創業や異業種進出時の人材確保に関する助成金改正が行われたと聞きました。ポイントを教えてください。(食品製造業)
今回の改正の背景には、話題となった事業仕分けによる、独立行政法人改革の流れがあるようです。独立行政法人雇用・能力開発機構は、平成23年10月1日をもって廃止され、助成金業務などは、国(都道府県労働局)に移管されます。
今回は、中小企業基盤人材確保助成金の改正点と概要について解説します。本助成金の改正点は、(1)生産性向上に関わる助成の廃止(2)助成金の対象分野が新成長戦略において重点強化となっている健康、環境分野に限定(3)一部手続きの廃止、簡素化の3点です。対象分野がより限定的になりました。
助成金を利用するには、改善計画を作成し、都道府県知事の認定を受ける必要があります。認定申請書の詳細、様式等については、各都道府県の担当部署にガイドブックが用意されています。
最高700万円が受給できる
創業や異業種進出により、人材需要が見込まれる成長分野(表1参照)に進出をするときに、改善計画の認定を受けた中小企業者は、助成金を受給できます。助成金の額は、新たに雇い入れた労働者の1年間の賃金に相当する額として、1人あたり140万円です。1企業あたり5人が限度で、最高700万円まで受給できます。
林業、建設業(環境や健康分野に関する建築物等を建築しているもの)、製造業(環境や健康分野に関する製品を製造しているもの、または、環境や健康分野に関する事業を行う事業所と受注契約締結等、取引関係があるもの)、電気業、情報通信業、運輸業・郵便業、学術・開発研究機関(環境や健康分野に関連する技術開発を行っているもの)、スポーツ施設提供業、スポーツ・健康教授業、医療、福祉、廃棄物処理業、その他上記以外(環境や健康分野に関連する事業を行っているもの)
創業の場合は、法人の設立登記日や個人での開業日から6カ月以内、異業種進出の場合は、その事業とは別の事業に進出した日から6カ月以内に改善計画を提出します。その他、改善計画を提出した日から1年間に、労働者を雇い入れることなどの条件があります。
助成金の対象となる労働者は、経営基盤の強化に資する人材として改善計画に記載され、新分野進出に関わる新たな事業の業務に就く者です。かつ、次の2点に該当する者などの条件があります。
(1)専門的な知識や技術を有する者、あるいは、部下を指揮・監督する業務に従事する係長相当職以上の者
(2)年収350万円以上(臨時給与、特別給与等臨時に支払われた賃金及び3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の賃金で雇い入れられる者
申請から支給までの流れは、図1(『戦略経営者』2011年9月号30頁)のとおりです。対象となる新分野に進出し、人材を雇い入れようと考えておられる経営者の方は、助成金の申請を検討してみてください。