)で使えます。つまり、「050Plus~」の対象者であるスマホを所有する社員同士なら、あたかも「内線」感覚で無料で通話ができるわけです。
もちろん050電話は通話料が無料とはいえ、「050Plus~」のサービス自体にある一定の料金を支払う必要があるため、厳密に言えばまるっきりタダというわけではありませんが、それでも従来の業務通話コストを削減する効果は期待できます。ちなみにTKCでは、このサービスを利用することにより年間通話料を約36%減らせると見込んでいます。
社員の精算事務を減らす
じつは今回、「050Plus~」のサービスを利用することに決めたのには、コスト面以外にもいくつか理由がありました。そのうちの一つが、社員の業務用通話の精算にかかる事務負担を減らす狙いからでした。通話料補助の対象となっていたのは全社員約2,300人のうち835人で、年間の経費精算数は1万件以上。部門長の承認も、経理部の事務処理も同じ数だけあるということです。
これまで社員は、毎月携帯電話の通話明細書をもとに、プライベートの通話分を取り除くかたちで業務使用の通話代を会社側に申請していました。しかし「050Plus~」を利用した場合、社員個人のスマホに「本来のプライベート用の電話番号」と、「業務用の電話番号」の2つを持たせることになります。業務用の電話番号を使った電話代についてはまとめて会社側に請求される仕組みなので、社員にとっては従来の精算作業が不要となります。つまり公私分計が簡単にできるのです。
私用スマホを上手に業務活利用してもらう「BYOD」の観点からも、こうしたやり方を取り入れてみる価値はあるといえます。